ひな祭りと男と女!の巻!
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グレースの新たな日々が始まっていた。
「ひな祭りを守るんだー!」
グレースは虚無の彼方で戦っていた。
バレンタイン・エビルの正装(グレースはプリ◯ュアみたいで恥ずかしかった)に身を包んだグレース。
彼女は肩に担いだロケットランチャーを、混沌の軍勢に向けた。
混沌の軍勢は、無数の人型の闇だ。
それは未来から来た人間の悪意が、人の形を取ったものだ。
悪意の闇が人間の形を取っている事が、恐ろしい。闇はまだ自分が人間のつもりでいるのだろうか。
「ふぁいやー!」
グレースがロケットランチャーをぶっ放す。
発射されたロケット弾は、混沌の軍勢の中心で大爆発を起こした。
そして広がる暖かなオーラ……
混沌の軍勢は光に包まれて昇華し、虚無戦線の暗い空に登っていった。
「もう、こんなことしちゃダメだよ……」
グレースは空に登っていく光を見上げた。混沌の軍勢も、悪意の闇も、悔い改めることはあるのだろうか。
「はあ……」
グレースの側で若者が両膝ついた。
彼はグレースをナンパしたチャラ男、リョウマだ。
普通の人間だったが、グレースをナンパしたのが改心の始まりであり、運の尽きだ。
今はこうしてグレースと共にある。
「お疲れさま、ありがとうね。ひな祭りは守れたよ!」
グレースの輝くような笑顔。
彼女の慈愛は世界に及んだ。
ひょっとして、ひょっとしたら、世界情勢は良い方向に向かうかもしれない。
なぜなら、グレースはバレンタインの概念と存在の意義を守る守護者――
「バレンタイン・エビル」なのだから。
「うっ……!」
リョウマの目から、こらえていた涙がこぼれた。
何に対する涙か、それは自身の運命にか。
死の恐怖か、それともグレースの慈愛にか。
「がんばろ、私がついてるから!」
グレースに肩を叩かれ、リョウマは彼女と共に現世への道を戻る。
二人も男女の絆の体現だ。男と女が力を合わせて未来を創っていく……
それは人の計算ではない。天地宇宙の真実だ。
そして二人が守ったのは、ひな祭りの概念と存在の意義だったかもしれない……
「なかなかやるな、あいつ」
三勇士ブルはグレースとリョウマを見送った。
二足歩行する鋼鉄のブルドッグ――
そんな外見のブルは、リョウマを認めていた。
リョウマはグレースだけを虚無戦線に向かわせなかった、自分も命を賭してついてきた。
死を覚悟して何かができる人間など、なかなかいないのだ。
「あいつに人は殺せない……」
つぶやくのは三勇士ジェットだ。
猿型妖精から人型へ――
凛々しい姿になったジェット。彼は伝説の忍者【ストライダー】の再来と謳われた。
だからこそ今は「バレンタイン・エビル」と「レディ・ハロウィン」を守る三勇士の一人なのだ。
――ウシャアー!
その時、身を潜めていた人型の闇がジェットに襲いかかった。
グレースがぶっ放した「ひなあられ砲」の一弾から逃れていたのだ。
ジェットは反応し、闇に向かって踏みこんだ。
人型の闇につかみかかり抱きつき、そのまま高く跳躍――
身を離すや否や、分身が生じるほどの速さで、人型の闇へと斬りつける。
光剣「砕覇」を手にしたジェットが、人型の闇に斬りつけていく。
四人のジェットが縦横無尽に斬りつけたことで、人型の闇は消滅した。
「俺達の戦いは何処へ向かうべきなのか……」
ジェットは暗い空を見上げた。答えが出るわけではない。
だが、グレースらの戦いは「ひな祭り」の概念と存在の意義を守る事ができた。
守護者として、それでいいのではないだろうか。




