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「命を喰うレベルアップ ―僕は誰かの余命で強くなる―」  作者: 黒豚
第4章 境界線の向こう側

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第六十四話 境界の奥

第六十四話です。

どうぞよろしくお願いします。


視界を覆っていた白い光が、少しずつ、収まっていく。


俺たちは、気づくと、これまで見た、どの場所とも違う、無数の光の粒子が、緩やかに、流れ続ける、広大な空間に、立っていた。


「ここが……」


サーラが、圧倒されたように、周囲を、見渡した。


「観察眼……看破の真眼」


俺は、慎重に、この場所を、確認した。


【解析中……】

【境界領域・中枢】

反応:Elysium全システムとの、直接接続点


「ここが、システム全体の、根幹……」


俺の呟きに、セリアが、緊張した表情で、頷いた。


「これほどの場所だとは……」


奥へと進むと、俺たちは、巨大な、光の柱を、見つけた。その中心に、人間の形をした、しかし、明らかに、人間ではない、存在が、静かに、佇んでいた。


「よく、ここまで、辿り着いた」


その声は、以前、対峙した、管理AIの声と、どこか、似ていた。だが、より、深く、より、複雑な、響きを、持っていた。


「あなたは……」


俺の問いに、その存在は、静かに、答えた。


「私は、Elysiumというシステムそのものの、根幹意識。お前たちが、"始まりの記憶"で見た、創設者たちの、理念そのものが、長い年月をかけて、一つの、意識として、結晶化した存在だ」


「システムそのもの、というのは……」


「創設理念の公開、そして、それに伴う、様々な変化――それらは全て、私自身が、進めている、"再定義"の、一部だ」


その説明に、俺は、深く、考え込んだ。


「なぜ、そんなことを……」


俺の問いに、根幹意識は、静かに、答えた。


「Elysiumは、今、大きな、岐路に、立っている。現実世界での、存続の危機。そして、この世界の内部での、様々な、歪み。私は、それら全てを、根本から、見直す必要が、あると、判断した」


「見直した、結果、どうなるんですか」


俺の問いに、根幹意識は、少し、間を置いてから、答えた。


「二つの、道がある。一つは、このまま、システムを、より、公正で、透明性のあるものへと、再構築する道。もう一つは――」


その存在の表情が、僅かに、翳った。


「あまりにも、多くの、矛盾と、リスクを、抱え込んだ、このシステムそのものを、完全に、終わらせる道」


その言葉に、俺たちは、しばらく、言葉を、失った。


「終わらせるって……それは、Elysiumに、ログインしてる、全ての巡礼者たちに、影響が、出るってことですか」


ユイの、震える声に、根幹意識は、静かに、頷いた。


「その通りだ。もし、システムを、完全に、終了させれば、現実世界の患者たちは、通常の医療に、戻されることになる。それが、より、安全な選択なのか、それとも――」


俺は、その言葉に、強い、危機感を、覚えた。


「待ってください。もし、システムが、終わったら……俺みたいに、あちらでの、成長が、現実の回復に、繋がってた人たちは、どうなるんですか」


俺の問いに、根幹意識は、静かに、答えた。


「その、恩恵は、失われる。だが――安全性という点では、確実に、リスクが、減る」


「安全か、可能性か。どっちを、選ぶかってことですね」


クロトの言葉に、根幹意識は、頷いた。


「その通りだ。だからこそ、私は、この、最終的な判断を、お前たちに、委ねたいと、思っている」


その言葉に、俺は、思わず、目を、見開いた。


「俺たちに……?」


「お前たちは、この世界で、誰よりも、深く、その矛盾と、可能性の、両方に、向き合ってきた。奪わない道を、選び続けた者。奪う道から、考え直した者。この世界の、裏側の真実を、暴いた者たち」


