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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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第218話 死ノ覚悟

ルティーナとエリアルはシャルレシカ達と合流し、長明(ながあき)の反撃に備え、近辺を警戒していた。

それをよそ目に、長明(ながあき)は地中を掘り進み、火山の麓に仕掛けていた爆弾を爆発させ、火山の噴火を誘発する。


「火山噴火って……なんてことを――」


ルティーナ達は飛来する火山岩を避けながら、安全な場所へ退避する。


降り注ぐ火山灰と火山岩。

そして迫りくるマグマ――。


「あいつ、どうするつもりだ!」


「ミヤ、ただの攪乱ではなさそうですよ……向こうを見てください」


『マジックシール・ストーン――魔法遮断――』で気配が消されていた場所から、魔物達がルティーナ達のいる方へ避難してくる。


「――! 五十……百ぅ? 数えられない程の魔物がぁ、迫ってますぅ!」


「「「「!」」」」


ルティーナは、魔物が迫ってくる方向の地面に両手を付く。

そして【斬(ざん)】と【棘(とげ)】を出来る限り大きく描き広げ始める。


「おっ、久しぶりにアレをやるのか?」

「いっそ、ナガアキを巻き込んでも問題ないな! ――やっちまえ!」


漢字は手が触れている間は、一秒ごとに倍々に大きく広げられる。

しかし大きさには上限があり、半径一キロを超えると破綻してしまう。


(十二、十三、十四っと! 手を離せっ)


「(そっかっ、忘れてた!)」


(さて次は……)


「(まだ、カンジを描くの?)」


(地面を破壊すると、描いた漢字が砕けて使えなくなるだろ?)

(別の準備さ)


「(?)」


ルティーナの対策は、地上の敵を一斉に殲滅する作戦。

飛翔するデグルーイ――鷹の魔物――には効果がない。


「ミヤ、エル! デグルーイには通用しないから! 任せたわよっ」


「あいよ」

「任されて」


そして、一分ほどして火山灰とマグマから逃げ惑う魔物達の姿が目視でも確認できるようになる。


「来た来た来たぁーっ!」


(まだだ、もっと近づけるんだ)


