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「命を喰うレベルアップ ―僕は誰かの余命で強くなる―」  作者: 黒豚
第3章 現実という名の戦場

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第四十六話 扉への道

第四十六話です。

どうぞよろしくお願いします。


遺跡を出ると、俺の腹が、盛大な音を立てた。


「あ……」


「随分、我慢してましたね」


ユイが、苦笑した。満腹度の数値を確認すると、既に、かなりの危険域に、差し掛かっていた。


俺たちは、街へと戻り、市場近くの食堂で、遅い夕食を取ることにした。この土地特有の、香辛料の効いた煮込み料理が、疲れた身体に、染み渡っていく。


【満腹度が回復しました】

現在:82/100


「生き返ります」


タクトが、深く息を吐いた。サーラも、屈託なく、料理を頬張っている。


「この街の料理、美味しいでしょう。故郷の味なの」


サーラの言葉に、俺は、頷いた。


「ラシャール、生まれなんですか」


「ええ。両親も、この街の、古参の考古学者だったわ。私が、この道を選んだのも、自然な流れだったの」


食事を終える頃には、日は、すっかり暮れていた。


「明日、早速、地図の場所に、向かいましょうか」


俺の提案に、サーラが、頷いた。


「そうね。準備、しっかりしていきましょう」


翌朝、俺たちは、番人から得た地図を頼りに、街の外れ、これまで訪れたことのない、深い峡谷地帯へと向かった。


「ここ、地図で示されてる、場所の近くのはずだけど……」


サーラが、地図と、周囲の地形を、見比べながら、呟いた。


峡谷の奥、切り立った岩壁の一角に、俺は、看破の瞳を、向けた。


【解析中……】

【隠された入口】

反応:微弱に検出


「あそこ、何か、あります」


俺の指差した先、一見、ただの岩壁にしか見えない場所に、微かな、違和感があった。近づいて、手を触れると、岩肌の一部が、音もなく、内側へと、開いていった。


「隠し通路……!」


サーラが、興奮した様子で、覗き込んだ。


「気をつけて、進みましょう」


俺たちは、慎重に、暗い通路へと、足を踏み入れた。


通路の先、開けた空間に、俺たちは、辿り着いた。そこには、これまで見た、どの遺構よりも、洗練された造りの、巨大な扉が、佇んでいた。


「これが、扉……」


サーラが、声を震わせながら、扉の表面を、そっと、撫でた。


俺は、文献解読のスキルを、発動させた。


【解析中……】

【扉に刻まれた文字】

解読可能


「なんて、書いてあるんですか」


ユイの問いに、俺は、慎重に、読み解いていった。


「『この扉は、楽園の理を持つ者、あるいは、その理を打ち破りし者にのみ、開かれる』……」


その一文に、俺たちは、しばらく、言葉を失った。


「楽園の理……もしかして、Elysium、そのもののこと?」


サーラの呟きに、俺は、頷いた。


「多分。俺たちみたいな、巡礼者のことを、指してるのかもしれません」


俺は、試しに、扉に、手を触れてみた。


────────────────────


視界が、一瞬、白く、発光した。


「な……!」


俺は、思わず、目を細めた。次の瞬間、視界に、これまで見たことのない、システムメッセージが、浮かび上がった。


【巡礼者権限を確認しました】

【扉の起動条件、一部を満たしています】

(不足要素:楽園中枢との接続履歴)


