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第六話 聖騎士アルベルト

「俺が聖騎士アルベルトだ!」


白銀の鎧を纏った青年は、砦の上から武を睨みつけた。


風になびく金髪。整った顔立ち。背中には巨大な聖剣。


どう見ても主人公だった。


(うわぁ……絶対強いやつだ……)


黒崎武は内心で震える。


ゲームなら確実にイベント戦。

しかもラスボス前に出てくる勇者ポジションだ。


一方、人間兵たちは歓声を上げていた。


「アルベルト様だ!!」

「聖騎士様が来てくださったぞ!」

「勝てる……!」


完全に希望の星らしい。


だが武の後ろでは、四天王たちが冷めた目をしていた。


「ほぅ、人間にしては強めの魔力じゃな」

ミレイユが呟く。


「ですが魔王様の前では塵ですね」

ルシエラが淡々と言う。


「五秒持つかしら♡」

セレスティアが笑う。


「斧で潰すか?」

グラドールが物騒なことを言った。


「やめて!? 物騒すぎるから!」


だが武の叫びは、また別の意味に取られたらしい。


『おお……』

『配下へ無意味な殺生を禁じておられる……』

『なんと慈悲深い……』


「違うんだよなぁ……」


その時、アルベルトが剣を抜いた。


キィィィン――。


白銀の刀身が眩く輝き、同時に凄まじい神聖魔力が広がった。


「魔王!」


アルベルトが叫ぶ。


「貴様をここで討つ!!」


(いや無理無理無理!!)


だが次の瞬間。


アルベルトが空を蹴った。


ドンッ!!


爆発のような音と共に、一瞬で武の目前まで迫る。


「速っ!?」


振り下ろされる聖剣。


完全に終わったと思った。


しかし――。


ガギィィィン!!


金属音が響く。


「……え?」


武は無傷だった。


聖剣は黒い障壁に止められている。


しかも――


ピシッ。


聖剣に亀裂が走った。


「なっ……!?」


アルベルトの顔が凍りつく。


《ソウルイーターが対象の魔力を捕食しています》


「捕食?」


ズズズズズ……。


聖剣から白い光が吸い取られていく。


「ば、馬鹿な!? 聖剣エクスレイドの力が……!」


アルベルトが狼狽える。


一方、武も混乱していた。


(なにこれ!? 勝手に吸ってる!?)


《ユニークスキル『ソウルイーター』》

《接触対象の魔力・生命力・スキルを捕食可能》


「能力怖っ!?」


すると――


パキン――。


聖剣が砕けた。


「――っ!?」


アルベルトが絶句する。


周囲の兵士たちも青ざめた。


「せ、聖剣が……」

「あり得ない……」

「伝説級の武器だぞ……!?」


武は冷や汗を流した。


(いや俺が一番ビビってるからね!?)


だが外から見ると、

玉座の魔王は微動だにせず聖剣を破壊したようにしか見えなかった。


しかも無表情。


完全に絶望演出である。


アルベルトは震える手で武を見上げた。


「こ、これほどの力が……」


武は焦った。


何か言わないといけない空気だったが、頭が真っ白になる。


結果、昔ノートに書いていた黒歴史台詞が口から漏れた。


「弱いな」


場が凍った。


(うわぁぁぁぁっ!!)


武は心の中で転げ回る。


だが――


ズシン――ッ!!


砦の兵士たちは絶望したように膝をついた。


「そ、そんな……」

「聖騎士様が……」

「勝てるわけが……」


四天王たちは恍惚としていた。


「さすが魔王様……」

「圧倒的じゃのぅ……!」

「素敵ですわ♡」


武だけが泣きそうだった。



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