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「命を喰うレベルアップ ―僕は誰かの余命で強くなる―」  作者: 黒豚
第2章 供給の行方

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32/72

第三十一話 目覚め

最後まで読んでいただきありがとうございました。

フィリアの目覚め、そして帝都編の区切り。

第2章「供給の行方」、これにて一段落です。

ブックマーク・評価、応援よろしくお願いします!


ガイウスの拘束から、三日が過ぎた。


俺たちは、宿舎で、ゆっくりと身体を休めながら、事態の推移を見守っていた。ライアスからは、簡易供給装置の停止によって、フィリアへの供給効率が、以前の正常な状態に戻りつつあるという報告が届いていた。


「今日、また、管理区画に来てほしいと、ライアスさんから連絡がありました」


朝食の席で、ユイが、そう伝えてくれた。


「何か、動きがあったんでしょうか」


「分かりません。でも、悪い話じゃないといいですね」


俺たちは、身支度を整え、管理区画へと向かった。クロトも、同行してくれるとのことで、途中で合流した。


「呼び出しって、何の用件だ」


「詳しくは、分からない。とにかく、行ってみよう」


管理区画に着くと、以前訪れた、フィリアの眠る部屋へと案内された。中に入ると、セリアと、修復された操作盤の前に立つライアスの姿があった。


「来てくれたか」


ライアスの表情は、これまで見た中で、最も穏やかなものだった。


「実は、今朝方、装置に、これまでにない反応があった」


俺たちは、カプセルへと視線を向けた。ガラスの向こうで眠るフィリアの、指先が、微かに動いているのが見えた。


「これは……」


「目覚めの兆候だ。供給効率が正常化したことで、彼女の意識が、少しずつ、浮上し始めている」


ライアスの声には、隠しきれない喜びが滲んでいた。


俺たちは、静かに見守った。数分後、カプセルの中の少女――フィリアの瞼が、ゆっくりと開いた。


「……お父さん?」


小さな、掠れた声だった。ライアスが、震える手で、カプセルに駆け寄った。


「フィリア……! フィリア、聞こえるか!」


「うん……なんだか、すごく、長い夢を、見てた気がする」


フィリアの言葉に、ライアスは、涙を堪えきれない様子で、何度も頷いた。


「もう、大丈夫だ。お前は、無事だ」


俺たちは、その光景を、少し離れた場所から、静かに見守っていた。二十年という歳月をかけて、ようやく訪れた再会。その重みは、俺たちの想像を、遥かに超えるものだった。


「ありがとう……本当に、ありがとう」


しばらくして、ライアスは、俺たちに向き直り、深く頭を下げた。


「君たちがいなければ、この日は、決して訪れなかった」


「これから、フィリアさんは、どうなるんですか」


俺の問いに、ライアスは、慎重に答えた。


「装置から、完全に離脱させるには、まだ時間がかかる。だが、供給システムに頼る必要は、もうなくなる。ゆっくりと、正常な回復の道を、辿らせるつもりだ」


セリアが、静かに口を開いた。


「楽園機関については、正式に解体の手続きを進めます。ライアス氏には、これまでの行為について、然るべき責任を果たしていただくことになりますが……」


「もちろんだ。私は、覚悟している」


ライアスの言葉に、迷いはなかった。


「フィリアが目覚めた今、私が背負うべき責任から、逃げるつもりはない」


その姿勢に、俺は、複雑な感情を抱きながらも、確かな敬意を感じていた。


「セリアさん、一つ、お願いがあります」


俺は、思い切って口を開いた。


「ライアスさんの処遇、できるだけ、フィリアさんと一緒にいられるような形で、考えてもらえませんか。娘さんのために、道を踏み外した人です。でも、目覚めた娘さんの前で、また、離ればなれになるのは……」


俺の言葉に、セリアは、しばらく考え込んだあと、小さく頷いた。


「上に、掛け合ってみます。あなた方の功績を鑑みれば、多少の温情も、認められるかもしれません」


「ありがとうございます」


俺は、頭を下げた。奪わずに生きる道を選んできた俺にとって、この結末は、単純な正義では割り切れない、複雑なものだった。だが、少なくとも、これ以上、誰かが不当に犠牲になることはない。それだけで、十分な意味があると、俺は思った。


数日後、俺たちは、正式に、今回の調査団としての任務の終了を、セリアから告げられた。


「皆さんの働きにより、楽園機関の全容解明と、解体に、大きく貢献していただきました。ギルド本部として、正式に、感謝の意を表します」


セリアの言葉とともに、視界に、通知が浮かんだ。


【特別功績が認定されました】

名声:+150

称号「世界の歪みを正した者」を獲得


その称号の重みに、俺は、しばらく言葉を失った。


「これから、どうするんですか」


タクトの問いに、俺は、少し考えた。


「一度、カレナに戻ろうと思います。落ち着いたら、始まりの村にも、顔を出したいです」


「私も、一緒に行きます」


「俺も」


ユイとタクトの言葉に、俺は頷いた。クロトが、腕を組みながら、少し離れた場所から言った。


「俺は、しばらく、帝都に残る。だが、また、どこかで会うだろ」


「ああ、また」


俺たちは、固い握手を交わした。この一連の騒動を通じて、俺とクロトの間にあった距離は、随分と縮まっていた。


宿舎への帰り道、俺は、改めて、自分のステータスを確認した。


────────────────────

延命ポイント(LP):26.9日分

────────────────────


数字は、確かに、緩やかに増加していた。この帝都で過ごした日々は、俺にとって、決して楽なものではなかった。だが、その中で得たもの――仲間との絆、成長の実感、そして、この世界の抱える矛盾との向き合い方――それらは、何物にも代えがたい財産だった。


窓の外、帝都ヴェルシアの夕暮れが、静かに、街を包み込んでいく。俺は、その景色を、しばらく、目に焼き付けていた。


物語は、まだ、終わらない。だが今は、この一つの区切りを、確かに、噛み締めていたいと思った。

────────────────────

【ステータス】

名前:リョウ

LV:25

HP:145/145(全回復) MP:98/98

STR:78 VIT:68

AGI:76 INT:48


延命ポイント(LP):26.9日分(+0.2)

所持金:銀貨41枚

名声:570(+150)

満腹度:72/100


次のレベルまで:1,070/9,500


【冒険者ランク】

C


【装備】

胴:軽量強化胸当て

武器:疾風の双牙

足:革のブーツ

装飾:魔力の指輪

携帯品:保存食・簡易野営道具


【所持スキル】

・痛覚遮断

・看破の瞳

・植物知識・初級

・木工の心得・初級

・調合の心得・初級

・回復魔法・上級

・回避の心得・中級

・風纏・中級

・身体強化・中級

・文献解読・初級

・並列詠唱・中級


【称号】

・一線を越えた者

・世界の歪みを正した者(NEW)


【フレンド】

・ユイ

・タクト

・クロト


【パーティ】

・ユイ

・タクト

────────────────────


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