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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~訳あり少女の意識の中で生き抜く異世界旅~  作者: うにかいな
第肆章 ~武闘会~

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第78話 決勝戦 ~前編~

サーミャの気を失った姿を見て、ルティーナは小さく息を吐いた。


「「「「「「おおおぉ~っ!」」」」」」


そして、ブランデァから高らかに勝利が宣言された。



「「「「白のお嬢ちゃんが勝っちまったぞぉ~っ! 一体何者だぁっ」」」」

「「「「優勝も行けるんじゃねぇか~?」」」」


「ルナリカお姉ちゃん~っ! すごいすごいっ」



ルティーナは倒れたサーミャに、『ヒーリング・ストーン』の首飾りを握らせて『キュア・ヒール』と囁く。

するとサーミャは癒しの光に包まれ、救護班が駆けつけるまでの治療されるのであった。


「(これでよしっ)」


(ルナの護身用なのに、使っちまっていいのか?)


「(いいの)」


「では、勝者のルナリカさんっ、一言お願いしますっ!」


「んんっ、次はいよいよ決勝です!」

「あんな事件がなければ、もっと楽しい大会になっていたと思います」

「決勝戦は、私とエリアルさんで、すばらしい試合にしたいと思っています」

「両者の応援を最後までお願いいたします――」


「素晴らしい~っ、ありがとうございましたっ」


「(マコトの受け売りだけどね……)」


「これから闘技場整備およびルナリカさんの連戦休憩ということで、三十分後に決勝戦を行いますっ!」

「今しばらくお待ちくださいっ!」



ルティーナは、皆が心配だとブランデァへ伝え、救護室へ様子を見に行きたいとお願いする。

今回は特例で、5分前には戻ってくる条件で許可が降りるのであった。


「んじゃ、エリアルさんっ決勝でっ」


「あぁ」


エリアルはルティーナの後ろ姿を見つめながら、思うところがあった。


「(ルナリカさんのあの戦い方って、魔法でなければなんなんだ?)」

「(僕は『魔法剣士』と呼ばれているけど、実際は魔法が使えるわけではないし)」

「(まさか……この剣の『能力(ちから)』と同じなんだろうか?)」




医務室へ向かう途中、馬琴(まこと)はルティーナの闘い方を称賛していた。


(さっきの戦いなかなか考えたな! とても良かったよ)


「(うん、もっと褒めて褒めて)」


(これなら、エリアルさんの戦いも任せても大丈夫だな)


「(でも……ミヤは正直、私の癖を知っててくれたおかげで手玉に取れたけど――)」


(……)

(――あれじゃねぇか? 医務室)



ルティーナは、心配そうに中を覗くのであった。

しかしそこには、ご飯を食べまくって、まるで病人に見えないシャルレシカと、その様子を唖然と見つめるロザリナの姿があった。


「あははぁ、シャルさんお元気そうで……」


「もぐもぐ~ぅ」


(食べながら喋るなっ!)


「リーナは魔力がないだけで怪我はしてないもんね」


「そうですね」

「格闘なら出来そうでしたが、魔力なしでは自動治癒も身体強化も使えませんからね」

「さすがにあの剣士には勝てそうになかったから辞退しました」


ルティーナのエリアルが戦えなかったことを残念そうにしていたことを伝えた。


「そうなんですね。申し訳ないことをしました」


「大丈夫よ、私が代わりに決勝で勝って来るから!」

「……ところで、みんなで応援は来れそう?」


「ミヤは、さっき運ばれてきましたけど……」

「意識はあったから、たぶん大丈夫です」


そこへ、足元がおぼつかないサーミャが回復師の制止も聞かずに姿を現す。


「よ、よぉルナ――」


バタッ


だが、力が入らず、その場に座り込んでしまう。


「あははは、脚を凍らされるときついな……やっぱりまだまともに歩けねぇか」


「大丈夫?」


サーミャは、どこか吹っ切れたような顔で言う。


「あたいを倒したんだ、みっともねぇ試合すんじゃね~ぞっ」


三人の無事を確認し、安心したルティーナは皆に宣言する。


「よぉ~っし! ここまで来たら、金千枚いただいてくるわよっ」


「期待してるぜ」

「期待してます」

「もぐもぐ~ぅ」


「「「あははは」」」


ルティーナは闘技場に戻ろうとする。

するとサーミャが一言だけ伝える。


「ちょっと遅れて三人で応援に行くから」

「即効で終わってんじゃねぇぞっ!」



ルティーナは無言で、背中越しに拳を突き上げ去っていくのであった。




――そして、ついに決勝戦の幕が切られようとしている。


ルティーナ対エリアル

――最後の闘いが始まる。


挿絵(By みてみん)