「不足要素……?」


俺の呟きに、光は、静かに、収まっていった。扉は、僅かに、振動したものの、完全には、開かなかった。


「今のは……」


サーラが、興奮と、困惑の入り混じった表情で、俺を見た。


「俺たち、巡礼者だから、少しは、反応したみたいです。でも――『楽園中枢との接続履歴』が、足りないって」


「楽園中枢……。それって、まさか」


ユイが、はっとしたように、俺を見た。


「フィリアさんの、あの、供給システムの、中枢のこと、でしょうか」


その可能性に、俺は、思わず、息を呑んだ。もし、そうだとしたら――俺は、既に、あの管理区画で、その「接続」を、経験しているはずだった。


「ミラ、これって……」


俺は、思わず、ミラを、呼び出した。


「はい」


「この扉、楽園中枢との接続履歴が、必要みたいなんですけど……俺、あの、管理区画に行ったこと、条件に、含まれますか」


ミラは、少し、間を置いてから、答えた。


「申し訳ございません。この扉に関する、詳細な情報は、私のデータベースには、存在しません。ですが――」


ミラの声が、少し、慎重なものに、変わった。


「あなたが、管理区画で経験した出来事が、何らかの形で、影響を及ぼしている可能性は、否定できません」


その言葉に、俺は、改めて、扉に、手を触れてみた。


【巡礼者権限を確認しました】

【扉の起動条件、一部を満たしています】

(不足要素:楽園中枢との接続履歴)


同じ、メッセージが、繰り返された。


「今は、まだ、開けないみたいです」


俺の言葉に、サーラが、少し、残念そうな表情を見せた。だが、すぐに、気を取り直したように、頷いた。


「それでも、大きな、前進だわ。この扉の存在自体、確認できたんだから」


「はい。もう少し、条件を、探ってみましょう」


俺たちは、扉の周辺を、丁寧に、調査した。周囲の壁面にも、いくつかの、追加の記述が、見つかった。


「『扉の先には、始まりの記憶が、眠る』……か」


俺の呟きに、タクトが、首を傾げた。


「始まりの記憶、って、なんでしょうね」


「分かりません。でも、この世界そのものの、成り立ちに、関わることかもしれません」


俺たちは、見つけた情報を、丁寧に、記録に残した。


「今日のところは、これくらいにしておきましょう。条件については、また、時間をかけて、探っていけばいいと思います」


俺の提案に、サーラが、頷いた。


「ええ。焦っても、仕方ないものね」


峡谷を出ると、日は、既に、傾き始めていた。俺たちは、街への帰路を、歩き始めた。


「今日も、色々、分かりましたね」


ユイの言葉に、俺は、頷いた。


「はい。少しずつですけど、この世界の、根っこの部分に、近づいてる気がします」


俺は、改めて、自分のステータスを、確認した。


────────────────────

延命ポイント(LP):29.6日分

────────────────────


数字は、緩やかに、増加していた。三十日という、当初の数字に、また、近づきつつある。だが、その道のりの中で、俺が見てきたものは、単純な時間の問題を、遥かに超えた、大きな謎の連続だった。


「明日は、また、通常の依頼を、こなしましょうか。稼ぎも、必要ですし」


俺の提案に、皆が、頷いた。異国ヴァルシアでの日々は、これからも、確かに、続いていく。俺たちは、それぞれの思いを抱えながら、ラシャールの街並みへと、足を進めた。

────────────────────

【ステータス】

名前:リョウ

LV:31

HP:178/178 MP:120/120

STR:120 VIT:96

AGI:108 INT:68


延命ポイント(LP):29.6日分

所持金:銀貨94枚

名声:841

満腹度:72/100


次のレベルまで:2,570/16,500


【冒険者ランク】

B


【装備】

胴:砂塵避けの軽装ローブ

武器:嵐風の双牙

足:革のブーツ

装飾:魔力の指輪

携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手(タクト)


【所持スキル】

・痛覚遮断

・看破の瞳

・植物知識・中級

・木工の心得・初級

・調合の心得・初級

・回復魔法・上級

・回避の心得・上級

・風纏・中級

・身体強化・中級

・文献解読・初級

・並列詠唱・上級

・対人戦の心得・初級

・灼熱耐性・初級

・風刃・初級


【称号】

・一線を越えた者

・世界の歪みを正した者

・簒奪者

────────────────────


最後まで読んでいただきありがとうございました。

「楽園の扉」発見、そして、まだ見ぬ「始まりの記憶」。

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