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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
最終章 ~黒竜《ブラック・デンゴラド》~

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222/225

第222話 告白

ルティーナ達は、宿敵――長明(ながあき)を倒し、ロザリナを取り返した。

そして残るは、この先、六度目の満月の夜に復活するという黒竜(ブラック・デンゴラド)を倒す。

それが五人と馬琴(まこと)が導いた答えだった。


ルティーナは、長明(ながあき)の孫だと思い込み落ち込んでいたロザリナを、本当の曾祖父母である春斗(はると)達と再会させ、ようやく笑顔を取り戻すことができた。



「さぁ……ロザリナ、おいで」


涙を浮かべるロザリナの背中を押し、ルティーナは三人だけを残して部屋を去るのであった。


部屋を出たルティーナの前には、ヘレンが寂しそうな顔をして待っていた。


「ヘレン……」


ルティーナは戦に赴く前、ヘレンと、姉ロザリナとの再会を約束していた。

しかし、ロザリナが長明(ながあき)の件で酷く落ち込んでいたことと、春斗(はると)達と一緒にいられる時間が限られていることを思い、少しでも一緒にいさせてあげたいと伝えるのであった。


「ううん、いいんです」


ヘレンは、少し涙目ではあったが、ルティーナに笑顔で答える。


「お姉ちゃんが喜んでくれるなら……私はこれからも一緒だし」


(ヘレンもハルトさん達の寿命のこと……気付いてたのか)



そうしてルティーナとヘレンは、全員が待つ部屋へ戻る。

サーミャ達が武勇伝を語り、皆、あきれたように聞いていた。

そこには、騒ぎを聞きつけたヘルセラも一緒にいた。


馬琴(まこと)は今が頃合いと思い、その場をルティーナに仕切らせる。


「皆、聞いてほしいことがあるの」


「「「「「「「!」」」」」」」


「ルナリカ、俺達も聞いていい話なのか?」

「何か隠していることは気づいていたが……」


アンハルトは今までのルティーナの行動に違和感を持っていたが、あえて聞くことはしなかった。


「はい。皆さんに聞いてほしいんです」


馬琴(まこと)は今まで、秘密を小出しにして説明してきた。

しかし、長明(ながあき)との闘いも終え、残る問題は黒竜(ブラック・デンゴラド)との最終決戦のみ。

ここで全てを話すことを決意する。


「すべては八十年前にノモナーガ王国で行われた『勇者召喚』から始まるの――」


ルティーナから語られる、馬琴(まこと)が理解している八十年前の真実。

それは、皆の想像を遥かに超えるものだった。


「じゃあ、今、病室にいるハルトさん達は……」


「はい。ナガアキと同じく召喚された仲間の勇者なんです」


「しかし、抹殺命令が出ていたなんて……ナガアキに同情しなくもないが」


アンハルト達は、あまりにも壮大な話に理解に苦しみながらも動揺していた。


そして、八年前にも『勇者召喚』が行われ妨害された事実と今までの出来事を伝える。


「ルティーナ……」


話を聞き終えた後、一番動揺していたのは、もちろんルティーナの両親であるバルスト夫婦であった。


「そ、そうなのね、その不思議な力は、ルティーナが七年間眠っていて覚醒した力でなかったのね……」


「あの時は……危険に巻き込みたくなくって――」

「そう言うしかなかったの……ごめんなさい……お母さん」


しかしバルストは、ルティーナの名前を言ったまま硬直していた。


「ルナが無事なら――んっ あなた? どうしたかしたの?」


バルストは突然、ルティーナの両肩を掴み前後に思いっきり揺さぶりながら焦り始める。


「な、何? お父さん……痛い痛いっ」


「る、る、る、ルナ……お前の中にいる、ゆ、勇者は女か? まさかぁ男じゃないよなぁ?」


「えっ、おっさんだよ」


(まだ、三十だって!)


バルストのルティーナへの揺さぶりが激化し、怒りが頂点に達する。


「お、おっさんだとぉ~っ!」

「お前が男勝りになったのは、そいつが原因かぁ~っ!」


「え、えぇ~、ちょ、ちょっと待って待ってぇ~」


(男勝りなのは、子供のころから剣技を学ばせたバルストさんのせいでは?)


