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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第玖章 ~闇ノ孤島~

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第192話 策ト裏切

ロザリナが長明(ながあき)に再び誘拐された。

ルティーナ達は、大急ぎでアジャンレ村に戻るが、そこには平穏だった村の面影は一切残っていなかった。


シャルレシカは必死に、怪我人を索敵で探す。


「向こうの木々の向こうに――二人……」


「セフルちゃん、頼めるか?」


「うん」


その間に、他の場所へ避難していた子供達も集まる。


「お姉ちゃん、俺達も手伝うぜ」


そしてシャルレシカは次々に怪我人を探し、子供達に薬草を持たせ治療に向かわせる。


「シャル、あたいらも行くよ」


「は~い」



しばらくして、元気をなくしたルティーナとアンナも合流する。

ルティーナの目は酷く腫れていた。

その姿を見たサーミャは、何も声をかけられなかった。


「サーミャさん、怪我人は他に居ますか?」


「シャルと子供達のおかげで、なんとかなりそうです」

「――それより……バルストさんは大丈夫なのか?」


「はい、今、ぐっすり眠ってます」

「この杖のおかげで……すごい魔道具ですね」

「でも、少しだけ再生魔法が使えた気分になりました」


「……?」

「まぁ、役立ってよかったぜ」


そしてアンナは村人を見て回ると、その場を離れる。

残されたルティーナは無理に笑顔を作ろうと必死だった。


「なぁルナ、本当に大丈夫か?」


「……ご、ごめん。結構、きついかも」


「辛い所すまない」

「リーナの事だが――」


サーミャは、セフルから聞いたロザリナの事をルティーナに話す。


「そうなんだ……子供達を守ったんだね」

「一人にしなければ……こんなことに――」


ルティーナは泣き崩れる。

サーミャとシャルレシカは必死に、ルティーナのせいではないと声をかけるのであった。




――話は、ルティーナ達がエリアルからブルディーノ王国で起きた暴動の話を知らされた時に遡る。


「同盟を結んじゃったからウェンディさんは巻き込まれて――」


「そっか、だからシャルを連れて帰ってこれないってことか?」

「なら早速、『サモン・オーバーコール――対人召喚――』で連れ戻そうぜ」


早速、サーミャは詠唱でシャルレシカをこの場に召喚しようとした。


しかし――何も起こらなかった。


「ミヤ……これって」


「あぁ、『ヒーリング・ストーン』の魔力は残ったままだ……」


(まさか、『マジックシール・ストーン』の効果下にシャル達は居るのか?)


