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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~訳あり少女の意識の中で生き抜く異世界旅~  作者: うにかいな
第肆章 ~武闘会~

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第67話 一回戦 ~其ノ弐~

第2試合が終了すると同時に、救護班が闘技場へ駆け込んだ。

爆発に巻き込まれた武闘家ヘルディンが治療され、運ばれていく。


――観客席は騒然としていた。


だが熱気をさらに煽るように、ギルド長ブランデァが声を張り上げた。


「では、本日最初の勝者となりましたドルントさんっ! 一言どうぞっ!」



しかし――。

その様子を見ていたルティーナは不機嫌になる。


「えぇ~っ!? 何よそれっ!」


控室では、ルティーナが机を叩いていた。


「私は不戦勝だったから?」

「とっとと追い返されたってことぉぉ!?」


サーミャは腹を抑えながらルティーナの肩を叩く。


「ははっ、言いたかったのかよ?」

「それよりさルナ。ありゃ魔法じゃねぇぞ」


「!」


「お前の攻撃に近くねぇか?」


「でも、逃げ回ってただけでしたよ?」


ルティーナは小窓の外を見る。

闘技場では、勝者ドルントが得意げに手を振っていた。


「(マコト、さっきのどうやったか? わかった?)」


(いや……微妙だな)


馬琴(まこと)も考え込む――。


(小窓越しだから断定できなかった)

(だが……何かを巻いていたようにも見えた)


「(巻いてた?)」


(……たぶんな)


あの爆発。

魔法ではない。


ルティーナは無意識に眉を寄せた。





「――ドルントさん、ありがとうございましたっ!」

「第2試合勝者は東門へ移動してくださいっ!」


ドルントはニヤリと笑う。


「(無職のガキが相手とか、ツイてるぜ)」

「(これで準決勝は固ぇな)」

「(……金貨百枚が見えてきた)」



そしてブランデァは、再び抽選箱へ手を伸ばす。


「どんどんいきますっ! 第3試合の抽選はっ!」


「西門1番っ! 闘技場へっ!」


「……っ」



サーミャの表情が変わる。


「一番って……あたいにガン飛ばしてた奴じゃねぇか」



そして、ゆっくりと男が闘技場へ姿を現した。

その鋭い眼光だけで、空気が張り詰める。


挿絵(By みてみん)


「俺は――ブライアン=クレッサ。銀の剣士だ」


「っ――!?」


名前を聞いた瞬間――。

サーミャの顔色が変わる。


「ど、どうしたのミヤ?」


「クレッサだと! ……ヴァイスと同じ」



控室の空気が一気に冷えた。


「それって、親族ってこと?」


馬琴(まこと)が低く呟く。


(だけど……あの雰囲気。それだけじゃない気がする)



