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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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204/222

第204話 忌ム戦争

アジャンレ村へ戻ったルティーナ達は、春斗(はると)達に竜(デンゴラド)と戦ったことを伝える。

しかし、互いの持つ情報は一致しなかった。


「おかしい、黒竜(ブラック・デンゴラド)以外の竜が……何かが違う――」


春斗(はると)はふと確認をし忘れたことを思い出す。


「なぁルナリカ、竜(デンゴラド)の大きさには驚かなかったのか?」


ルティーナは首を傾げる。


「えぇ、私の四倍ぐらいの大きさだったんで、すこし腰が引けちゃいましたけどね」


春斗(はると)と尼帆(まほ)は、その言葉に顔をしかめる。


「――五メートルぐらい……だと!」


「どうかしたんですか?」


「私たちが封印した黒竜(ブラック・デンゴラド)は、さらにその六倍はあります」


その言葉を聞いたルティーナ達は、言葉を失う。

馬琴(まこと)には、リュウガの捨て台詞が重くのしかかる。



 残念だったな……おそらく俺が一番弱い!



(そんな奴とどうやって戦うんだ……前哨戦なんて考えが甘かった)

(しかし、リュウガは八十年前から存在していたことになる……他にも居たとすると話が合わない)


ルティーナは春斗(はると)に、リュウガがイスガに封印されていた理由を説明する。


「それなら、やはり当時から存在していたが別行動をしていたのか?」


サーミャは落ち込む皆を見て、明るく振舞う。


「っつことは……やっぱ、あいつのハッタリじゃねぇか!」

「相手にするのはブラック・デンゴラドだけさ……」

「いくらデカかろうが、あたいの魔法で動きを封じてやんよ!」


「うん、その前にナガアキだよ――」

「あいつからも情報聞きたいしね……封印の事とか」

「モルデリドに行けば、何かつかめる」


「そうだね、早く行こう」


そんな中、サーミャは皆の輪から少し目を背ける。


「(あたいが……闇魔法が使えるようになったが、勇者みてぇな封印は使えねぇ)」

「(クソ親父なんか知ってねぇかな――って、それ以前に何も教えてもらってねぇじゃんか!)」



ルティーナ達はある程度の情報交換をすることができた。

そして、春斗(はると)達の体を気遣い、一旦、部屋を後にする。


「さぁ、ノモナーガに戻って装備を整えてモルデリドに殴り込みよ!」




ルティーナ達はアンハルト達に引き続き村の復興作業をまかせる。

自分たちは早速、ノモナーガ城に居るハーレイの元に転移することにしたのであった。



ブオーーーン!


「おぉ、何事じゃ!」


そこには、慌てるノキア王がいた。

転移した先のハーレイは、ノキア王とヘイガルと難しい顔をしながら会談をしている所だった。


「すみません、まさか会議中だったなんて――」


ノキア王は悲壮な面持ちでルティーナ達を見つめる。


「気にするでない、ルナリカっ! 拠点に使者を向かわせたが……」


偶然ではあるが、ノキア王はルティーナ達を探していたのであった。

ルティーナはその雰囲気にただ事ではないことを感じる。


「ど、どうされたのですかのノキア王?」


ノキア王は重い口を開く。


「――昨日、モルディナ王国とモルデリド王国の間で戦争が始まってしまったのだ」


「「「「!」」」」

「戦争……」


「しかしよぉ、次から次へと……」

「戦争ってなんだよ――これじゃ目的地に行けねぇのか?」

「(それ以前に、親父と話ができる雰囲気じゃねぇな)」


ヘイガルは腕を組みながらルティーナを見つめる。


「おそらく先日のブルデーノ王国のデモ鎮圧が関係しているみたいなんだ」


(そうか、捕獲したギレイラはモルデリドの師団長だったよな……)


「(ウェンディ様は、モルデリドに抗議するって言ってもんね)」


ノキア王は、モルディナと同盟国である自国からの支援の件で会議をしていた。

そこでルティーナやアンハルト達が不在の為、ハーレイとヘイガルに相談していた。


(あ、そうか……ギルド序列一位と二位)


「(アンハルトさんたちは無理だね……私達が手を貸すしかないよね)」


(事は戦争だぞ、そこじゃない!)