「だから、おばさんは転移できねえって事か?」


「もしそうなら、ただのデモじゃなさそうね」


そして馬琴(まこと)は作戦を考える。


「(その作戦でいいんじゃない?)」

「(グラデスさんを連れてきたのに放置できないし……さすがに、この村ならリーナを一人残しても大丈夫だよね)」


そしてルティーナから作戦が伝えられる。


「リーナごめんっ、ここでお父さんたちとグラデスさんの護衛をしていてくれない?」


「いいけど、ミヤはブルディーノ王国の人と面識がないでしょ?」


「まぁおばさんの顔は十年前からかわってなきゃ、飛べなくもねぇがな」

「どっちにしても魔法が妨害されてるなら……意味がねぇ」


だが馬琴(まこと)は、今の現状で最短でブルデーノへ向かう方法があった。


「とりあえずミヤは私を連れて、拠点に転移してもらえる?」


「ノモナーガに戻ってどうすんだ? ここよりは近いが……」


作戦には続きがあった。


「サーミャはそのままエリアルと残ってて」

「私は、一人で飛翔してブルデーノへ移動するわ」


「いいけどさ、あっちに戻ったら、念のためシェシカのところで石を充電してもらっとくぜ」


「それがいいわ」

「あと、通信用の小鳥を連れて行くわ」


「?」


飛翔してブルデーノ城付近に近づいた時、サーミャとの通話が途絶する場所を探すために――。


「そっか、通話ができなくなれば『マジック・シールストーン』が近くにあることが分かるってことね」


「今回の魔法阻害はおそらく城全体を包み込んでる」

「状況からすれば城の内部からはあり得ない――」


「そうだよね、城の中からならすぐに破壊できるもんね」


馬琴(まこと)は、現地で魔法阻害にあっているウェンディと同じく、四方に大きな『マジック・シールストーン』が配置されていると睨んでいた。


「――だから、城の周りに配置されていて、さらに埋められていないと思うの」


「そっか、大きいと隠すほうが大変だもんね」


馬琴(まこと)は、『マジック・シールストーン』はむき出しで配置され、誰かが守っている可能性があると考えていた。


「つまり、途絶する場所さえわかれば、見つけやすく破壊しやすいはずよ」


そしてルティーナはサーミャに連れられ、エリアルの元へ転移することになる。



「――ルナ、ちょっとだけいい?」

「例の件でだけど――」


ロザリナは腰の鞄に手を当てる。


「……気にしすぎかな」


少しだけ視線を逸らしたロザリナは、ぽつりと呟いた。


「……でも万が一の時は、よろしくねルナ」


「縁起でもない事を言わないでよ」

「……私達はさっきまでノモナーガに居たんだからバレてないわよ」


ロザリナは不安げに少し目を逸らす。


「そうだよね」

「早く帰って来てね」


「うん」

「例の作戦には穴もあるんだから、過信しないでよね」

「ぱっぱと終わらせて、みんなでナガアキの謎を暴きましょ!」



そしてルティーナ達が転移して数時間後……異変が起こる。


――魔物の襲撃が始まったのだ。


村の入口に異変を感じたヘルセラは、バルストにその事を伝える。

それを聞いたバルストは孤児院の外へ飛び出し、ロザリナも後を追う。


最初は、バルストとロザリナの活躍で大半の魔物を簡単に撃退していた。

しかし、子供達とグラデスを避難させているアンナに、魔物達の目が向いていることにロザリナは気付く。


「バルストさん、ここはお任せしていいですか?」


「あぁ、アンナ達を頼む」


しかし奮闘も虚しく、ロザリナは魔物達に連れ去られてしまったのだ。

幸か不幸か?

それを機に、魔物達は村の襲撃をやめ撤退していったのであった――。






(ルナ、君のせいじゃない)

(俺の判断が甘かったんだ……すまない)


「(ううん、マコトのせいじゃないわよ)」


「る、ルナ」


泣き崩れているルティーナの周りに孤児院の子供達が集まり、心配そうな顔で覗き込む。


「みんな……」


「ルナ、お姉ちゃん……元気だしてよ」


「大丈夫だよ」

「ごめんね、みんなを危険な目に遭わせて」


するとフラザンが重要な事を言い出す。


「ルナお姉ちゃん……アレクサがっ、あいつが裏切ったんだ!」


「アレクサぁ? ってあのアレクサさんがぁ?」


「シャル、アレクサ……?って誰――」


シャルレシカは、行方不明だったサーミャを捜索していた時の話をする。


「――その人、モルデリド王国の亡命者だったの?」

「そういえばシャル、行ったこともないのに地理に詳しかったもんね」


「はぃ」


そして、フラザンは自分の目で見た出来事を話す。


ロザリナから物陰に隠れているように指示され、闘いを見守っていた。

その時、魔物に襲われそうになっているアレクサを助けようとして近づく。

だが、彼に粉みたいなものを浴びせられて、ロザリナは地面に倒れ込んでしまった。


そして彼は、そのままロザリナを縛り上げ、魔物達と一緒に去って行ったと。


(また……モルデリド関係者か)

(ナガアキはモルデリドと繋がっているのか?)


「(……だから、リーナが一人になったことを知ってたのね)」


(それなら、グラデスさんも……)


「ルナぁ、アレクサの顔はわかりますからぁ、追跡しますよぉ」


「そうか、今のシャルなら千里眼で――いや、駄目」


「「?」」


「探っていることを知られると……リーナの努力が無駄になっちゃう」


「リーナの努力?」


サーミャは意味がわからなかった。


「リーナが睡眠薬ごときで眠らされるわけがないじゃん」


「――!」


ルティーナはロザリナと、万が一に再び誘拐された時の話をしていた。


――次の満月までは儀式が出来ないことは分かっていた。

つまり、それまでロザリナの身に危険はないと。


「! リーナのやつ、村を守るためもあっただろうが……無茶しやがる」


「でも、時間が経ちすぎたわ……」


「だけどよぉ、アレクサがアジトに到着するまで、泳がすのか?」


馬琴(まこと)は長明(ながあき)が、アレクサに転移して追跡することは理解していると警戒していた。


「とにかく、次の満月までにナガアキのアジトを強襲するわよ!」


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