「デグルーイは二十……もうちょっといるますかね?」


「――それじゃ、こっちは好きにやらせてもらうぜ!」

「五倍の『フィフス・エクスプロージョン――五属性混在弾――』っ!」


「僕も大剣の風の刃を浴びせてやるっ!」



サーミャ達がデグルーイを攻撃し始めた頃、シャルレシカは索敵で迫る魔物の行動を警戒していた。


「――ルナっ、カンジの範囲外からこっちに十匹ほど迫ってきていますぅ」


するとロザリナは、ルティーナの肩を叩く。


「ルナは、目の前の奴らの殲滅の準備に集中して……」

「こっちは私がやるわ!」


「無理しないで、リーナ――」


「あいつのおかげで、私の怒りが消化不良なのよ!」


ロザリナは身体強化魔法を使い、機敏な動きで魔物へ立ち向かっていく。



ルティーナ達が逃げ惑う魔物を撃退している中、長明(ながあき)は――。


「そろそろ……あいつらも十分に消耗した頃だろう」

「しかし、この地震と噴火の規模は想定外だ――」

「この場に居座っていては、俺もただではすまない……か」


長明(ながあき)は、このまま地中でやり過ごすにしても火山噴火の影響下では安全ではなかった。


それだけではない――。

仮にこの場から逃げられたとしても、自分の手足となる駒がいない。

その状況下で、再びロザリナを誘拐することは不可能であり、結果的に、『ダーク・リージューヴィネイト――転身――』の儀式を行うという野望は瓦解していた。


長明(ながあき)は老体を圧して無理に薬で魔物化していたため、元の姿に戻ったとしても先はないと気付く。


「逃げ延びても、もう先は無いか……なら」


死を覚悟し、ルティーナ達を道連れにすることを選ぶ。



長明(ながあき)が決断をしている間に、ルティーナ達は迫りくる魔物達をすべて倒していた。

しかし、ルティーナ達の危機は続いていた。


「ルナっ、魔物を払いのけたのはいいけどよぉ……」

「今度はマグマが見えるほど迫ってきているぞ!」


火山灰や噴石の飛来は、風向きにより直接被害は少なかった。

しかし、マグマは容赦なく迫りくる。


「ミヤっ! 『スプラッシュ・バイパー――水蛇奔流――』をお願いっ」


サーミャは目をしかめる。


「――おいっ、水源がなきゃあの魔法は」


「水? いっぱいあるわよ」


ルティーナがうっすら笑ったと同時に、後方で大量の水が噴き出す。


「さっき、カンジをもう一つ描いてたのはそれか!」


ルティーナは、前方から迫る魔物を攻撃する漢字とは別に、後方に一キロほどの大きさの【水(みず)】を描いていた。


数秒後、噴き出した水は池のように広がる。


「さすがだ、なら遠慮なく――五倍の『スプラッシュ・バイパー』っ! さらにもう一匹の大判振舞いといくぜっ!」

「マグマと勝負だっ!」


ルティーナはサーミャに同調するように、マグマの迫る方向の地面に両手をつき、【凍(こおる)】を描き広げる。


サーミャの操る二匹の水蛇はマグマと接触し、凄まじい水蒸気が吹き上がる。


そこへ【凍(こおる)】の漢字が届き、冷却が始まり壁が出来る。


(よしっ、後方にマグマ溜まりができた!)


「ミヤっ、あそこから『アース・クエイク――溶解――』で海まで道を作って!」


「まかせなっ! 五倍の『アース・クエイク』っ!」



馬琴(まこと)の目論み通り、ルティーナ達の目前でマグマは方向を変え海に向かって流れ始め被害を回避することができた。


一方、シャルレシカはその様子を見て、サーミャに再び『エクソシズム・ケーン』を貸してほしいとせがむ。


「行きますよぉ~っ! 広域索敵っ」


シャルレシカはしばらく沈黙する。

火山噴火により一部『マジックシール・ストーン』が破壊されたため、索敵する範囲は広がったが、魔物の気配はほとんどなかった。


「ナガアキは見つからないの?」


「でもぉ……海にいる魔物がぁ、島から離れて逃げてますよぉ」


ルティーナ達がマグマを海へ流したことで、海の魔物達も島から離れ始めていた。


「でもぉ……不自然な魔物がぁ?」

「げぇぇ~っ! こ、この魔物の反応ってぇ」


シャルレシカの顔色が悪くなる。


「どうしたのシャル? 知ってる魔物なの?」


「は、はぃ~……ミヤぁ、あの忌々しい魔物ですよぉ~」


サーミャも顔から血の気が引く。


「ま、まさか――」


その時、サーミャとシャルレシカの忌まわしい思い出が蘇る。

『イルフェ鉱山』での魔物事件で、恥ずかしめを受けたあの魔物である。


「デリエジ――くらげの魔物――?」


「はぃ~……でもぉ不自然なんですぅ」

「二つ? 四つ? 八つ? ……どんどん分裂しているんですよぉ~」


馬琴(まこと)は違和感があった。

なぜ、デリエジだけが他の魔物と違い、逃げずにその場にいるのか?


(脳が発達していないから、危険を感じていないのか?)


するとシャルレシカは慌て始める。


「分裂はぁ止まりましたがぁ、浜辺に近づいてきてますぅ」


(どういうことだ?)

(ナガアキの気配はないまま……近づくデリエジ……)


馬琴(まこと)は一つの可能性にたどり着く。


(まさか、さらに魔物化しやがったのか……)

(デルーモの能力で地中から海に逃げたのかも)


「(なら、逃げられちゃうじゃない!)」


(いや、あいつはリーナを失えば、後がないはず)

(俺なら、必ず決着をつけに行く!)


「シャルっ! とにかく、そいつの動きを追跡してっ!」


「はぁ~い」


「おいルナ、まさか、ナガアキって言わないよな?」


「そのまさかよ!」


そして、ルティーナ達は急いで海岸へ向かう。

ルティーナはシャルレシカに詳細索敵に切り替えるように指示する。


そのうち、海岸が見え始め、波打ち際にたどり着く。


「ねぇルナぁ、デリエジは行ったり来たりぃ? しているのが五匹ぃ?」

「その他は動きが止まってぇ――ん? 一匹だけぇ近づいているような近づいていないようなぁ……」


シャルレシカはもう一つの情報に気付く。


「魔力の大きさがバラバラなんですよぉ~」

「……近づいてくるデリエジが一番魔力が大きいですぅ」


「じゃぁ、そいつがナガアキ?」


(いや、今までの駆け引きからして、ナガアキがそんなミスを?)



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