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ーFirst Dungeonー

 魔法を見せあう?


 どういうこと?


 もしかして、ここで魔法を打ち合うってこと?


 えぇ、そんなの、危なくない?


 


 周りの子たちも先生が何を言っているのか分かってないみたい。




「ねえ、フィールお姉ちゃん。どうしたらいいのかな?」


「分からないけど。とりあえず、サチェル先生の言うことを聞いていようよ」


「う、うん」




「では、皆さま。まずは、パーティを編成いたしましょう」




「——パーティ? ってあれ?」


「か、身体が浮いている?」




 サチェル先生は、ラミアお姉ちゃんと同じハープを取り出して、音色を奏でていた。


 ってことは、これも魔法?




「って、ちょっと! ゼフィ、上、うえ!」


「うえ? って、ええ?? 鏡がいっぱいある!」


「す、吸い込まれる――。ゼフィ、手を握って!」


「う、うん!」




「大丈夫ですよ、皆さま! 教室を移動するだけでございますからな」


「教室を? ——って、きゃっ!」




 私は、フィールお姉ちゃんと同じ鏡に吸い込まれてしまった。


 なんだか、これ。


 ラミアお姉ちゃんの鏡渡りかがみわたりとは違う気がする――。




 ——ドサッ!




「——きゃっ! いったたたた……」


「ゼフィ、大丈夫?」


「う、うん、腰を打っただけだから。大丈夫だよ、フィールお姉ちゃん」




  ——チュンチュン。




 頭の上を飛んでいる小鳥。


 一面、緑で染め上げて、木々が生い茂っている。


 そして、その先に大きく流れ出ている滝が作り出す小川。




「——すっごい、まるでピクニックに来たみたい!」


「何、呑気なことを言ってるの、ゼフィ」


「だって、お姉ちゃん。こんなにも綺麗なんだよ? こんなの、絵本でしか見たことないよ!」


「まぁ、それはそうだけど――。でも、ほんと。ここどこだろう」


「学校中っちゃよ。ここは」


「——この声、もしかして……?!」


 


 どこかで聞いたことある声と口調。


 振り返ってみると、見覚えのある青い髪をした女の子が立っていた。




「あーーーー!! フィウメ! フィウメだ!」




 すっごく嬉しい!


 もう、会えないんじゃないかと思っていたから。




「フィウメー!!」


「あ、っちょっちょっと、ゼフィ!?」


「うわっ、きゃっ!!」




 ――ドサッ!




「もう、ちょっとゼフィ。こんなところで走ったら危ないでしょ?」


「えっへへ、ごめんなさい。あれ、でも全然痛くないよ?」


「そりゃ、学校の中じゃけんよ。こけたくらいじゃ、ケガどころか痛みすらないんよ」


「そうなんだ! すごいすごい!」


「さっきも言ってたけど、本当にここ校舎の中なの? こんなのまるで――」


「正確に言えば、校内ダンジョンっちゃんね。ここの学園の先生は、それぞれの先生が作り出したダンジョンを持っちょるんよ。ほら、あそこの教室に入る前も、魔法陣に乗って入ったっちゃろ?」


「そういえば、そうだった。もしかして、あの教室も……?」


「そう。あそこも、校内ダンジョンの一つなんよ」


「そ、そうなんだ。なんか、すごい学校ね」


「すごいよね! 流石は魔法学園——!!」


「まったく……、ゼフィは楽しそうね」




「あのー……、知り合い同士の再会で、盛り上がるのは大変いいことなんだけど」


「一応、俺らもいるんだからな」




 知らない声が聞こえてきた。




「あれ? あなたたちは?」


「たぶん、俺らもいわゆるパーティのメンバーってことだ」


「そ、そうなんだ」




 赤い髪に緑色の髪、それから黒色の髪を持つ男の子が三人。




「えっと、あなたたちは――」


「俺は、フィオーネ・マンデラ。火属性の魔法使いだ」


「わしは、スオーロ・ナノ。土属性を使う。これでも、ドワーフじゃ」


「僕は、トゥオーノ・フ―ルミネ。雷魔法の使い手です。一応、エルフの血を引いています」


「エルフにドワーフ?! すっごい! 初めて見た!」


「おや、人外族は初めてでしたか?」


「あぁ、ごめんなさい。気にしないで、この子、ここに来るまでは、家っ子だったから」


「なんじゃ、箱入りじゃったということか。で、お主らは何ていう名じゃ?」


「わ、私はフィウメ・ピオッツァ。属性は……水」


「水? お前、水なの?」


「え、えぇ」


「まじか、使えな」


「これ、フィオーネ。そういうこと言うんじゃありません。確かに、前線は不向きですが」


「フォローになってないぞい、トゥオーノ。水も立派な魔法じゃ。鍛冶をやるにしても、水は必須じゃからの」


「鍛冶って……。スオーロ、お前。それって、結局は戦闘向きじゃねえじゃんか」


「何事も、全て戦闘に考えるのは悪い癖じゃぞ。フィオーネ」


「まあまあ、で、そちらのお二人は?」


「私は、フィール・メディアルです」


「——メディアル? まさか、お前。聖・ラミアの?」


「は、はい。妹です」


「なるほど、聖・ラミアの――。ということは、おんしは、聖属性じゃな」


「あ、いやちが――」


「なんと! あの、聖・ラミアの妹様でしたか! これは、かなり期待できますね!」


「ってことは、そこのお前——」


「私は、ゼフィ・メ――」


「こ、この子は、ゼフィ・クライシスです」


「なんで、お前が言うんだよ」


「え、あ。えっと、ゼフィは、私の家に居まして、私の妹のような子なんです」


「あぁ、従者の子どもってことか。変わってんな、お前。従者の子を妹なんてよぉ」




 従者って、もしかしてじいやのことかな。


 でも、なんか――。


 嫌な気分になっちゃった。


 


 じいやは従者なんかじゃない。


 私たちの大事な家族だ。


 それに私は――。




「まあ、そんなことより。ゼフィ」


「え? あ、なに?」


「お主は、闇属性なのじゃろ?」


「え?」




 違う。


 私は、闇なんかじゃない。


 私の魔法は――。




『どうやら、自己紹介も済んだようですな』




「うわっ、鏡が喋った!」


「何を言っておる、ゼフィ。おんし、聖・ラミアと共に生きておきながら、鏡声かがみごえを知らんのか」


「鏡声かがみごえ?」


「そうです。サチェル先生がこの鏡を通して僕らに声を届けてくれているのです」


「そうなんだ」




『こっほん。では、皆さま。これからその六人のパーティメンバーで迷宮を探索していただきます』

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