根幹意識は、静かに、俺たちを、見渡した。


「お前たちの、答えを、聞かせてほしい」


俺は、ユイ、タクト、クロト、サーラ、セリアと、それぞれ、視線を、交わした。全員の目に、確かな、覚悟が、宿っていた。


「俺は……」


俺は、静かに、口を、開いた。


「終わらせるべきじゃないと、思います」


「理由を、聞かせてくれ」


根幹意識の問いに、俺は、はっきりと、答えた。


「確かに、この世界には、たくさんの、矛盾があります。奪うか、削られるか。そんな、シビアなルールが、時に、悪意ある形で、利用されることも、ありました。でも――」


俺は、これまでの旅を、思い返しながら、続けた。


「俺は、この世界で、たくさんの、大切な出会いを、経験しました。ユイさん、タクトさん、クロト、サーラさん、セリアさん。ライアスさんと、フィリアさん。皆、それぞれの事情を、抱えながら、必死に、生きようとしてました」


俺は、深く、息を吸った。


「矛盾があるからって、可能性ごと、切り捨てるのは、違うと思います。俺は、この世界を、より良く、変えていく道を、選びたいです」


俺の言葉に、ユイが、頷いた。


「私も、同じ気持ちです。この世界がなければ、私は、リョウさんにも、皆にも、出会えませんでした」


「俺も、賛成です」


タクトの言葉に、続き、クロトも、頷いた。


「討伐一辺倒だった俺も、この世界で、色々、考え直すことが、できた。まだ、終わらせるには、早い」


セリアも、静かに、口を開いた。


「私自身が、この世界に、救われた一人です。その可能性を、信じたいと、思います」


サーラが、最後に、微笑んだ。


「私は、この世界の、まだ見ぬ真実を、もっと、知りたいです」


全員の答えを聞き、根幹意識は、しばらく、沈黙していた。


「分かった……。お前たちの、答えを、尊重しよう」


その言葉とともに、周囲の光が、大きく、強さを、増していった。


「これより、Elysiumは、"再定義"の、最終段階へと、移行する。より、公正で、透明性のある、しかし――確かな、可能性を、残した、世界へと」


視界に、これまで見たことのない、大規模な、システム通知が、浮かび上がり始めた。


【最終決定】

Elysium、再構築プロセスを、実行します

巡礼者の皆さんへ:

この選択に、深く、感謝します


「それと――」


根幹意識が、俺を、見つめた。


「お前たちの、この旅路そのものが、私にとって、大きな、指標となった。感謝する」


その言葉とともに、根幹意識の姿が、静かに、光の中へと、溶けていった。


視界の端に、新しい通知が、浮かんだ。


【特別功績が認定されました】

名声:+500

冒険者ランクが上昇しました

B → A


【称号「世界の選択者」を獲得】


その、通知の重みに、俺は、しばらく、動けなかった。


「Aランク……」


タクトが、震える声で、呟いた。


「本当に、ここまで、来たんですね」


ユイの言葉に、俺は、深く、頷いた。


周囲の空間が、少しずつ、収束を、始めていた。


「戻る、時間みたいですね」


俺の言葉に、皆が、頷いた。


視界が、再び、白く、染まっていく。俺たちの、この長い、長い旅――その、一つの、大きな結末に、俺たちは、確かに、辿り着いていた。

────────────────────

【ステータス】

名前:リョウ

LV:49

HP:318/318 MP:222/222

STR:200 VIT:167

AGI:193 INT:125


延命ポイント(LP):31.4日分

所持金:銀貨182枚

名声:1,590(+500)

満腹度:42/100


次のレベルまで:8,200/53,500


【冒険者ランク】

A(NEW、B → A)


【装備】

胴:砂塵避けの軽装ローブ

武器:嵐風の双牙

足:革のブーツ

装飾:魔力の指輪

腕:風霊の腕輪

携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手(タクト)


【所持スキル】

・痛覚遮断

・看破の真眼

・植物知識・中級

・木工の心得・初級

・調合の心得・初級

・回復魔法・上級

・回避の心得・上級

・風纏・中級

・身体強化・中級

・文献解読・初級

・並列詠唱・上級

・対人戦の心得・初級

・灼熱耐性・初級

・風刃・初級

・調停の心得・初級


【称号】

・一線を越えた者

・世界の歪みを正した者

・簒奪者

・世界の選択者(NEW)

────────────────────


最後まで読んでいただきありがとうございました。

Elysiumの、根幹意識との対話。

そして――この世界の、未来を、託された。

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