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「命を喰うレベルアップ ―僕は誰かの余命で強くなる―」  作者: 黒豚
第2章 供給の行方

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第二十七話 休日の帝都

第二十七話です。

どうぞよろしくお願いします。


翌朝、俺たちは、久しぶりに何の予定もない一日を迎えていた。


「今日は、本当に、何もしなくていいんですよね」


宿舎の食堂で、タクトが、確認するように言った。


「はい。セリアさんからも、ゆっくり休んでいいって、言われてますし」


俺の言葉に、タクトは、心底ほっとしたように、肩の力を抜いた。


「じゃあ、街、見て回りませんか。帝都に来てから、まともに観光する時間、なかったですし」


ユイの提案に、俺たちは頷いた。朝食を済ませ、俺たちは、身軽な格好で宿舎を出た。


帝都の大通りは、今日も多くの人で賑わっていた。だが、昨日までの緊張感を伴った視線とは違い、今日は、ただの観光客として、その賑わいを楽しむことができた。


「あそこ、見てください。すごい人だかりです」


ユイが指差した先には、色とりどりの旗が掲げられた、大きな市場があった。近づいてみると、宝飾品や、珍しい調度品、さらには、見たこともない魔道具まで、様々な品が並んでいる。


「わ、これ、なんでしょう」


タクトが、興味深そうに、小さな水晶玉のような品を手に取った。店主が、愛想よく説明してくれる。


「それは、簡易的な通信の魔道具だよ。離れた場所にいる相手と、短い言葉のやり取りができる」


「へえ……面白いですね」


三人で、しばらく市場を見て回った。俺は、旅の道具屋で、携帯できる保存食や、簡易的な野営道具を、いくつか買い足した。


「そういえば、ユイさんとタクトさんって、装備、最近どうですか」


俺の問いに、ユイは、自分の剣を確かめるように握った。


「そろそろ、また新調したいなって、思ってます。魔力を通しやすい素材のものが、あるみたいで」


「俺は、正直、籠手のことばっかり考えてました。もう少し、耐久性のあるものが、欲しいなって」


俺たちは、武具店を何軒か回り、それぞれ気になる品を吟味した。ユイは、軽量ながら魔力伝導率の高い、細身の剣を購入し、タクトは、装飾は控えめだが、頑丈さに定評のある籠手を新調した。


「これで、少しは、心強くなりましたね」


ユイが、新しい剣を、慣らすように振ってみせた。


昼過ぎ、俺たちは、大通り沿いの食堂で、遅めの昼食を取ることにした。


「そういえば、二人とも、こっちに来る前は、何してたんですか」


俺の問いに、ユイとタクトは、少し顔を見合わせた。


「私、実は、専門学校で、看護の勉強をしてたんです。人を助ける仕事に、就きたくて」


ユイの言葉に、俺は少し驚いた。


「そうだったんですね」


「はい。だから、リョウさんが、誰かを奪わない道を選んでるって聞いた時、なんだか、共感できたんです」


「俺は、正直、これといって、何もしてなくて」


タクトが、少し照れくさそうに言った。


「大学に行くつもりでいたんですけど、体調崩してから、それどころじゃなくなって。だから、こっちで、こうして色々経験できてること自体、すごくありがたいなって、思ってます」


俺は、二人の話に、静かに耳を傾けていた。それぞれが、現実で、それぞれの事情を抱えている。だが、こうして同じ時間を過ごしていると、その重さを、忘れられる瞬間が、確かにあった。


「リョウさんは、どうだったんですか」


ユイの問いに、俺は、少し考えてから答えた。


「普通の高校生でした。特に、これといった夢とか、なかったです。でも、こっちに来てから、色々経験して……自分でも、意外な一面、見つかった気がします」


「奪わない道を選ぶ、頑固さ、ですか」


タクトの言葉に、俺は笑った。


「頑固、なんですかね、それ」


「頑固ですよ、間違いなく」


ユイも、笑いながら頷いた。俺たちは、しばらく、他愛のない会話を続けた。


昼食を終えると、俺たちは、帝都の名所として知られる、大きな広場へと足を運んだ。中央には、噴水を囲むように、彫像が立ち並んでいる。


「綺麗ですね」


ユイが、噴水の水しぶきを眺めながら呟いた。


「はい。カレナとも、村とも、また違う雰囲気です」


俺たちは、広場のベンチに腰掛け、しばらく、行き交う人々を眺めていた。商人、貴族、冒険者――様々な立場の人々が、それぞれの日常を送っている。


「昨日、色々ありましたけど……今日みたいな、何気ない時間も、大事にしたいですね」


タクトの言葉に、俺は頷いた。


「はい。俺も、そう思います」


夕方近くになり、俺たちは、宿舎への帰路についた。買い込んだ荷物を抱えながら、俺は、今日一日の穏やかさを、改めて噛み締めていた。


宿舎に戻ると、セリアからの伝言が届いていた。


「明日、また、正式な会議を開くとのことです。今日はゆっくり休んでください、とのことでした」


伝言を受け取ったユイが、そう教えてくれた。


「明日から、また、忙しくなりそうですね」


「はい。でも、今日みたいな休みがあったから、また頑張れる気がします」


俺の言葉に、ユイとタクトが、それぞれ頷いた。


部屋に戻り、俺は、買い込んだ道具を整理しながら、今日一日を振り返った。ライアスやフィリア、楽園機関――重い真実と向き合う日々の中で、こうした何気ない時間が、どれほど貴重なものか、俺は改めて実感していた。


窓の外、帝都の夜景が、静かに広がっている。明日から、また新たな局面が待っているのだろう。だが今夜だけは、ただ、この穏やかな時間を、味わっていたいと思った。

────────────────────

【ステータス】

名前:リョウ

LV:20

HP:118/118 MP:78/78

STR:62 VIT:54

AGI:60 INT:38


延命ポイント(LP):26.3日分

所持金:銀貨41枚(-17、買い物分)

名声:360

満腹度:85/100(回復)


次のレベルまで:1,530/8,000


【冒険者ランク】

C


【装備】

胴:軽量強化胸当て

武器:疾風の双牙

足:革のブーツ

装飾:魔力の指輪

携帯品:保存食・簡易野営道具(NEW)


【所持スキル】

・痛覚遮断

・看破の眼

・植物知識・初級

・木工の心得・初級

・調合の心得・初級

・回復魔法・中級

・回避の心得・初級

・風纏・初級

・身体強化・初級

・文献解読・初級


【称号】

・一線を越えた者


【フレンド】

・ユイ

・タクト


【パーティ】

・ユイ

・タクト

────────────────────


最後まで読んでいただきありがとうございました。

久しぶりの、穏やかな一日でした。

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