第四十七話 中継拠点
第四十七話です。
どうぞよろしくお願いします。
翌朝、サーラが、興奮した様子で、俺たちの宿を訪ねてきた。
「見つけたわ。『楽園中枢との接続履歴』を、擬似的に、満たす方法」
サーラが広げた資料には、この大陸各地に点在する、古い遺跡の分布図が、描かれていた。
「Elysiumの管理システムは、世界中に、中継拠点を持ってるはずなの。あなたが、帝都の管理区画で行った接続――あれと、同じ種類の記録が、実は、この大陸の、とある遺跡にも、残されてる可能性がある」
「その遺跡に行けば、条件を、満たせるってことですか」
俺の問いに、サーラは、頷いた。
「多分ね。ただ、場所が、かなり、厄介なの」
サーラが指差したのは、ラシャールから、さらに遠く離れた、山岳地帯だった。
「『崩れた尖塔』と呼ばれてる、危険地帯よ。強力なモンスターが、多く生息してるって、言われてる」
「行きましょう」
俺の即答に、サーラは、少し驚いたような顔をしたあと、笑った。
「頼もしいわね」
俺たちは、装備を整え直し、その日のうちに、崩れた尖塔へと、出発した。道中、山岳特有の、険しい地形が、俺たちの行く手を、阻んだ。
「観察眼……看破の瞳」
俺は、周囲に、意識を巡らせた。
【解析中……】
【周辺環境】
生体反応:複数(高密度、強力)
「これは、覚悟が、必要そうですね」
俺の呟きに、ユイとタクトが、頷いた。
尖塔の麓に近づくと、岩陰から、複数の、翼を持つ獣が、姿を現した。
【解析中……】
【岩鷲】
LV:55(複数)
「数、多いです!」
俺は、風纏と身体強化、そして、育った並列詠唱で、支援効果を、一気に発動させた。
「風刃!」
俺は、初めて習得した攻撃魔法を、飛来する岩鷲の一体に、放った。透明な刃が、正確に、翼を切り裂く。
「ユイさん、タクトさん、地上の敵を!」
「はい……!」
「分かりました!」
俺は、空中の敵に、風刃を連射しながら、地上の連携も、注意深く見守った。
「サーラさん、下がっていてください!」
「分かってるわ!」
サーラは、戦闘には加わらず、後方で、状況を記録しながら、俺たちを、見守っていた。
一体、また一体と、岩鷲を、着実に、討伐していく。
【岩鷲を討伐しました】(複数)
【討伐経験値を獲得しました】経験値:+2,400(累計)
「もう少しです、行きましょう!」
俺たちは、岩鷲の群れを退け、尖塔の内部へと、足を踏み入れた。
内部は、これまでの遺跡とは、明らかに異なる、機械的な構造をしていた。壁面には、見慣れた、システムウィンドウに似た、光る模様が、刻まれている。
「これ……管理区画の、雰囲気に、似てます」
俺の呟きに、サーラが、興奮した様子で、頷いた。
「やっぱり、繋がってるのね」
奥へと進むと、大きな、球体状の装置が、中央に、鎮座していた。
【解析中……】
【中継端末(推定)】
反応:稼働中、防御機構作動
「防御機構……?」
その言葉と同時に、装置の周囲に、複数の、光の魔法陣が、展開された。
「来ます! 構えて!」
俺の警告と同時に、魔法陣から、機械仕掛けの、人型の兵器が、次々と、出現した。
【解析中】
【防衛システム・実体兵】
LV:60(複数)
「これまでで、一番、強そうです……!」
タクトが、緊張した声で、呟いた。
「対人戦の心得、使えるか、試します」
俺は、育ったスキルを、意識に乗せた。機械的な動きにも、一定の規則性が、見出せる気がした。
「ユイさん、タクトさん、いつも通り、連携で!」
「はい!」
実体兵の一体が、鋭い刃を、俺に、振り下ろしてきた。俺は、回避の心得・上級で、それを、紙一重で、かわす。
「弱点、探ります」
【解析中……】
【防衛システム・実体兵】
弱点:後頭部、駆動核
「後頭部です!」
俺は、風纏を全力で発揮し、一体の背後へと、回り込んだ。
「風刃、追撃!」
俺は、近接攻撃に、風刃を織り交ぜながら、実体兵の駆動核を、正確に、貫いた。
【防衛システム・実体兵を破壊しました】
【討伐経験値を獲得しました】経験値:+800
「まだ、います!」
ユイとタクトも、それぞれ、着実に、実体兵を、無力化していった。数の多さに、俺たちは、一時、苦戦を強いられたが、連携の精度が、それを、上回っていた。
「これで、最後です!」
俺は、最後の一体へと、渾身の一撃を、放った。
【防衛システム・実体兵を破壊しました】
【討伐経験値を獲得しました】経験値:+800
全ての実体兵が、沈黙すると、中央の装置が、静かに、光を放ち始めた。
【中継端末との接続を確立しました】
【楽園中枢との接続履歴、記録完了】
「これで……!」
俺は、思わず、拳を握った。
【システム通知】
プレイヤー「リョウ」がLV34に到達しました
視界に浮かんだ、その数字に、俺は、改めて、この戦いの重みを、実感した。
サーラが、震える手で、装置に、触れた。
「この記録、あの、扉の条件を、満たしてくれるはずよ」
「早速、戻りましょうか」
俺の提案に、皆が、頷いた。俺たちは、崩れた尖塔を後にし、峡谷の扉へと、急いだ。
到着すると、俺は、改めて、扉に、手を触れた。
【巡礼者権限を確認しました】
【扉の起動条件を、全て満たしました】
その瞬間、扉が、重い音を立てて、ゆっくりと、開き始めた。
「開いた……!」
サーラが、感極まったように、声を上げた。
扉の先、広がっていたのは、これまで見た、どの空間とも違う、無数の光の粒子が、宙を漂う、幻想的な部屋だった。
「ここが……」
俺たちは、恐る恐る、足を踏み入れた。中央に、一つの、大きな水晶のようなものが、静かに、浮遊している。
【解析中……】
【始まりの記憶(記録装置)】
反応:起動待機中
俺が、その水晶に、手を伸ばそうとした、その時――
視界が、一瞬、白く、染まった。
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【ステータス】
名前:リョウ
LV:34(LV31 → LV34)
HP:200/200(+22) MP:138/138(+18)
STR:132(+12) VIT:108(+12)
AGI:120(+12) INT:78(+10)
延命ポイント(LP):29.8日分
所持金:銀貨94枚
名声:841
満腹度:55/100
次のレベルまで:420/21,000
【冒険者ランク】
B
【装備】
胴:砂塵避けの軽装ローブ
武器:嵐風の双牙
足:革のブーツ
装飾:魔力の指輪
携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手
【所持スキル】
・痛覚遮断
・看破の瞳
・植物知識・中級
・木工の心得・初級
・調合の心得・初級
・回復魔法・上級
・回避の心得・上級
・風纏・中級
・身体強化・中級
・文献解読・初級
・並列詠唱・上級
・対人戦の心得・初級
・灼熱耐性・初級
・風刃・初級
【称号】
・一線を越えた者
・世界の歪みを正した者
・簒奪者
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
崩れた尖塔での激戦、そして、ついに開いた扉。
次回、「始まりの記憶」に触れます。
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