↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
209/219

第209話 闇ノ船出

モルデリド王は馬車を用意し、ルティーナ達を乗せ城を出発する。

まずはサーミャ達がいる現場へ向かう。


「ミヤーツ」


そこには、ハーレイの命を救ったものの、魔力切れでへたり込むサーミャとウェンディの姿があった。

ハーレイは出血が酷く意識は戻っていなかった。

しかし、何か満足したような笑みを浮かべて眠っている。


「ルナ、本当にありがとうな……また、借りが増えちまったな」


「ううん、モルデリド王が闇魔法を使えたから助言できたのよ」


そこへモルデリド王も馬車から顔を出す。


「お主、ハーレイの娘か……名はサーミャだったのぉ」


「モルディナ王? あ、弟のモルデリド王様……」


「さぁ早く、ハーレイを馬車に乗せるが良い」

「そして皆も乗れい――」


そして、一行はモルディナ王国へ向け再出発した。



城へ到着後、すぐにヘイガルはハーレイを担ぎ、サーミャとウェンディに付き添われ医務室へ運ぶ。


「ミヤ、こっちのことは気にしないで」


「あぁ、すまねぇ」



早速、ルティーナはエリアルとシャルレシアを伴い、モルディナ王とモルデリド王の緊急会合に同席することになった。


「おぉモルデリド……久しいのぉ」


「あ、兄上……私が不甲斐ないばかりにご迷惑を」


「構わん――ルナリカ殿の予想どおりだったとはな」


モルディナ王はルティーナ達を真剣なまなざしで見つめ、感謝を述べる。


「大義であった『零の運命』達よ」


ルティーナは、モルデリド王が洗脳された経緯と、自分の仲間を連れ戻すために、元凶である長明(ながあき)を討伐しに八丈島へ向かうことを説明する。


「そうか……まだ解決しておらぬのだな」


モルディナ王は、ルティーナ達の労をねぎらい、部屋を与え決戦まで休息をするように提案した。


「ありがとうございます」


(今夜はミヤはそっとしておいた方がいいな……)


「(うん、明日の朝だね)」



ルティーナ達は執事に連れられ部屋へ案内されていく。

その場に残ったモルディナ王とモルデリド王はその夜、五年ぶりに会談を始める。


「兄上、やはりグランデ王国に再統合を……」


「いや、このままで良い」

「余は、おまえにも国を持ってもらう機会が欲しかったんだ」


「――!」


そして、国民の混乱を避けるため、両国はそれぞれの国として存続させ、お互いの国の繁栄のため、同盟国として未来永劫、平和を築いていこうと誓い合うのであった。




翌朝――。

休息をとったルティーナ達は、サーミャ達がいる医務室へ向かう。


コンコンッ。


「ミヤ?」


「おっルナか、入って来いよ」


そこにはウェンディの必死の看病で、意識を取り戻し、喋れるまで回復していたハーレイの姿があった。

ヘイガルもなんだかんだ、朝まで付き合っていた。


「全く無茶しやがって!」

「まともに動けるようになるまで、てめぇは嫁さんに看病されて甘えてろ!」

「俺は、ノキア王に報告しておいてやるから先に馬で帰る」


「すまねぇなヘイガル……まかせたわ」


そしてヘイガルはルティーナの肩を叩き、軽くウィンクをしてその場を去っていく。


(これで面倒な作業は一つ減ったか)