「し……しかしノキア王、私達は人殺しはしませんよ」


ルティーナは疑いの眼でノキア王を見つめる。

ノキア王もルティーナの顔色をうかがうように話しかける。


「――そんなつもりはない……重々承知しおる」

「お前達を戦力として投入すれば、実質、ノモナーガ王国の脅威を広げてしまう」


(俺達ってどんな評価だよ……)


ノキア王はルティーナ達なら人を殺めずに、戦争の戦況を好転できることを期待していた。


(勇者の件で問いただすのは――リーナを助けてからだ)


「そういうことですか……であれば状況を聞かせてください」


ノキア王は現状を簡単にルティーナ達に説明する。

先日の夕方、モルディナからの悲報が届いた。

そして、ノモナーガ王国から兵力の1/3を増援に向かわせていた。


「しかし、状況が変わったのだ」


今朝から、闇魔法で操った動物を介して、先遣隊と通話することができなくなったという。


「それってまさか……」


「あぁ、おそらく――」


ノキア王は、数週間前にモルデリドで大量に発掘されたという『マジックシール・ストーン』が投入されているのではないかと不安視していた。


そしてハーレイが席を立つ。


「そんで、サーミャちゃんが不在だったからさ」

「俺がヘイガルと一緒にモルディナ王のとこに飛べないかもなって話していたところだったんだ――」


「おい! 親父っ! 『ヒーリング・ストーン』持ってねぇだろ?」


ハーレイは慌てるサーミャをにやりとした顔で見つめる。


「私とてただ使えないのを指をくわえて見ているとでも?」


「?」


ハーレイは転移魔法を使うために不足している光魔法をどう補填するかを研究していた。

そして、光魔法師に自分へある程度の魔法を展開させることで、転移魔法を成功させたことを説明する。



(さすが魔法研究家……単純だが理屈が合う、完全に魔道具を使うしか視点がなかった)


「(最初っからリーナと一緒に帯同すれば良かったの?)」


(そういうことになるな)


しかしサーミャは驚きもあったが、すこし残念そうな顔をする。


「なんだよ親父……せっかく、あたいの『ヒーリング・ストーン』をあげるつもりだったのによぉ」


「!」


「えぇ? 『ヒーリング・ストーン』本当に俺にくれるのか?」

「サーミャちゃんも必要だろ?」


サーミャは『エクソシズム・ケーン』を突き出し、これでいつでも転移魔法が使えることを説明した。

ハーレイは凄くうらやましそうな顔をしながらも、『ヒーリング・ストーン』を嬉しそうにもらうことにした。


「話がそれてしまったが……ルナリカ、早速、モルディナへ飛んでもらえるか?」


「まぁ丁度、都合がいいじゃねぇか! どうせモルデリドをなんとかしねぇと船を使う最短ルートが取れねぇんだし」

「サクッと終わらせてリーナを助けに行こうぜ」


「そうね、それが賢明ね」


「さっそく、この杖の力を見せてやるよ――」


そしてサーミャはルティーナ達とハーレイとヘイガルに触れさせ、ウェンディを目印に転移の詠唱をはじめるのであった。


しかし――。


「……。……。あれ? 5秒は経過してるよな?」


「杖は光ったまま……えっ、まさか!!」


「ウェンディちゃん――『マジックシール・ストーン』の効果範囲……最前線に行ってるのか!」

「あの馬鹿っ、なんて無茶しやがるっ……」


「落ち着けよ親父、すまねぇが、あたいはあの国はおばさん以外の顔を知らねぇんだ」


ハーレイは小さくうなづき、そのまま転移魔法の詠唱を始める。


「よし、早速、石を使わせてもらうぜ――」


そんな中、サーミャはハーレイにつぶやいた。


「――それより親父……闇魔法の事はこれが終わったら色々きかせろよ」


「だ、わかったよ、サーミャちゃん」


「あとさ、ルナからだいたいの話は聞いたんだけどさ……」


「?」


「この戦いが終わったら、いい加減、身を固めろよ……あたいは構わないぜ」

「女を待たせるなんて最低だぜ」


「なっ! いやいや、な・な・な・何の話かな? さ・さ・サーミャちゃん……」


そんなやりとりに、ヘイガルは嬉しそうにハーレイを見つめる。


「(ぷっ、目茶苦茶、動揺してやがる)」


そしてハーレイに連れられ、ルティーナ達はモルディナ王のところへ転移するのであった。



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