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虚無戦線  作者: MIROKU
ラグナロク
85/99

ひな祭りと男と女!の巻!


   **


 グレースの新たな日々が始まっていた。


「ひな祭りを守るんだー!」


 グレースは虚無の彼方で戦っていた。


 バレンタイン・エビルの正装(グレースはプリ◯ュアみたいで恥ずかしかった)に身を包んだグレース。


 彼女は肩に担いだロケットランチャーを、混沌の軍勢に向けた。


 混沌の軍勢は、無数の人型の闇だ。


 それは未来から来た人間の悪意が、人の形を取ったものだ。


 悪意の闇が人間の形を取っている事が、恐ろしい。闇はまだ自分が人間のつもりでいるのだろうか。


「ふぁいやー!」


 グレースがロケットランチャーをぶっ放す。


 発射されたロケット弾は、混沌の軍勢の中心で大爆発を起こした。


 そして広がる暖かなオーラ……


 混沌の軍勢は光に包まれて昇華し、虚無戦線の暗い空に登っていった。


「もう、こんなことしちゃダメだよ……」


 グレースは空に登っていく光を見上げた。混沌の軍勢も、悪意の闇も、悔い改めることはあるのだろうか。


「はあ……」


 グレースの側で若者が両膝ついた。


 彼はグレースをナンパしたチャラ男、リョウマだ。


 普通の人間だったが、グレースをナンパしたのが改心の始まりであり、運の尽きだ。


 今はこうしてグレースと共にある。


「お疲れさま、ありがとうね。ひな祭りは守れたよ!」


 グレースの輝くような笑顔。


 彼女の慈愛は世界に及んだ。


 ひょっとして、ひょっとしたら、世界情勢は良い方向に向かうかもしれない。


 なぜなら、グレースはバレンタインの概念と存在の意義を守る守護者(ガーディアン)――


 「バレンタイン・エビル」なのだから。


「うっ……!」


 リョウマの目から、こらえていた涙がこぼれた。


 何に対する涙か、それは自身の運命にか。


 死の恐怖か、それともグレースの慈愛にか。


「がんばろ、私がついてるから!」


 グレースに肩を叩かれ、リョウマは彼女と共に現世への道を戻る。


 二人も男女の絆の体現だ。男と女が力を合わせて未来を創っていく……


 それは人の計算ではない。天地宇宙の真実だ。


 そして二人が守ったのは、ひな祭りの概念と存在の意義だったかもしれない……


「なかなかやるな、あいつ」


 三勇士ブルはグレースとリョウマを見送った。


 二足歩行する鋼鉄のブルドッグ――


 そんな外見のブルは、リョウマを認めていた。


 リョウマはグレースだけを虚無戦線に向かわせなかった、自分も命を賭してついてきた。


 死を覚悟して何かができる人間など、なかなかいないのだ。


「あいつに人は殺せない……」


 つぶやくのは三勇士ジェットだ。


 猿型妖精から人型へ――


 凛々しい姿になったジェット。彼は伝説の忍者【ストライダー】の再来と謳われた。


 だからこそ今は「バレンタイン・エビル」と「レディ・ハロウィン」を守る三勇士の一人なのだ。 


 ――ウシャアー!


 その時、身を潜めていた人型の闇がジェットに襲いかかった。


 グレースがぶっ放した「ひなあられ砲」の一弾から逃れていたのだ。


 ジェットは反応し、闇に向かって踏みこんだ。


 人型の闇につかみかかり抱きつき、そのまま高く跳躍――


 身を離すや否や、分身が生じるほどの速さで、人型の闇へと斬りつける。


 光剣「砕覇(サイファ)」を手にしたジェットが、人型の闇に斬りつけていく。


 四人のジェットが縦横無尽に斬りつけたことで、人型の闇は消滅した。


「俺達の戦いは何処へ向かうべきなのか……」


 ジェットは暗い空を見上げた。答えが出るわけではない。


 だが、グレースらの戦いは「ひな祭り」の概念と存在の意義を守る事ができた。


 守護者として、それでいいのではないだろうか。

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