めぐる季節!の巻!
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「我が生涯に一片の悔い無し!」
チョウガイは虚無戦線の暗い空へ拳を突き上げた。何か良い事あったらしい。
「巨星墜つか……」
ソンショウはかたわらでつぶやく。しかし、チョウガイはまだ死んだわけではない。
「もう死んでもいい……!」
フランケン・ナースのゾフィーは上機嫌で朝食の準備をしていた。
頭部の左右一対の電極は、ピコピコと点滅している。
「何やってんのかしらね……」
レディ・ハロウィンのローレンは席についてモーニングティーを飲みながら、彼氏のヘイゾウとスマホでメールしていた。
侍女のゾフィーの恋を微笑ましく思う一方で、あまりにも欲がないのが心配だ。
「……私を気にせずに、夜のデートでもしてきていいのよ?」
「お、お嬢様! そ、そんな事になったら……!」
ゾフィーの頭部の電極が激しく点滅を開始した。
それは時限爆弾が爆発する前兆のようにも思われた。
「あの二人がくっつくには宇宙崩壊するくらいのエネルギーが必要じゃな」
蛇遣い座の女神は、ゴヨウに説明した。
「な、なんでです?」
ゴヨウとしては、父にも等しいチョウガイに幸せになってほしいのだ。
同じく父にも等しいソンショウは心配ない。彼は彼女のギテルベウスとケンカばかりしているが、だからこそ強い絆で繋がっていた。
「磁石は違う極で引きつけあう、男と女も違うからこそ引きつけあうが、あの二人は魂の性質が同一で、なおかつケタ違いに強い…… くっつけるには宇宙の定理を変えるか、どちらかの性質が変わるしかないが、性質が変われば互いに好みではなかろうな」
「はあ」
蛇遣い座の女神の言葉がわかったような、わからないような。
何にせよ、ソンショウとギテルベウスが男女の絆の顕現ならば、チョウガイとゾフィーは不滅の愛の顕現だ。
それは尊いのだ。尊いだけでは人類は救われないが、尊いからこそ存在する意義がある。
「さーて、お風呂入ろっか!」
グレースは、ジェットとブルの二体の妖精と共に入浴しようとしていた。
「ち、ちょっと待てよ! いつも一緒に入ってんのかよ!」
グレースの運命の人リョウマは慌てた様子だ。
ジェットとブルは妖精の姿だが、真の姿はどちらも成人男性なのだ。
「ん、そうだよ。リョウマはあとで一人で入ってね、け、結婚するまでそーいうのナシだから!」
赤面するグレースは可愛らしい。
グレースの胸に抱かれたジェットとブルは、リョウマを嘲笑うかのように、両目をキュピーンと輝かせていた。
(ゆ、許さねえ……!)
リョウマは覚醒しつつあった。
真面目な性格だったがチャラ男になり、グレースに出会って元に戻り――
そして今は嫉妬パワーで何かに目覚めつつあった。
「姫様の背中流してあげるモン!」
「お願いねー、ジェット」
「姫は自分で体を洗うブル!」
「えー、ジェットとブルに洗ってもらいたいなー、めんどくさいし」
浴室に入っていくグレースたち。
残されたリョウマは燃えていた。彼の人生が変わりつつあった。
三勇士のアローンは、リリースの寮でトイレ掃除をしていた。
側には謎の美女リリースがいる。
「三人はどこ行ったんだよ」
「ゼルマンに行ったのよ」
リリースは言った。彼女に仕えていた妖魔のメイド少女三人――
ガーナ、スージー、ラーニップはパラレルワールドに向かったという。大抜擢らしい。
「ふうん……」
アローンは寂しくなった。彼女たちのおかげで、アローンは孤独ではなかった。
「今は二人きりね……」
リリースが含み笑いした。今は義理の娘イブも大学に行っている。
鬼◯の刃の炭◯郎の母によく似たリリース。割烹着がよく似合う美女だが、アローンとしては一歩距離を取っている。
「だって正体不明だかんな……」
旧約聖書にリリースとイブの正体を求めたが、よくわからない。
「んもう、奥手なんだから!」
すねたリリースは美しく可愛らしいのだが――
「よろしくお願いしまーす♥」
メイドのスージーがランバーに挨拶した。
そばかすのある可愛らしい少女だ。
スージーの側にはガーナとラーニップの姿もある。
ガーナは身長百九十センチ以上の凄絶な美人だ。スージーは女子中学生風だが、ガーナは短大生くらいだろうか。
ラーニップはツンと澄ました美少女だが、ランバーと目を合わせない。何か意味がある。
「あ、ああ、よろしく」
精悍な美男子ランバーも人付き合いは苦手だ。設定年齢が引き下げられて、十八歳前後になっている。
「ぬあによ、ランバーは他の女に!」
長い赤毛の長身美人ペネロペは、右フックでランバーを殴り飛ばした。
ランバーはメイドカフェ「ブレーメン・サンセット」の窓を突き破って、石畳の路上まで吹っ飛んだ。
「ふん、男なんて……!」
身長百八十センチ越えのペネロペは鼻息を荒くする。外見的には十八歳前後、ランバーと同年代だ。
パラレルワールドのゼルマンという町で、ランバーとペネロペがどんな日々を過ごすのか? それはまた別の機会に。




