第六十八話 完了報告会
第六十八話です。
どうぞよろしくお願いします。
帝都への旅は、これまでのどの道中よりも、穏やかなものだった。
「観察眼……看破の真眼」
俺は、道中、何度か、周囲の様子を、確認したが、以前のような、緊張を強いる、脅威の反応は、ほとんど、見当たらなかった。
「随分、平和に、なりましたね」
ユイの言葉に、俺は、頷いた。
「システムの、再構築が、着実に、進んでる証拠かもしれません」
カレナを経由し、俺たちは、数日をかけて、帝都ヴェルシアへと、辿り着いた。ガイが、以前と、変わらぬ笑顔で、俺たちを、出迎えてくれた。
「また、会えたな。今回は、随分、大きな用事らしいじゃないか」
「はい。完了報告会に、招待されて」
「そりゃ、大したもんだ。俺も、噂は、聞いてるぜ。お前らが、この世界の、行く末を、決めたって話」
その言葉に、俺は、少し、照れくさくなった。
帝都ギルド本部に、辿り着くと、大きな、講堂のような場所へと、案内された。中には、既に、多くの人々が、集まっていた。
「あ……」
俺は、見覚えのある、顔を、見つけた。サーラが、俺たちに、気づいて、駆け寄ってきた。
「久しぶり! みんな、来てくれたのね」
「サーラさん、お元気そうで」
「ええ。あの遺跡の調査、まだまだ、続いてるわ。今日は、その報告も、兼ねて、来たの」
会場の一角には、ライアスと、そして――フィリアの姿も、あった。
「フィリアさん……!」
俺の呼びかけに、フィリアが、明るい笑顔で、駆け寄ってきた。以前、初めて目覚めた時の、あの、儚げな様子とは、まるで違う、健康的な、姿だった。
「稜さん、皆さん、お久しぶりです!」
「本当に、元気になられたんですね」
俺の言葉に、フィリアは、大きく、頷いた。
「はい! 今は、毎日、外を、歩けるくらいまで、回復しました」
ライアスが、静かに、微笑みながら、口を、開いた。
「これも、全て、君たちの、おかげだ」
「いえ、ライアスさんが、諦めずに、努力し続けたからです」
俺の言葉に、ライアスは、静かに、首を振った。
「私一人では、何も、成し遂げられなかった。この場に、感謝を、伝えたい」
しばらくして、正面の壇上に、セリアが、姿を、現した。
「本日は、お集まり、いただき、ありがとうございます」
セリアの声に、会場が、静まり返った。
「本日、皆さんに、報告したいのは、Elysium再構築プロセスの、正式な、完了です」
その言葉に、会場から、大きな、どよめきが、起こった。
「これまでの、経緯を、簡潔に、振り返らせていただきます」
セリアは、壇上のスクリーンに、様々な、記録を、映し出しながら、説明を、続けた。楽園機関の摘発から始まり、始まりの記憶の発見、管理AIとの対峙、そして――境界領域での、最終的な、選択。
「これら、全ての、出来事の中心には、常に、一組の、巡礼者たちの、姿がありました」
セリアが、俺たちの方を、見た。
「リョウ様、ユイ様、タクト様、そして、彼らと、共に、歩んだ、全ての方々。この場を、借りて、深く、感謝の意を、表します」
その言葉に、会場から、大きな、拍手が、沸き起こった。俺は、思わず、頬が、熱くなるのを、感じた。
「そんな、俺たちだけじゃ、なくて……」
俺の呟きに、セリアは、微笑んだ。
「もちろん、分かっています。ですが――皆さんの、"奪わずに生きる"という、選択が、この、大きな変化の、始まりだったことは、紛れもない、事実です」
セリアは、改めて、説明を、続けた。
「今後、Elysiumは、新しい、理念のもとで、運用されていきます。成長経験値の効率向上、LP強奪の禁止、そして――巡礼者と、住人の、より対等な、関係性の構築」
スクリーンに、これまでとは、明らかに、異なる、新しいシステムの概要が、映し出されていく。
「これは、皆さんが、示してくれた、"可能性"を、形にしたものです」
その言葉に、俺は、深く、胸を、打たれた。
報告会が、終わると、会場のあちこちで、様々な、交流が、始まった。