「ああ゛ぁぁー、む、娘の貞操がぁ――」


バコーンッ


錯乱するバルストは、アンナから頭に張り手をされる。


「な、何をするアンナ! 一大事だぞ!」


「あなた? ――もう一発、欲しいですか?」


バルストはアンナの狂気の顔を見た瞬間、冷静さを取り戻す。


全員が『親バカ』だと呆れる中、ルティーナは馬琴(まこと)がその知識と能力がなければ今の自分達はなかったと、必死に説明するのであった。


「――確かに、そうだな」

「あの時、ルティーナが助けに来てくれて、その力で助けてくれなかったら……」

「俺もアンナも、タリスさん夫婦も、全員死んでいたのだからな」


バルストはルティーナに向かって頭を深々と下げる。


「取り乱して悪かった……ありがとう、マコト殿」


(殿ぉ? あはは……ちょ、調子狂うな)


アンハルトは、ルティーナ達の話を聞いて、今まで自分達も救われた理由に納得がいく。


「ということはエリアルの中にも、勇者の魂がいるってことなんだよな?」

「その方は紹介してもらえないかい?」


エリアルは少し複雑な顔をする。


「……あ、僕の中にもいると言えばいます」

「トモミさんという女性の方なのですが……理由はわからないのですが、意思疎通はできていないんです」


「どういうことだ? しかし、その魔剣は」


「でも、力は、願えば貸してくれています……」


バルストはその話に耳が反応する。


「そうなのか……(ルナの方も女勇者だったら良かったのに……)」


(ヘックションッ)


「(何よ、びっくりするじゃない!)」


(なんだろ? 殺意が)



アンハルトは改めてルティーナ達を見つめる。


「しかし不思議な縁だな、こんなに勇者関係者が揃うなんて……」


半年後に復活する黒竜(ブラック・デンゴラド)を予言したヘルセラも納得する。


「さしずめ、厄災を倒すために皆が導かれてたのじゃろうな」


全員が頷きながら、すべてではなくても重要な秘密を話してくれたルティーナに感謝した。

ルティーナは今まで抱えていた秘密を皆に吐き出すことができ、自然な笑顔が戻る。


しかしバルストは顔をしかめる。


「なぁルティーナ……お前達しかその厄災のブラックなんたらを止められないのか?」


ルティーナは真剣な顔でバルストとアンナを見つめ頷く。

すると、アンナは口元を塞ぎながらバルストに肩を寄せる。


(さぁ、ここからが本題だぞルナ)


「(うん)」


ルティーナは、話を再開する。

黒竜(ブラック・デンゴラド)を討伐する前にやらなければいけないことが残されているのだ。


「厄災との闘いはまだまだ先です」

「その前に、確認しなければならないことが――」


「確認?」


ルティーナはノキア王を全面的に信じているわけではなかった。

もし八年前の『勇者召喚』が成功していたら、ノキア王は馬琴(まこと)をどうするつもりだったのか――その真意を確かめる必要がある。


「そうか、ナガアキには暗殺部隊が仕向けられたんだよな」


しかしアンハルトは目を細める。


「……そんな話、俺達に話してよかったのか?」

「厄災の討伐は、ノキア王の返答次第って意味だよな?」


ルティーナは小さく頷く。。


「でも、どういう答えが返ってこようと、マコトは倒す気満々ですけどね」

「だから心配しないでください」


そしてルティーナは、いたずらな表情を浮かべアンハルト達を見つめる。


「それに皆さんとは……もう運命共同体ですよ」

「今さら隠し事する仲でもないでしょ?」

「今後もいろいろと力を貸してもらわないといけませんしね」


アンハルト達は、緊張感のなさに呆れてしまう。


「いつも通りか、心配して損をしたよ」


それを見たグルバスはアンハルトの肩を叩きながら、笑い始める。


「しっかしよぉ、おまえら全員でかかれば、たかが厄災の一匹や二匹? 楽勝じゃねぇのか?」


しかしサーミャがグルバスのこめかみを握り締める。


「相変わらず筋肉脳だな? おめぇは」


「あぁ~ん? やんのかサーミャ」


エリアルが二人の喧嘩を止めるように割り込む。


「僕達は、イスガで厄災と同族のデンゴラドと戦ったんです」


「「「「「「!」」」」」」


「皆さんが無事ってことは、勝ったんですよね?」


「……完勝じゃねぇがな」

「あたいの不意打ちで動けなくして、なんとかルナとエルがトドメを刺したんだ……」


ルティーナ達は、その竜(デンゴラド)は下っ端だということを伝えた。


「――言ってたのか? 魔物が喋るのか?」


「いいえ、彼らは思念のように語り掛けてきます」


「もう何がなんだか……」


バルストは頭が痛くてしょうがなかった。


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