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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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221/224

第221話 掴ム未来

馬琴(まこと)は長明(ながあき)から召喚された勇者の不遇な扱いを聞かされる。

長明(ながあき)の狙いは、ルティーナ達と馬琴(まこと)の間に思想の違いを植え付け、分断させることであった。


しかし――ルティーナ達の心は一つだった。


「私たちとマコトが協力して、ブラック・デンゴラドを討ち倒す」

「そして、平和な未来を作って見せるわ!」


「「「「「そしてマコトとトモミさんを元の世界へ戻してあげるのよっ」」」」」


(ありがとう皆! 俺も、みんなの未来を守って見せる!)


「(うん)」


長明(ながあき)の狙いは完全に外れる。


「ふん、つまらん……揺るがんか……!」

「相当なお人好し連中――ブハッ――ゴホッゴホッゴホッ」


「ナガアキっ!」


長明(ながあき)は吐血が止まらなくなり、意識が朦朧とし始める。


「これで最後か……最悪な人生だった――」

「――せいぜい後悔するがいい! 黒竜(ブラック・デンゴラド)の力に落胆しろ」

「マコトぉ! こいつらを見捨てて……逃げておけばよかったと――ブハッ――」


「な、ナガアキ……」


「せいぜいノキアには気をつけるんだな……」


(忠告は受け取っておくさ)

(真意は確かめる必要がある……)


「(マコト……)」


長明(ながあき)は、うすら笑いを浮かべ、満足そうな表情を見せる。


ゴゴゴゴゴゴゴッ!

ドゴーンッ!


「「「「「!」」」」」


(また地震か……)


――その時、もう一つの火山も噴火し始めていた。


「もう時間……か」

「だが、これで終わったと思うなよ……くくく」

「最後にお前らの苦悩する顔が見れなかったのが……心残りだ――」


長明(ながあき)は、そう言い残しながら息を引き取っていた。

シャルレシカは、それを理解しルティーナ達に伝える。


「そう……終わったんだね……」


(ルナ、もう『マジックシール・ストーン』を捨てても大丈夫だ……もう洗脳も解けたから爆散させられることもない)


「(マコト……あっさりしてるわね)」


(これ以上考えても、仕方ないさ)

(とりあえず、脅威は一つ消えたんだからいいじゃないか)


ドゴーンッ!

ドゴーンッ!