「(?)」



ハーレイは昨日まで瀕死だったとは思えない明るさを見せていた。


「今回は流石に、駄目かと思ったぜ」


「私とサーミャちゃんが居るのよ、見殺しにする訳がないじゃない」


「そうだな、二人が女神に見える」


そこには微笑ましい家族の光景が広がっていた。

それを見たエリアルは少し涙目になる。


「(良かったねミヤ、やっと仲直りできたね)」


すると突然、ハーレイがサーミャの両肩に手をのせる。


「つうかサーミャちゃん、今度は時間を止めたって本当か?」

「お、俺にもできるのか? 魔法を教え――」


サーミャはハーレイの両手を払いのける。


「うるせぇ、最初っから『ダーク・コンバート――魔力転換――』の詠唱をあたいに教えていたら……」

「ぜってぇ教えてやらねぇっ! これならお相子だぜ」


エリアルはあきれて天井を見つめる。


「(いつも通りかぁ~っ)」



「ふふ、楽しそうね」

「お母さんも入れてよ……」


そんな二人がもめている姿をみつめ、ウェンディはとても満足そうな顔でサーミャに飛び掛かる。

「あの時、『お母さん』って言ってくれて、超~うれしかったわぁ」


サーミャはむせ返る。


「ごほっ、そ、そんなこと言ったか? あたい……」


するとエリアルが笑いだす。


「ぷっ、素直じゃないねぇ」

「照れ屋なところはハーレイ様にそっくりだ」


「うるさいっ、しばくぞっエルっ」

「あたいはもうこいつ等と、生きて行くって決めたんだ!」

「とっととケジメをつけやがれ! 二度と女を泣かすんじゃねぇんぞ、クソ親父っ」


「ミヤぁ、言い方……まったく、素直じゃないなぁ」


ハーレイとウェンディとサーミャは顔を真っ赤にする。


「「「「あははは」」」」


「(いい親子になれそうだね)」


(あぁ最強の親子が爆誕だ)



そんな穏やかな状況の中、サーミャの目つきが変わる。


「なぁルナ……あたいの魔力はもう回復したぜ」

「ナガアキのとこ、殴り込みに行かねぇのか? あたいのこのうっ憤……ぶつけたいんだけど」


ルティーナはサーミャに考えた作戦を伝えることにする。


「昨日の夜、エルとシャルで作戦会議したの」

「今夜、陽が沈んだらモルデリド港から出発よ」


「――! 船を使うのか?」

「それより、何で夜なんだよっ! とっとと行こうぜ」


「私だって同じ気持ちよ。でもマコトが――」


馬琴(まこと)の知識で、八丈島まではモルデリドの海岸――つまり現在で言う南房総から船で八時間程で到着できると認識していた。


「アレクサが二日前の夕方に八丈島に出航しているでしょ?」

「おそらくリーナは、もうナガアキの居る場所にたどり着いてる」


「なら、なんか言ってた場所を特定する作戦が使えるじゃねぇか?」


「なぜ、夕方に移動したかっていう話よ」


「?」


馬琴(まこと)は三つの理由を考えていた。

一つは、闇に紛れて移動すれば奇襲になる。


「八時間かかるって言ってたな、素直に移動できれば夜明け前に到着できるってことか」


もう一つは、夜は鳥の魔物――デルグーイからの襲撃を防げる。


「確かに、夜はあいつら行動できねぇもんな」

「移動中に対空戦で無駄な魔力は使いたくねぇ」


「最後の一つは、マコトの世界の知識らしいんだけど」


夜空の星――北極星を目印に、それを常に背にして進めば南へ確実に進めると。


「海の上じゃ、波に流されて場所がわからなくなる……その心配がねぇってことか!」

「さすがマコマコだな」


するとハーレイは優しく声をかける。


「サーミャちゃん、魔法使いは常に冷静にな」

「熱くなりすぎると、命を落とすぜ」


その言葉にルティーナが噴き出す。


「それって、ウェンディさんが危険だったときにハーレイ様がモルデリド王に諭された言葉じゃないですか?」


「まぁ、あなたったら」


突然抱き着くウェンディにハーレイは慌てふためく。


「だぁーっ! ルナリカちゃん! 台無しじゃないか!」


サーミャも失笑する。


「まぁ、クソ親父のおかげで冷静になれたぜ」

「あんがとよ、その台詞覚えておくよ」


「……おぅ」



そして各々の準備が整いルティーナ達はモルデリド王に連れられモルデリド港へ向かう。

そこに準備された船を見たルティーナ達は驚く。


「モルデリド王……こんな立派な船を」


「あぁ構わん。好きに使え」

「海の魔物もおるからの、脆い船ではすぐに破壊されてしまう」


サーミャは周りを見回す。


「……所で、操舵師はいねぇのか?」


「操舵師? 何を言っておる」

「サーミャや、お主が操縦するのだ」


「へぇ?」


船は風魔法を動力源として動かすことができると説明を受け、サーミャが操舵を担当することになる。


「そっか、あたいでも操舵できるんだ」


「君たちの勝利を信じているぞ!」


「お見送りありがとうございます」

「では、行ってまいります」


そして日が落ち夜空に星が見え始めた頃、ルティーナ達は八丈島に向け港を出航した。


四人の思いは一つ、打倒長明(ながあき)。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。