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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~訳あり少女の意識の中で生き抜く異世界旅~  作者: うにかいな
第肆章 ~武闘会~

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第60話 絵空事

それぞれの用事を終えたルティーナ達は、カルラの宿前で再び顔を合わせていた。


「ルナお姉ちゃん~おかえりぃ」


「あっカルラ! 何よその服、めちゃくちゃ可愛いじゃない」


「……」

「あの二人を見てると……」


「ああ゛ん? 何を言いたいのかなぁ? ミヤ?」


「ゲホッゲホゥ、な、なんでもないよ……」

「そ、それより部屋でギルドの状況を話すぜ」

「――あと、面白い話もあるんだ」


「?」



そして、サーミャはアンハルトから聞いた話を共有した。


その話を聞いた馬琴(まこと)


バルステンで起こった事件が原因であることの確証を得た。

しかし、行方不明の冒険者が居たことに驚愕した。


(まさか、ゲレンガの『実験』に使われていたのか)


ドグルスは呪いの石。

ゲレンガは魔物化の薬。

他にも、何かあるのではないか――。


(まだ裏で何か動いているのではないか……)


嫌な予感だけが残った。

 

ルティーナは一瞬、複雑な顔になるが、真顔で答える。


「ありがと……」

「この先、やつらが接触してくる確率は大いにありそうね」


しかしサーミャが、暗くなった雰囲気を一掃する。


「警戒も必要だけどよぉ」

「どうこう考えたってしょうがねぇだろ?」


「さっき言ってた、面白い話と関係でも?」


ルティーナはサーミャを覗き込む。


「それがな、一週間後にノモナーガ王国の『生国祭』があるんだ」


ルティーナは目を上に向ける。


「そういえば、子供のころお父さんに連れていてもらった記憶が、この前のようにあるわ」


(そりゃ寝てたからこの前だろうな、ははは)


「(ていっ!)」


ルティーナは、心の中で馬琴(まこと)を軽く小突いた。


「……で、それがどうかしたの?」


「ここ二年ほど前から始まったらしいんだが――」

「その最終日に『王国武闘大会』ってのがあるらしいんだ」


「舞踏会? 踊るの?」


「なわけねぇーよっ! なにボケてんだよルナっ」


(戦う方だよ)


ルティーナの目が輝く。

サーミャは身を乗り出しながら、話を続ける。


「それっ! そして~これがただの大会ではないのだよっ!」


(お前、誰だよっ?)


サーミャは皆にアンハルトから聞いた昨年行われた『王国武闘大会』の詳細を話し始めた。



――王国武闘大会。


『銀』以下の冒険者であれば誰でも参加可能。

予選を勝ち抜いた十六名で、本戦トーナメントが行われる。


一回戦突破で金貨五十枚。

準決勝進出で『冒険者の階級』が一つ昇格。



「(それって、私、『銀』の冒険者になれるチャンスじゃん)」


(――優勝すればなっ)



準優勝で金貨三百枚。

準決勝敗退でも金貨百枚。

優勝すれば金貨五百枚に加え、『冒険者の階級』が二段階昇格(ただし、上限は『金』)。


つまり――。

一攫千金の大イベントだった。



「アンハルトが言うには、冒険者の原石を底上げするのが目的で始まったらしいぜ」


「一回戦を勝つだけで金貨五十枚……大盤振る舞いだよね」


「リーナまでぇ~」

「まさかあんた達……」


「「出ないの? ルナ」」


(あ、ガイゼルさんが言おうとしたことって――そういうこと……)


「ミヤぁ達ならぁ~上位にぃ入れそうですねぇ~」


シャルレシカは他人事のようにお菓子を食べていた。


「はぁ? シャルあんたも出るんだよっ」


「ほへぇ? 私ぃ非戦闘員ん~」


シャルレシカの動揺は計り知れない。


「あたい達四人で上位を独占できれば、金貨千枚だぜ!」


三人の目が、一気に輝いた。


「いやいや、そんな都合よく――」


「そこでだ」

「あたいたち専用の……拠点……建てたくないか?」


「ルナ、拠点だって! 拠点! いいですねぇ~」


(おいおい……まるで絵空事だな)

(対戦形式で、上位に入る組み合わせなんて……どんな確率かわかってんのか?)


