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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~訳あり少女の意識の中で生き抜く異世界旅~  作者: うにかいな
第肆章 ~武闘会~

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第70話 小休止

第一回戦の全試合が終了し、ついに第二回戦の組み合わせが発表された。



―― 第二回戦 組み合わせ ――


第一試合

職業無し(白):ルナリカ=リターナ

罠師(銀):ドルント=ブレバッハ


第二試合

剣士(銀):ブライアン=クレッサ

魔法使い(銀):サーミャ=キャスティル


第三試合

回復師見習い(銀):ロザリナ=ノザラ

傀儡師(銀):ワイズ=ブレッサル


第四試合

占い師(銀):シャルレシカ=ブルムダール

剣士(銀):エリアル=ストリング



組み合わせ発表後、闘技場は次戦への期待と熱気に包まれた。

そして――第2回戦準備のため、三十分の休憩に入る。


休憩中も、本戦参加者は自分の門から移動を許されていなかった。

そのため、ルティーナ、ロザリナ、シャルレシカの三人は、西門控室で次戦について話し合っていた。



「――一番問題なのは、シャルの相手よね」


ルティーナが小窓の向こうを見ながら呟く。


「あの女剣士……エリアルさんでしたっけ?」

「あの剣、光りましたよね?」


(見間違いじゃなかった!)


「光魔法……でしょうか?」


ロザリナも真剣な表情で頷いた。


「う~ん……」


ルティーナは腕を組み、小さく唸る。


(あの時の感覚……なんだったんだろ)