「「「「「ぅおおおおおお~っ」」」」」


「ルナお姉ちゃん~っ!」

「「ルナリカ~っ!」」

「「「かんばれ~っ」」」




「エリアルさん? 待ち時間が長すぎて体は冷えてませんか?」

「私は全開で行きますよ?」


「さっきのシャルレシカさんとの戦いを心配してくれているのかい?」

「戦いで温めてくれると嬉しいな」


二人は笑いあう。


「今度の相手は剣士なので、私も短剣でお相手します」



「「「「おいおい、今度は剣まで使うのかよ~!」」」」



「では、試合開始っ!」


いきなり、お互いの剣のつばぜり合いから始まる。


さすがに剣士であるエリアルに敵わないのは分かっていた。

事前に馬琴(まこと)から、鎧と短剣に【(かるい)】と【(かたい)】、両肩には【(ちから)】を施していた。


「ルナリカさん! なかなかやるじゃないか!」


ルティーナは、エリアルの剣技に対応ができている。

幼い頃からバルストに叩き込まれた技術も無駄ではなかったのだ。


「「「「おいおい、あの子供、剣士でもいけるんじゃないのかぁ?」」」」

「「「「誰だ? 無職って登録した失礼なやつは!」」」」


「(わしじゃ……)」


オリハーデはまともに試合を見ることができなかった。


「どうかしたの? オリハーデおじいちゃん」


「……」



「相当な剣の使い手の方が師匠なのかい?」


「長剣は重くて扱えないんです。だから、この短剣を両手で振り回すので精一杯ですよ」

「そっちだって、その剣技――師匠がいらっしゃるんでしょ?」


「(……)」



――数分間、剣の重なる音が響きわたり、会場は息を呑み、試合に見入って静まり返っていた。


「「「「おいおい、なんかすげぇ決勝になってきたぞ」」」」

「「「ルナリカ~負けるなぁ~」」」」

「「「エリアルも、がんばれっ~」」」」



そのうちに声を上げる者が増え始める。

試合前の組み合わせ発表時の不満を忘れさせるほどの熱気に包まれ始めた。


「先ほどのサーミャさんのような攻撃はしないのですか?」


「エリアルさんだって、魔法剣……まだ使ってないですよね?」



エリアルは早速、剣の切れ味を向上させることにする。


「ソード・オブ・スラッシュ」

(【(ざん)】)



(! まただ……なんだこの感じ)



エリアルは先程とは違う剣技を繰り出し、ルティーナの短剣を刃先を誘導し、斬れ味を向上させた魔剣で叩き割ろうとした。


しかし、歯が立たない。

レーニィ戦では、この世界で最も硬いとされる『オブシディアン・ストーン』製の槍すら容易く断ち切った斬撃だ。

にもかかわらず、ルティーナの短剣は砕けなかった。


「痛たた! なんて堅さだ!」


「へへ、ただの銅の短剣ですよ」

「(硬くしといてよかったぁ~)」


「うそっ! (これも謎の力を使っているのか?)」



エリアルは斬れないと悟ると、今度は剣に雷をまとわせた。


「ソード・オブ・プラズマ」

(【(かみなり)】)


剣を振るたび、雷光が迸る。

ルティーナは突然の攻撃に対応しきれず、避雷針の代わりに短剣を投げるしかなかった。


「危ない、危ないっ」


「(魔法で飛ばす雷と違って、あの雷は常に剣にまとわりついているの?)」

 

(俺達の力と……似ているようで似ていない――)


「(マコトは黙ってて! 私が攻略してみせるからっ)」



「さぁ、どうするルナリカさん?」



ルティーナは短剣を手放したまま、静かに笑った。


「なるほどね」


――攻略法を見つけた。


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