「(いいんじゃない? 夢があって)」


(まぁ拠点ができれば、風呂もつけれそうだな? 女の子なんだし)


「(はぁ? マコト、いやらしいこと考えてない?)」


(ち、違ぁ~う、毎回、お湯で体を拭く生活もいやだろ?)

(昔のトレンシリアの家に住んでいたころ、よく入ってたじゃないか)


「(そうね、それは憧れるかも、考えとく)」


「んじゃ、誰が優勝しても恨みっこなし!」

「金貨千枚いただきましょう!」


「「「お~」」」

「私はぁ無理ぃ~」


シャルレシカ以外の三人の目標は完全に一致した。

しかし、ルティーナはある現実に気付く。


「ところで? ミヤ」

「盛り上がってるの悪いんだけど……」



私たち、参加資格あるの?



「あ……」


サーミャの目が泳ぎ始める。


「あ……じゃないわよっ! そこしっかり聞いといてよっ」


「……(っしまった肝心なこと聞いてねぇ~や)」

「そ……そうだそうだっ、そろそろご飯だぞシャルっ」


「「ごまかすんじゃないっ!」」


ロザリナはそんなやり取りを見ながら、つい噴き出してしまう。


「あはっはは、ルナ達っていっつもこうなの? 楽しい~っ」


「明日ギルドに行って、レミーナさんに聞いてみましょ」




そして、翌日、四人はギルドへ足を運ぶ。

そこには慌ただしく走り回る受付嬢――レミーナの姿があった。


「レミーナさ~んっ」


「あぁルナリカちゃん、こんにちは」

「どうかしたの血相かいて?」


「ちょっと話を――」


「あぁ例の件ね? そんなに慌てなくても大丈夫だよ――」

「私、今ちょっと急いでるから後でねぇ~」


「えぇ、ああああ、ちょちょちょ~レミーナさ~んっ」


「今日はぁ随分騒がしいですねぇ~?」


シャルレシカは首をかしげる。

サーミャはいつもと違うギルドの雰囲気に違和感を覚える。


「それにしても、今日のギルドはやけに人が多くねぇか?」


「あぁ~ルナぁ、あそこあそこぉ~レミーナさん居ましたよぉ~」


「?」



レミーナは突然、用意された机の上に凛々しく立ち上がる。


「ん、ん~はぁ~い! 皆さんお待たせしました」

「十日後に開催される『王国武闘大会』への第一回目の参加票を配布します~」


「「「「!」」」」


「一回目は配布枚数に限りはございません」

「ただし、明日の二回目以降の配布は人数調整させていただきますので、ご了承ください」


ルティーナ達はサーミャを睨みつける。


「知らなかったら、出られなかったかもしれないじゃんっ! ミヤぁ~」


「あははは……」



そしてレミーナは案内を続ける。


「詳しい賞金やルールについては、そちらをご覧くださ~い!」

「基本的に昨年とルールは変わっておりません」


さらにレミーナは、会場を煽るように拳を突き上げる。


「さぁ! お前たち!」

「『金』の冒険者になりたいかぁ~っ!」


「「「「「「おぉぉ~~っ」」」」」」


「賞金が欲しいかぁ~っ!」


「「「「「「おぉぉ~~っ」」」」」」



(なんなんだ、この状況?)


「おっルナリカ、やっぱり来たか?」


そこへアンハルトが声をかける。


「肝心なことを話す前にサーミャは喜んで帰っちまったからな……」

「よかったよ、参加票が手に入って」

「うちからはヘレンが出るから、対戦相手になったら手加減してくれよ」


「あ、あはは、そうかヘレンは『銀』だもんね」

「(もうヘレンとは戦いたくないかも……)」


(あの洞窟での闘いは、正直トラウマ級だったからな)


「?」


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