馬琴(まこと)の胸の奥には、妙な違和感だけが残っていた。


「どどど、どうしたらいいんですかぁ?」


かなり、追い込まれていたシャルレシカ。


「そうね、シャルはとにかく距離を取ること」

「土魔法で接近を止めながら戦うのが理想かな」


「! そっかぁ~」


シャルレシカは、何か作戦を思いついたように微笑む。

だが、その指先はわずかに震えていた。


「(私が負けたらぁ……拠点の夢が消えちゃいますぅ……)」

「(責任重大ですぅ~……)」

「(でも、私の索敵があればぁ~勝機がありますぅ)」



「――それよりリーナ。意外と落ち着いてるわね?」

「てっきり怒り狂ってるかと思ってた」


「ルナ、人を何だと思ってるんですか!」


ロザリナは苦笑した。


「これでも、かなり怒ってるんですよ」

「今すぐ東門に行って、ワイズをぶん殴りたいくらいには」


彼女は以前のヘルグレンの森での失敗を反省していた。


「でも、魔力を乱したら私の負けですから」


その声は穏やかだったが、目はまったく笑っていない。


「でも……」


ロザリナは小さく息を吐いた。


「ミヤも同じ気持ちを我慢してるんだなって思うと、私だけ感情で動くわけにはいかないですし」

「ここで反則負けしたら、拠点の夢も終わっちゃいますからね」


「そうだね」


ルティーナは頷き、皆に声をかける。


「とにかく二回戦もぶちのめせばいいだけよ!」


「……ですね」


ロザリナの瞳に、静かな闘志が灯る。


「ルナはぁ~、戦ってないですけどねぇ~」


「言わないで……」


「ところで、ルナは大丈夫なの?」

「あの罠師の秘密、分かったの?」


「う~ん……なんとなく、ね」


意味深に笑うルティーナ。

その様子に、ロザリナは少しだけ安心したように肩の力を抜いた。


「そろそろ休憩終わるわね」

「頑張ってね、ルナ」





観客席では――。


「おいおい、最初の白のガキと最後の豊満な姉ちゃんは負け確だろ?」


「まぁでも、ここまで来ただけでも金貨五十枚だろ? 満足だろ?」


「もぉぉ~っ! みんなルナお姉ちゃん達を馬鹿にしてぇ~っ!」


カルラが頬を膨らませる。


「まぁまぁ、カルラちゃん落ち着いて」


シェシカは楽しそうに笑った。


「ルナリカが戦えば、あいつら全員黙るから」

「それよりオリハーデさん」

「私、ヘレンの様子見てきますから、カルラちゃんお願いできます?」


「おぉ、任せておけ」


「ヘレンお姉ちゃん、大丈夫かなぁ……」


「ロザリナがすぐ治療したから命に別状はないわ」


そう言いつつ、シェシカの表情には険しさが残っていた。


「……それにしても、ワイズはやりすぎよ」


「そうだな」


アンハルトも低く呟く。


「あんな陰湿な戦い方する奴とは思わなかった」



「ところでカルラちゃん?」


オリハーデがニコニコしながら手を広げた。


「じぃじのところに来るか?」


「……」


カルラはじーっとオリハーデを見つめる。


「おじいちゃんって……ルナお姉ちゃんのこと大好きなんだよね?」


「もちろんじゃ!」


「ルナリカを馬鹿にする奴は、じぃじが許さん!」


「……なら、ちょっとだけ信用する」


「ちょっとだけ?」


なぜか二人の距離感が急激に縮まり始める。


「……なんだろう」

「最近、女性陣に警戒されるんじゃが?」


「爺さんの日頃の行いじゃねぇか?」


「グルバス! 冒険者免許を取り消すぞい!」



そんなやり取りを交わしながらも、観客席の視線は自然と『零の運命』へ向いていた。


「しかし、本当にすげぇな」


「四人全員、二回戦進出とか」



アンハルト達も予想外の結果に唖然としている。


「しかも、組み合わせまで綺麗にバラけてやがる」

「神懸かってんな……」


「しかも、現時点で金貨二百枚確定だぜ?」

「このまま行けば、本当に拠点建てちまうんじゃねぇか?」


「アイツら、いつも拠点の話してたもんな――」


アンハルトは腕を組み、小さく唸った。


「ルナリカとロザリナは、油断しなきゃ勝てる相手だろう」

「問題はサーミャとシャルレシカだ」

「あの二人の相手は……どっちもヤバい」


「魔法剣士のエリアルか……」

「あいつ、去年の優勝者だったよな?」


しかしオリハーデが話しに割り込む。


「あやつ、魔力無しだぞ? わしの鑑定に間違いはない!」


「……なのに魔法剣を使う」

「剣自体がサーミャの『エクソシズム・ケーン』みたいな魔道具なのか?」


「意味が分からねぇ」


「それに去年優勝して、1年もギルドに顔すら出していない……」


――誰も、彼女の正体を掴めていない。



「それより、ブライアンだ」


空気が少し重くなる。


「剣筋はヴァイスそのものだった」

「……間違いなく血縁だろうな」


「しかも、一週間前に突然ギルド登録してきた」


「タイミングが出来すぎてる」

「サーミャが復帰したって聞きつけて、大会に合わせて来たようにしか見えねぇよ」


「……どういうつもりなんだろうな」






王族席では――。


「ノキア王、お飲み物をお持ちしました」


「おぉ、デーハイグか」


ノキア王は満足そうに闘技場を眺めていた。


「第一回戦はいかがでしたか?」


「最初は不戦勝でどうなるかと思ったが……なかなか面白い」


「今年は豊作だな」


王は静かに笑う。


「これほどの逸材達……近衛師団や魔導師団に欲しいものだな」


「なぁハーレイよ。もうサーミャは引きこまぬのか?」

「なかなかの腕前だったぞ」


ノキア王の左側には魔法師団長の姿があった。


「あ~、優勝でもしたら考えてやりますよ」


すると右側に座る近衛師団長――ヘイガルも話に乗り始める。


「俺ぁ、去年一切連絡が取れなかったエリアルが気になりますねぇ」


ハーレイは呆れたように肩を竦める。


「それ、お前の好みが入ってんだろ? 歳を考えろよ」


するとヘイガルが眉を吊り上げた。


「あぁん? うるせぇ!」

「お前は女にモテるからいいよな!」


「――お二人とも、そろそろにしませんか?」

「二回戦目がはじまります」


「「……」」


「それよりノキア王、楽しまれるのはおよろしいですが、あまりご無理はなさらぬよう」

「胸のお怪我もございますので」


「大丈夫だ」

「今日はとても調子が良い」


ノキア王はゆっくりと目を細めた。


その視線は、ただ一人――。

ルティーナに向けられていた。


「(ふふふ……)」

「(決勝まで負けるなよ、ルナリカ)」


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