「本当に、色んな人が、この物語に、関わってたんですね」
タクトの言葉に、俺は、頷いた。
しばらくして、俺は、一人、会場の外に、出てみた。夕暮れの、帝都の街並みが、静かに、広がっている。
「リョウさん」
振り返ると、セリアが、静かに、俺の隣に、来ていた。
「ありがとうございます、色々」
俺の言葉に、セリアは、首を振った。
「私こそ、感謝しています。あなたたちに、出会えたことが、私にとっても、大きな、意味を、持っています」
「セリアさんは、これから、どうするんですか」
俺の問いに、セリアは、少し、考えてから、答えた。
「私は、これからも、ギルドで、働き続けます。この、新しい世界を、支える一人として」
その言葉に、俺は、頷いた。
「俺は……」
俺は、自分自身の、これからについて、まだ、はっきりとした、答えを、出せずにいた。
「焦らなくても、いいと、思います」
セリアの言葉に、俺は、少し、驚いた。
「あなたは、この物語の、大きな部分を、既に、成し遂げました。これから先は――もっと、自由に、生きて、いいんです」
その言葉に、俺は、深く、頷いた。
夜、俺たちは、久しぶりに、帝都の宿舎で、皆で、食事を、囲んでいた。
「今日は、本当に、色んな人と、再会できましたね」
ユイの言葉に、俺は、頷いた。
「はい。この物語に、関わってくれた、全ての人が、それぞれの、道を、歩んでる。それを、感じられて、良かったです」
クロトが、少し、感慨深そうに、呟いた。
「俺も、この村を、離れて、また、少し、色々、考えてみようと思う」
「クロトも、次の道を、探してるんですね」
俺の言葉に、クロトは、頷いた。
「ああ。討伐一辺倒だった俺だが……お前と、この旅を、続けたことで、少し、視野が、広がった気がする」
食事を終え、俺は、窓の外、帝都の夜景を、静かに、見つめていた。
三十日という、当初の締切は、もう、俺の中には、ない。だが、この、長い旅を通じて、俺は、確かな、何かを、手に入れていた。
奪わない道を、選び続けたことの、意味。仲間との、絆。そして――この世界を、少しでも、より良い場所に、変えられたという、確かな、実感。
「明日は、どうしましょうか」
ユイの問いに、俺は、少し、考えてから、答えた。
「一度、始まりの村に、戻りましょうか。この、大きな区切りを、あの場所で、皆と、共有したいです」
俺の言葉に、皆が、頷いた。物語は、いよいよ、最後の、静かな章へと、向かい始めていた。
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【ステータス】
名前:リョウ
LV:49
HP:318/318 MP:222/222
STR:200 VIT:167
AGI:193 INT:125
所持金:銀貨182枚
名声:1,590
満腹度:72/100
次のレベルまで:8,200/53,500
【冒険者ランク】
A
【装備】
胴:砂塵避けの軽装ローブ
武器:嵐風の双牙
足:革のブーツ
装飾:魔力の指輪
腕:風霊の腕輪
携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手
【所持スキル】
・痛覚遮断
・看破の真眼
・植物知識・中級
・木工の心得・初級
・調合の心得・初級
・回復魔法・上級
・回避の心得・上級
・風纏・中級
・身体強化・中級
・文献解読・初級
・並列詠唱・上級
・対人戦の心得・初級
・灼熱耐性・初級
・風刃・初級
・調停の心得・初級
【称号】
・一線を越えた者
・世界の歪みを正した者
・簒奪者
・世界の選択者
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
再構築プロセスの完了、そして、皆との再会。
物語は、静かに、終わりへと向かいます。
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