表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/35

第五話 魔王、初陣へ

「……高くない?」


黒崎武は真顔だった。


眼下には広大な森と山脈。

そして遥か下には、豆粒のような魔王軍が見える。


現在、武はドラゴンの背中にいた。

しかも上空数百メートルである。


「無理無理無理!! 落ちたら死ぬ!!」


『グルルル……』


「お前は平気だろうけど俺は怖いんだよ!」


だがドラゴンは、どこか呆れたような目をしていた。


その後方を、ルシエラたち四天王が飛行魔法で追従している。


「魔王様、ご安心ください」


「安心できるか!!」


「魔王様が落下程度で傷つくはずありません」


「いや傷つくから!」


《回答》

《超速再生により問題ありません》


「問題大アリだよ!!」


武はドラゴンの鱗へ必死でしがみついた。


そんなやり取りをしているうちに、前方へ巨大な石壁が見えてくる。


「あれが……砦?」


「はい。人間側最前線、西方砦ガルディアです」


ルシエラの声が冷える。


砦の上には無数の兵士が並び、旗が翻り、大砲のような兵器まで展開されていた。


「うわ……本当に戦争してる……」


武の顔から血の気が引く。


その瞬間――。


「敵襲――ッ!!」


砦側がこちらに気づいた。


警鐘が鳴り響き、兵士たちが慌ただしく動き始める。


「黒竜だ!!」

「まさか……魔王軍!?」

「迎撃準備!!」


次々と魔法陣が展開された。


武は完全にパニックだった。


「ちょっ、戻ろう!? 今ならまだ間に合う!!」


「何を仰います」


ルシエラが不思議そうに首を傾げる。


「魔王様のご降臨ですよ?」


「軽いノリで言うな!」


その時、無数の光が砦から放たれた。


火球。雷撃。氷槍。


「うわぁぁぁぁっ!?」


武は思わず頭を抱える。


しかし――。


ドゴォォォン!!


攻撃は武へ届く前に、黒い障壁へ弾かれた。


「……え?」


《魔王障壁が自動発動しました》

《脅威判定:極小》


「便利すぎるだろ!?」


ルシエラたちは平然としていた。


「人間の攻撃など、その程度です」


「いや普通死ぬだろ!」


砦の上で、兵士たちがざわめき始める。


「ば、馬鹿な……!」

「直撃したぞ!?」

「傷一つないだと……!?」


武は気づいていない。


今の自分が、完全に“最強魔王”にしか見えていないことを。


黒いオーラを纏い、ドラゴンへ乗り、無数の魔法を無傷で受け止める存在。


どう見てもラスボスだった。


《提案》

《威圧行動を推奨》


「またそれ!?」


《敵兵の戦意低下が期待できます》


「どうしろってんだよ……」


武は半泣きになりながら砦を見下ろした。


そして――ヤケクソで、昔ノートに書いていた台詞を叫ぶ。


「ひ、平伏せ人類!!」


ゴォォォォォォッ!!


凄まじい黒い魔力が空を覆った。


空気が震え、雲が割れ、砦全体へ圧倒的な威圧感が叩きつけられる。


「ひっ……!」

「う、動けない……!」

「な、なんだこの魔力は……!?」


兵士たちの顔が恐怖に染まる。


武自身もびっくりしていた。


(えっ、なにこれ怖っ!?)


その時だった。


砦の中央から、一人の男が現れる。


白銀の鎧。

大剣。

金髪。


いかにも主人公っぽい青年だった。


「魔王……!」


青年は武を鋭く睨みつける。


「俺が聖騎士アルベルトだ!」


武は思った。


(うわぁ……絶対強いやつ来た……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