一方、観客席でもざわめきが広がっていた。


「おい、アンハルト!」

「あいつ、クレッサって!」


「あぁ」

「それだけじゃない! 初めて見る顔だ」


「ほっほっほ」

「あやつなら一週間前に登録へ来た新人じゃ」


声をかけたのはオリハーデだった。


「剣士としては相当な実力だったのでな」

「『銀』で登録してやったわい」


「……新人」


アンハルトは目を細める。


「(予選直前に登録……か)」

「(しかもクレッサの姓……嫌な予感しかしねぇな)」



やがて東門から、対戦相手の銀級魔法使いが登場した。


お互いの挨拶が終了し、試合が開始される。

――と同時に、魔法使いは即座に距離を取る。



「『ライトニング・アロー』!」


高速の雷の矢が走る。


だが――。

ブライアンは避けた。


軽々と。

まるで見えているかのように。


「ちっ!」



魔法使いは連射する。

しかし、それでもブライアンは動じない。


彼は盾で魔法を弾きながら、一気に距離を詰める。

そして高速の剣を繰り出す。


「っぶねぇな!?」

「お前、殺す気か!」


「……当たり前だろ?」


ブライアンの口がにやける。

だが、その目は笑っていなかった。


「戦いってのは、『殺す』か『殺される』かだ」

「悪いな」

「俺の目的のために――お前には死んでもらう」


「ひっ――い!?」


空気が変わった。

観客席から笑い声が消える。


ブライアンの剣筋は、明らかに異常だった。


致命傷だけは避けながら。

だが、恐怖だけを刻み込むように撃ち続ける――。


法衣を裂き。

肌を掠め。

逃げ場を奪う。


「くそっ……!」


魔法使いは詠唱ができず戸惑う。

そして破れた服が足に絡まり、転倒した。


その瞬間――。

ブライアンは剣を、顔面すれすれに突きつける。


「さぁ、どうする?」


「い、命だけは――!」

「参りましたっ!!」


「勝負ありっ!」



ブランデァが叫ぶ。


「第三試合勝者っ! ブライアン=クレッサぁっ!!」


会場がどよめく。

闘技場から、さっきまでの熱狂が消えていた。



「で、ではブライアンさん、一言どうぞっ!」



ブライアンは西門控室の小窓――。

その奥でこちらを見ているサーミャを睨みつけながら、叫ぶ。


「魔法使いなんざ雑魚だ」

「全て――切り刻む」


その言葉に、サーミャの眉がぴくりと動く。




そして控室へ戻ってきたブライアンへ、サーミャは声をかける。


「おい。あんた」

「ヴァイス=クレッサを知ってるか?」


ブライアンは鼻で笑う。


「……さすがに気づいたか」

「だが、お前を殺すのは俺だ!」

「反則負けになってでもな」


「ちょっと待てって!」



サーミャが掴みかけた瞬間――。


「西門四番っ! 闘技場へっ!」


「四番だと! ――あたいじゃねぇか!」


サーミャは舌打ちしながら門に向かって振り返る。


「――都合がいい」

「この試合に勝って、二回戦で直接聞き出してやる」



闘技場へ上がったサーミャは、堂々と名乗る。


「あたいはサーミャ=キャスティル! 元・金級魔法使いだっ!」

「どうだっていい! とっとと試合を始めろっ!」


その瞬間――。

会場がざわついた。


「元・金級だと……?」


「なんでそんな奴が本戦に……?」



一方、東門から現れた銀の剣士ライゲルは鼻で笑う。


「元、ねぇ?」

「落ちぶれたってことだろ?」

「杖すら持ってねぇ魔法使いなんざ――」



サーミャは睨みつける。


「はぁ?」

「その口、二度と利けねぇようにしてやろうか?」

「あたいは、今、無性に機嫌が悪いんだ!」


「くそ生意気な小娘が!」


「悪いけど、瞬殺させてもらうぜ」


「なっ――!」



そして、試合が始まる。



ライゲルは、サーミャが魔法の準備を始める間も与えずに剣で突進してくる。


その瞬間――。


「『ストーム・サイクロン』」


目の前に暴風が炸裂した。


「うおっ!?」


ライゲルは闘技場の外へ吹き飛ばされる。

あわてて闘技場に戻ろうとしたが――。


間髪入れず、空中には無数の矢が展開されていた。


「『ライトニング・アロー』」


「こいつっ! 杖もないのに……」

「いや、無詠唱――!?」


雷光が闘技場を埋め尽くした。


「……終わりだ」


轟音。

閃光。

そして。


「ぎゃああああっ!!」



剣士は黒焦げのまま倒れ伏した。


沈黙。

数秒遅れて、観客席が爆発する。


「しゅ、瞬殺だぁぁぁぁ!!」


「なんだあの魔法!?」


「元金ってマジかよっ!」



ブランデァも興奮気味に叫ぶ。


「ライゲル戦闘不能っ!! 第4試合勝者っ! サーミャ=キャスティルぅぅっ!!」



大歓声の中。

サーミャは、西門控室の小窓――。

その奥でこちらを見ているブライアンを睨みつけながら、叫ぶ。


「剣士なんざ敵じゃねぇ」

「ぶっ潰す――それだけだ」


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