「やべえぞ! とっとと、この場から避難しようぜ」


ルティーナ達は後味の悪さを残しながらも、長明(ながあき)の躯をその場に残して八丈島を脱出することを決める。

サーミャに全員でしがみつき、転移魔法でハーレイの元へ飛んだ。



一方、モルデリド王国のハーレイの病室――。


ギュイーンッ――


「よっと! 戻って来れたぜ!」


ハーレイはそこで眠っていたが、そばにはウェンディが付き添っていた。


「おかえり! みんなぁ」

「ナガアキの野望を打ち砕くことができたってことでいいのよね?」


「あ、はいっ」


ウェンディは五人に抱き着き、喜びを分かち合った。


「最後まで手伝えなくてごめんなさいね」


「く、苦しいですよウェンディ様」

「――王達に報告に行きたいんですが……」


その騒ぎに気付いたハーレイが目を覚ます。


「な、騒がしいと思ったら……」


ハーレイは、すべてを聞かなくとも状況を理解した。


「そうか、よくやったな!」


「もう体調は大丈夫なんですか?」


満足そうにウェンディが答える。


「うふふ、大丈夫よルナリカちゃん! 私が愛情をたっぷり与えましたからね」


ウェンディは両頬を抑えながら悶える。

その姿を見たサーミャは顔が引きつり、ハーレイが動揺する。


「ウェンディちゃん! それは言わなくていい――」


「はーぁ? あたいらが大変だった間――イチャコラしてたのかよ?」


「――し、してねぇしっ!」


「「「「あははは」」」」


長明(ながあき)との戦いで疲れ切っていたルティーナ達の顔に、笑顔が戻る。

しかしロザリナだけは作り笑顔だった。



その後、ウェンディに連れられ二人の王の待つ居室へ向かう。


「おぉ! ルナリカ! 『零の運命』達よ!」

「無事に戻って来たか!」


モルディナ王は、労いの言葉をかけた。

ルティーナ達は、モルデリド王に急ぎ報告する。


「ナガアキは死にました」

「これでモルデリド王にかけられてた洗脳は解けましたので、ご安心ください」


「そうか、これで余は怯えずに生きていけるのだな」


ルティーナは小さくうなづく。


「ありがとう……この命を救ってくれた、君たちには感謝だけでは済まない」


モルデリド王は褒美を申し出るが、ルティーナ達は断る。

物足りなそうな王を横目に、モルディナ王は話題を変える。


「ところで、ナガアキとは一体何者だったのだ?」


モルディナ王にとって、長明はモルデリド王を洗脳し、国を分断させ戦争まで引き起こした男でしかなかった。


「(マコト……どうするの?)」


馬琴(まこと)はノキア王の考えと立場を踏まえると、軽々しく口にすることはできなかった。

とりあえずルティーナには、今後起こる事態を踏まえ事情を説明させることにする。


「――厄災を復活させ世界を滅ぼすだと」

「それがナガアキの目的だっただと?」


「はい……これ以上、詳しい話は……」


ルティーナは、後日ノキア王から詳細な説明があるだろうと伝え、その場の話を一度終わらせようとした。


「ルナリカ……余にまだ何かを隠して――」


「兄上、ここはルナリカの言う通り、ノキア王から正式な会談があるまで待ちませんか?」


モルデリド王はルティーナを庇うように、モルディナ王を説得する。


「うむ……責めてもはじまらんか」

「すまなかった」


モルデリド王はルティーナにそっと耳打ちする。


「(ルナリカ、余はお前達を信じる……先ほどの褒美の代わりにしてくれぬか?)」


「(もったいないお言葉、ありがとうございます)」



そしてルティーナ達は、王の居室を後にしハーレイの待つ病室へ戻る。

そこには、法衣を纏い杖を凛々しく持つハーレイが、ウェンディに支えられながら立っていた。


「お、親父、もう立てるのかよって……なんで服を」


ハーレイは、ほぼ動けるまで回復していたため、ルティーナ達と一緒にノモナーガ王国へ戻ると言う。


だが、ルティーナは首を横に振る。


「え? ルナリカちゃん……これから戻るんじゃないのかい?」


「ハーレイ様だけ先に戻って、ノキア王に今回の件を報告していただけませんか?」


ハーレイは首を傾げるが、ルティーナ達が拒んだ理由を探す。

そして暗い顔をしたロザリナに気付く。


「すみません」

「私達は、あるところに寄ってから明後日にはノモナーガに戻ります」


ハーレイは、どこに行くのかは問わなかった。


「ルナリカちゃん、後は私に任せて……」

「ロザリナちゃんの笑顔を取り戻しておいで」


「私の笑顔?」


ルティーナは心を見抜かれ動揺したが、少し笑いながら頷く。


(この人……モテる理由がわかるわ)


「(マコト、爪の垢でももらったら?)」


「はい、ハーレイ様。よろしくお願いします」


「そんじゃぁ、あたいらも行くか?」

「リーナには元気になってほしいしな」


「だ、だから何よ! みんな、私は落ち込んでないって――」


ルティーナ達は、ロザリナの肩に全員で手を回しながら、ニコリと笑う。


「「「「いいから、いいから」」」」


「もぉ、なんなのよぉ~!」




そして、ルティーナ達は、ハーレイとウェンディに別れを告げ、アジャンレ村で待つバルストの元へ転移するのであった。


バルストの前に着くと、そこには偶然居合わせたアンナやアンハルト達がいた。


「ルティーナ」

「ルナっ」

「「「「「ルナリカっ」」」」


ロザリナを見て状況を察し、喜びを噛みしめながら全員で抱きしめ合うのであった。

――そんな歓喜に包まれる中、ルティーナはロザリナの手を掴み輪の中から抜け出す。


「さっきから変だよ? どうしたのよ」


「リーナに会わせたい人がいるのよ!」

「とびっきりの笑顔になるわよ!」


「――だからっ」


ルティーナ達は、長明(ながあき)を祖父だと思っていたロザリナが、その死に複雑な気持ちを抱いていることを理解していた。


「この部屋に――」


そして、二人は春斗(はると)達が休む部屋へ到着する。


「ハルトさん、マホさん! 無事にロザリナを連れて帰ってきましたよ」


「ハルトさん? マホさん? って! まさか――」


「おぉ、ルナリカさんご無事でしたか――」


その瞬間、春斗(はると)達の目には涙がこぼれ、言葉を失う。


「ろ、ロザリナ――」


「そうです! 貴方たちのお孫さんですよ」


「貴方たち? どういうこと!?」


「そうよ、ナガアキは勘違いしてたのよ」


「おぉロザリナ~! 本当だ、尼帆(まほ)の面影が……」


「もう少し近くで顔を見せておくれ――」


「う、うん……」



そこには、未来を照らす素敵な笑顔が広がっていた。


(第玖章 「闇ノ孤島」編 完)




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