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「命を喰うレベルアップ ―僕は誰かの余命で強くなる―」  作者: 黒豚
第4章 境界線の向こう側

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第五十六話 クロトの誘い

第五十六話です。

どうぞよろしくお願いします。


宿の食堂で、俺たちは、久しぶりに、クロトを交えて、席を囲んでいた。


「随分、レベル、上がったな」


クロトが、俺のステータスを、値踏みするように、見た。


「お前も、成長してるだろ」


俺の言葉に、クロトは、少し、複雑な表情を、見せた。


「まあな。だが――正直、お前らの噂を聞くたびに、置いていかれてる気分に、なってたよ」


その言葉には、以前のような、純粋な負けん気とは、少し違う、翳りが、感じられた。


「何か、あったのか」


俺の問いに、クロトは、少し、間を置いてから、答えた。


「あの、創設理念の公開があってから、俺のパーティ――討伐特化で、組んでたやつらが、揉め始めてな」


「揉めた、というのは」


「LPの総量制について、改めて、詳しく、知ったんだ。俺たちが、日々、稼いでたLP、実は、誰かの、確かな時間を、削って、成り立ってたって」


クロトの声には、これまで、聞いたことのない、確かな苦悩が、滲んでいた。


「今更、当たり前のことなんだけどな。頭では、分かってたつもりだった。でも――具体的な、仕組みを、知ってしまうと、また、違う重さが、あった」


その言葉に、俺は、深く、頷いた。以前、自分が、初めて討伐に踏み込んだ時の感覚を、思い出した。


「それで、パーティは、どうなったんだ」


「解散した。俺以外の、全員が、討伐を、やめるって、言い出してな」


「クロトは、どうするんだ」


俺の問いに、クロトは、しばらく、黙り込んだ。


「正直、まだ、迷ってる。効率を、考えれば、討伐が、一番、早い。でも――」


クロトは、俺を、まっすぐに、見つめた。


「お前の、あのやり方、正直、ずっと、頭の片隅にあった。奪わずに、生きる道。俺には、選べないと、思ってたけど」


「今なら、選べるかもしれないと?」


俺の問いに、クロトは、小さく、笑った。


「分からん。だから――お前に、頼みが、ある」


「頼み?」


「俺と、一緒に、やってみないか。奪わない道と、奪う道、両方を、知ってる者同士で、この先、どうしていくべきか、答えを、探したい」


その申し出に、俺は、少し、驚きながらも、確かな、嬉しさを、感じた。


「もちろん、いいよ」


俺の答えに、クロトは、ほっとしたように、表情を、緩めた。


「ありがとよ。それと――もう一つ、話が、あるんだ」


クロトは、声を、少し、潜めた。


「実は、この村の周辺で、奇妙な、噂を、聞いた」


「奇妙な噂?」


「ああ。北の森の、さらに奥――以前は、誰も、足を踏み入れなかった一帯に、最近、これまで見たことのない、異質な反応が、あるらしい」


その言葉に、俺は、看破の瞳を、思わず、発動させたくなる、衝動を、覚えた。


「異質な反応、というのは」


「詳しくは、俺にも、分からん。ただ、あの、"始まりの記憶"の一件と、何か、関係があるんじゃないかって、噂されてる」


その可能性に、俺たちは、顔を、見合わせた。


「行ってみましょうか」


俺の提案に、ユイとタクトが、頷いた。


「私も、行くぜ。ここで、腐ってても、始まらない」


クロトの言葉に、俺は、頷いた。


翌朝、俺たちは、クロトを加えた、新しい編成で、北の森――以前、木材伐採の依頼で訪れた場所よりも、さらに奥へと、足を、踏み入れた。


「観察眼……看破の瞳」


俺は、慎重に、周囲を、確認した。


【解析中……】

【周辺環境】

生体反応:異常検出(未確認種)


「かなり、奥まで、来ましたね」


タクトの呟きに、俺は、頷いた。木々の密度が、次第に、増していく。以前は、決して、踏み込むことのなかった、深い森の、さらに奥へと。


しばらく進むと、俺たちは、これまで見たことのない、奇妙な、光景に、出くわした。木々が、まるで、時間が止まったかのように、淡い光を、纏っていた。


「これは……」


サーラがいれば、興味を持ちそうな光景だと、俺は、思った。


「観察眼……看破の瞳」


【解析中……】

【時間凍結領域(推定)】

反応:システムエラー相当の、異常空間


「システムエラー……?」


俺の呟きに、クロトが、緊張した表情を、見せた。


「ゲームの、バグ、みたいなもんか」


「多分、それとは、違う気がします。もっと、意図的な、何かのように、感じます」


俺たちが、慎重に、進んでいくと、光の空間の中心に、一つの、人影が、浮かび上がっていた。


【解析中……】

【???】LV:測定不能


「これは……」


その人影は、俺たちに、気づいたのか、ゆっくりと、こちらを、向いた。フードの奥から覗く、その顔立ちには、俺は、確かな、既視感を、覚えていた。

────────────────────

【ステータス】

名前:リョウ

LV:42

HP:248/248 MP:172/172

STR:160 VIT:132

AGI:145 INT:98


延命ポイント(LP):30.4日分

所持金:銀貨94枚

名声:1,010

満腹度:50/100


次のレベルまで:1,800/33,000


【冒険者ランク】

B


【装備】

胴:砂塵避けの軽装ローブ

武器:嵐風の双牙

足:革のブーツ

装飾:魔力の指輪

携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手(タクト)


【所持スキル】

・痛覚遮断

・看破の瞳

・植物知識・中級

・木工の心得・初級

・調合の心得・初級

・回復魔法・上級

・回避の心得・上級

・風纏・中級

・身体強化・中級

・文献解読・初級

・並列詠唱・上級

・対人戦の心得・初級

・灼熱耐性・初級

・風刃・初級

・調停の心得・初級


【称号】

・一線を越えた者

・世界の歪みを正した者

・簒奪者

────────────────────


最後まで読んでいただきありがとうございました。

クロトの葛藤、そして、森の奥に眠る、謎の存在。

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