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「命を喰うレベルアップ ―僕は誰かの余命で強くなる―」  作者: 黒豚
第4章 境界線の向こう側

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第五十五話 村の選択

第五十五話です。

どうぞよろしくお願いします。


扇動者の一件から、数日が過ぎた。


村の空気は、以前ほど、張り詰めたものではなくなっていたが、それでも、住人たちの間には、まだ、確かな戸惑いが、残り続けていた。


「今日、村の集会が、開かれるそうです」


朝食の席で、ユイが、そう伝えてくれた。


「集会、ですか」


「はい。ガラムさんが、中心になって、住人と巡礼者が、お互いの立場について、話し合う場を、設けるみたいです」


俺たちは、身支度を整え、広場へと向かった。既に、多くの住人と、何人かの巡礼者たちが、集まっていた。


ガラムが、台の上に立ち、皆を、見渡した。


「今日、集まってもらったのは、他でもない。先日の、あの騒動を、繰り返さないためだ」


ガラムの声に、広場が、静かになった。


「創設理念の公開以来、俺たち住人は、初めて、巡礼者たちの、本当の事情を、知ることになった。正直、戸惑いも、大きい。だが――」


ガラムは、一度、言葉を、区切った。


「だからといって、その事実を、悪意ある形で、利用しようとする輩に、流されるのは、間違ってると、俺は、思う」


住人の一人が、手を挙げた。


「でも、ガラムさん。俺たちは、これまで、ずっと、"巡礼者は、いずれ去る、特別な存在"としか、教えられてこなかった。それが、実は、こんなにも、重い事情を、抱えてたなんて……正直、どう向き合えばいいのか、分からないんです」


その率直な言葉に、俺は、静かに、耳を傾けた。


ガラムが、俺の方を、見た。


「リョウ、お前さんの、考えを、聞かせてもらえないか」


俺は、少し、驚きながらも、前に進み出た。


「俺は、正直、皆さんに、何かを、無理に、理解してほしいとは、思ってません。ただ――」


俺は、集まった人々を、見渡しながら、続けた。


「俺たち巡礼者が、この世界に来た理由は、それぞれ、違います。余命を、延ばすため。事故からの、回復訓練のため。理由は、様々です。でも、共通してるのは――皆、この世界で、確かに、生きようとしてるってことです」


俺の言葉に、住人たちが、静かに、耳を、傾けていた。


「皆さんも、この世界で、生きてます。俺たちと、皆さんの間に、本当の意味での、境界線なんて、ないんじゃないかって、俺は、思うようになりました」


「でも、私たちは、いずれ、あなたたちを、見送ることになる。それは、辛いことじゃないの?」


一人の女性が、そう、尋ねた。


俺は、少し、考えてから、答えた。


「辛いと、思います。でも――だからこそ、今、一緒に過ごせる時間を、大切にしたいと、俺は、思ってます。それは、皆さんにも、俺たち巡礼者にも、同じことが、言えるんじゃないでしょうか」


俺の言葉に、広場に、静かな、しかし、確かな、空気の変化が、生まれた。


「調停の心得、少し、役に立ってる気がします」


俺の呟きに、隣で、ユイが、小さく、微笑んだ。


ガラムが、再び、口を開いた。


「今日、俺たちは、一つの、決め事を、作ろうと思う」


ガラムは、用意していた、一枚の宣言書を、掲げた。


【村の新しい取り決め】

一、住人と巡礼者は、互いの事情を尊重し合う

一、いかなる理由があっても、

  相手の弱みにつけ込む行為は、許されない

一、共に、この世界を、より良くしていく


「これは、あくまで、始まりの村における、一つの、取り決めに過ぎない。だが――この考え方が、少しずつ、他の街にも、広がっていけばいいと、俺は、思っている」


その宣言に、集まった人々から、静かな、しかし、確かな、拍手が、起こった。


集会が終わると、俺は、深く、息を吐いた。


「なんとか、なりそうですね」


ユイの言葉に、俺は、頷いた。


「はい。でも、これで、全部、解決したわけじゃないと、思います。少しずつ、時間をかけて、向き合っていくしかないんだと思います」


その日の午後、俺たちは、久しぶりに、村の周辺を、ゆっくりと、見て回ることにした。


「ここ、懐かしいですね」


俺は、以前、銀葉草を採取した、あの丘陵地帯へと、足を運んだ。銀色の草が、変わらず、風に揺れている。


「観察眼……看破の瞳、使ってみます」


俺は、久しぶりに、この土地の様子を、確認した。


【解析中……】

【周辺環境】

生体反応:微弱(変化なし)


以前と、変わらない、穏やかな光景だった。だが、その中で、俺自身は、確かに、大きく、変わっていた。


「あの頃は、まさか、こんなに遠くまで、行くことになるとは、思ってなかったです」


俺の呟きに、タクトが、頷いた。


「俺も、同じです。始まりの村、カレナ、帝都、そして、海の向こうまで」


「これから、また、どんな旅が、待ってるんでしょうね」


ユイの言葉に、俺は、少し、考えた。


「分かりません。でも――」


俺は、丘の向こうに広がる、青空を、見上げた。


「まだまだ、知らないことが、たくさん、ありそうです」


夕暮れ時、俺たちは、村へと、戻る道すがら、あの、以前見た、猪型のモンスター――牙猪の姿を、久しぶりに、見かけた。


【解析中……】

【牙猪】

LV:6


以前は、これほどの強敵だった相手が、今の俺たちには、もはや、脅威にすら、ならなかった。


「懐かしいですね、こういう、雑魚敵」


ユイの言葉に、俺は、小さく、笑った。


「はい。あの頃の、必死さ、忘れないように、したいです」


俺たちは、牙猪を、あえて、傷つけないように、道を、避けて通った。奪わない道を、俺は、これからも、貫いていくつもりだった。


村へと戻ると、宿の前で、見覚えのある人影が、俺たちを、待っていた。


「よお」


その、少し、面白がるような、声に、俺は、思わず、足を止めた。


「クロト……!」


そこに立っていたのは、確かに、あのクロトだった。


「なんで、ここに……」


俺の問いに、クロトは、肩をすくめた。


「お前が、始まりの村に、戻ったって噂、聞いてな。俺も、久しぶりに、原点に、戻ってみたくなったんだよ」


その言葉に、俺は、確かな、懐かしさと、喜びを、感じていた。

────────────────────

【ステータス】

名前:リョウ

LV:42

HP:248/248 MP:172/172

STR:160 VIT:132

AGI:145 INT:98


延命ポイント(LP):30.4日分

所持金:銀貨94枚

名声:1,010(+20)

満腹度:60/100


次のレベルまで:1,800/33,000


【冒険者ランク】

B


【装備】

胴:砂塵避けの軽装ローブ

武器:嵐風の双牙

足:革のブーツ

装飾:魔力の指輪

携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手(タクト)


【所持スキル】

・痛覚遮断

・看破の瞳

・植物知識・中級

・木工の心得・初級

・調合の心得・初級

・回復魔法・上級

・回避の心得・上級

・風纏・中級

・身体強化・中級

・文献解読・初級

・並列詠唱・上級

・対人戦の心得・初級

・灼熱耐性・初級

・風刃・初級

・調停の心得・初級


【称号】

・一線を越えた者

・世界の歪みを正した者

・簒奪者

────────────────────


最後まで読んでいただきありがとうございました。

村の集会、そして、原点への回帰。

そして、クロトとの再会。

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