第六十話 揺らぐ世界
第六十話です。
どうぞよろしくお願いします。
数日後、村に、帝都のセリアから、緊急の連絡が、届いた。
「至急、確認したいことが、あります」
通信の魔道具越しに、セリアの声には、隠しきれない、緊張が、滲んでいた。
「実は、Elysium全域で、モンスターの、変異現象が、報告され始めています。始まりの村だけでなく、カレナ、帝都周辺、そして――異国ヴァルシアでも」
「全域で……」
俺の呟きに、セリアは、頷いた。
「管理維持部の、機能停止に伴う、システムの再編成。その過程で、何らかの、不具合が、生じている可能性が、高いです」
その説明に、俺は、深く、考え込んだ。あの、塔での決戦。その結果が、こんな形で、世界全体に、影響を、及ぼしていた。
「原因は、特定できてるんですか」
俺の問いに、セリアは、少し、言葉を、選んだ。
「まだ、断定はできません。ですが――帝都の技術者たちが、一つの、仮説を、立てています」
「聞かせてください」
「創設理念の記録が、公開されたことで、システム全体の、根幹に関わる、"再定義"が、進行しているようです。その過程で、これまで、抑えられていた、様々な要素が、一時的に、暴走している可能性がある」
その説明に、俺は、思わず、息を呑んだ。
「暴走、というのは……このまま、放置すれば、どうなるんですか」
「最悪の場合――Elysiumというシステム全体が、制御不能に、陥る可能性があります」
その言葉の重みに、俺たちは、しばらく、沈黙した。
「それは……巡礼者たちの、命に、直結する話ですよね」
ユイの、震える声に、セリアは、静かに、頷いた。
「はい。だからこそ、皆さんに、改めて、協力を、お願いしたいんです」
「俺たちに、何を、すればいいですか」
俺の問いに、セリアは、資料を、こちらに、共有した。
「システムの、再定義プロセスには、"核"となる、中枢拠点が、存在するはずです。帝都の管理区画は、既に、確認済みですが――もう一つ、この大陸のどこかに、対となる、拠点があるという、情報があります」
「もう一つの、拠点……」
「詳しい場所は、まだ、特定できていません。ですが――皆さんが、この始まりの村で、遭遇した、あの"時間凍結領域"。あれも、恐らく、その、システムの綻びの、一部です」
その言葉に、俺は、はっとした。
「じゃあ、あの森の奥に、まだ、何かが……」
「可能性は、あります。もう一度、詳しく、調査してもらえないでしょうか」
俺は、ユイ、タクト、クロトと、顔を、見合わせた。
「行きましょう。このまま、放置は、できません」
俺の言葉に、皆が、頷いた。
翌朝、俺たちは、再び、北の森――あの、時間凍結領域があった場所へと、向かった。
「観察眼……看破の真眼」
俺は、以前より、遥かに、精度の増した、スキルで、周囲を、探った。
【解析中……】
【異常空間の残滓】
反応:微弱、ただし、地下に、より強い反応
「地下……?」
俺の呟きに、皆が、緊張した。
周囲を、注意深く、調べていくと、以前は、気づかなかった、小さな、割れ目を、見つけた。
「ここ、下に、続いてます」
俺の報告に、クロトが、頷いた。
「行ってみよう」
割れ目を、慎重に、下っていくと、俺たちは、これまで、見たことのない、地下空間に、辿り着いた。壁面には、複雑な、機械的な模様が、刻まれている。
「観察眼……看破の真眼」
【解析中……】
【地下中枢施設(推定)】
反応:稼働中、不安定
「これが、もう一つの、拠点……?」
俺の呟きに、サーラがいれば、興奮しそうな光景だと、俺は、思った。
奥へと進むと、複数の、機械獣が、俺たちの前に、立ちはだかった。
【解析中……】
【暴走個体・防衛機構】
LV:70(複数)
「かなり、強いですね」
俺の言葉に、皆が、それぞれ、武器を、構えた。
「風纏、身体強化、並列、最大出力!」
俺は、支援魔法を、丁寧に、重ねがけした。
「弱点、確認します」
【解析中……】
【暴走個体・防衛機構】
弱点:中枢核、光の点滅する部位
「中枢核です! でも、動きが、不規則で、狙いづらいです!」
俺の報告に、クロトが、不敵に、笑った。
「なら、俺たちで、動きを、封じてやる」
クロトが、大胆に、前へと、出た。機械獣の攻撃を、正確に、受け流しながら、注意を、引きつける。
「今のうちに!」
タクトの盾撃が、別の一体の動きを、確実に、封じた。ユイが、その隙に、鋭く、踏み込む。
「ここです!」
ユイの一撃が、中枢核を、正確に、捉えた。
「もう一押し!」
俺は、風刃を、続けざまに、放ちながら、隙を、窺った。
「今!」
俺は、風纏の全力で、踏み込み、渾身の一撃を、叩き込んだ。
【暴走個体・防衛機構を撃破しました】(複数)
【討伐経験値を獲得しました】経験値:+8,500(累計)
【レベルアップ!】
LV:44 → LV:46
機械獣たちが、次々と、崩れ落ちていった。
「終わった、みたいですね」
タクトの言葉に、俺は、頷いた。奥へと進むと、中央に、大きな、球体状の装置が、静かに、明滅していた。
「これが、システムの、もう一つの、核……」
俺は、慎重に、装置に、近づいた。
【解析中……】
【地下中枢・制御装置】
状態:不安定、緊急対応が必要
「これ、どうにか、しないといけないみたいです」
俺の言葉に、皆が、頷いた。
「セリアさんに、連絡しましょう。専門家の、判断が、必要だと思います」
俺の提案に、皆が、頷いた。俺は、改めて、自分のステータスを、確認した。
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延命ポイント(LP):30.9日分
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数字は、緩やかに、増加していた。だが、目の前の、不安定な装置――それは、この世界全体の、行く末を、左右する、重要な鍵になるのかもしれなかった。
「これから、この村を、離れることに、なりそうですね」
俺の呟きに、ユイが、頷いた。
「はい。でも――今度は、始まりの村から、また、新しい場所へ。俺たちの、旅の、次の目的地へ」
俺の言葉に、皆が、それぞれ、確かな決意を、胸に、抱いていた。
地下空間を出ると、俺たちは、急いで、セリアへの連絡手段を、探すため、村へと、戻ることにした。物語は、いよいよ、大きな、クライマックスへと、動き始めていた。
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【ステータス】
名前:リョウ
LV:46(LV44 → LV46)
HP:285/285(+23) MP:198/198(+16)
STR:182(+12) VIT:150(+10)
AGI:174(+12) INT:112(+8)
延命ポイント(LP):30.9日分
所持金:銀貨182枚
名声:1,040
満腹度:50/100
次のレベルまで:2,100/43,000
【冒険者ランク】
B
【装備】
胴:砂塵避けの軽装ローブ
武器:嵐風の双牙
足:革のブーツ
装飾:魔力の指輪
腕:風霊の腕輪
携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手
【所持スキル】
・痛覚遮断
・看破の真眼
・植物知識・中級
・木工の心得・初級
・調合の心得・初級
・回復魔法・上級
・回避の心得・上級
・風纏・中級
・身体強化・中級
・文献解読・初級
・並列詠唱・上級
・対人戦の心得・初級
・灼熱耐性・初級
・風刃・初級
・調停の心得・初級
【称号】
・一線を越えた者
・世界の歪みを正した者
・簒奪者
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
Elysium全域を蝕む異変、そして、地下に眠る、もう一つの中枢。
いよいよ、村を離れる時が来ました。
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