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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第捌章 ~過去ト現在ト未来~

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第179話 儀式ノ産物ト希望

デーハイグは語る。

八年前に起こった王都爆発事件、そしてノキア王の異変を調査していた事を。

元暗殺部隊隊長として、ドグルスの父として――。


「しかし、デーハイグ様、あなたは我ら暗殺部隊から見れば、普通の執事のように……」


「ダブリスよ、私とて過去を隠して執事をしているのですよ」

「他愛の無い事」


その後、ノキア王の異変と『サモナー・ストーン』との関係性を知る。

ドグルスが関係していた、もう一つの組織から得た情報であった。


「そこで、ノキア王に刺さる胸の傷……水晶の破片ではないかと考えていたのです」


「うむ、確かに水晶の破片が原因であった」


そして以前、王国武闘会が行われていた時に、スレイナという女幹部が国内に潜入していたことも知っていた。


「その時、テレイザと何かやり取りをしておりました」


「確かに、テレイザからロザリナさんを誘拐する作戦を聞きました」


ロザリナは顔をしかめる。


「その頃から、計画がされていたんですね……」


「私は、その女を尾行し調査をしておりました」


「そうか、それで武闘会が終わったあと、しばらく休暇をとっておったのか」


「そうです」

「その後、仲間らしき人物を洗脳し情報を引き出してはみました」


「せ、洗脳で」


(そうだよな、デーハイグさん……闇魔法使いだもな)


「その者は、この大陸を取り囲む大海の先……」

「現存する地図は記載されていない孤島に潜伏していると思われます」


「わ、私があの組織に誘拐されていた時に、あいつらが『あの方』って言ってたけど……」


ルティーナも気づく。


「そういえば、リーナを誘拐したデブラグの男……誰かに爆散された……」


「それじゃ、ドグルスだけでなくテレイザも、そいつの手下に成り下がってたのか……隊長として不甲斐ない」


「(シャルの水晶に映ったもう一人の男って、デーハイグさんだったのかしら)」


(そのようだな)


「私が現状、調査したことは以上になります」

「本来であれば――」


デーハイグは、後日ノキア王がルティーナ達とダブリスの調査結果を踏まえて会談することを知っていた。

その会談の場で自らの素性を明かし、これまで調査してきた事実を話すつもりであった。


「この事件のおかげで、少々計算が狂いましたが……」


そして、ルティーナはデーハイグにドグルスの事を聞こうとした。


「ルナリカ様、何をおっしゃりたいかは、だいたい察しております」


「!」


「本当に申し訳ございませんでした」

「我が息子とはいえ、家系に泥をぬった男でございます」


デーハイグは、ルティーナ達が結果的にドグルスを罠にはめ殺してしまった。

そのことについては一切、恨んではいないと答える。


「むしろ暴走を止めていただいたことを感謝しております」


「(複雑な気分……)」

「(これって、デーハイグさんの本心かしら?)」


(そうだな……情報を得る為ってのもあるだろうけど)

(――本当は自分の手でって考えていたのかもな)



「むしろ、サーミャ様に謝罪しなければならないのは当方でございます」


「ミヤは……きっと、その話を聞いてもデーハイグさんを責めたりしませんよ」


様々な思いを抱えたデーハイグは、ルティーナ達に暫くの間、頭を下げ続けるのであった。



そして、朝時(あさとき)の暗躍は失敗に終わった。


「では、私達は護衛任務の途中でしたので、モルディナに戻ります」


「うむ」


ルティーナ達は後片付けをデーハイグとダブリスに任せ、応接間を去る。

そして、サーミャの眠るハーレイの部屋へ戻っていく。


移動の途中ハーレイは、照れくさそうにルティーナに声をかける。


「あのさ……ルナリカちゃん」


「はい?」


「サーミャちゃんってさ、俺に何も話してくれねぇんだ……」

「デーハイグさんとサーミャちゃんとの間で何があったんだ?」


ルティーナは、暗い面持ちになる。

サーミャがドグルスによって酷い目に遭わされた、悲しい出来事を伝えるのであった。


ハーレイはその話を聞き、サーミャが行方不明になっていた理由に納得がいくのであった。


「そんな事があったのか……」

「(アンハルトの奴、サーミャちゃんの事を気遣いやがって……嘘をついてやがったのか)」


「でもモルデリドに居たとはな……(サフィーヌの故郷じゃねぇか……)」


そうしているうちに、サーミャの眠る部屋へ到着していた。


黒くなり横たわるサーミャ……声をかけても反応する気配もない。

ルティーナは心配そうに彼女を見つめる。


「あと数日はこのままなんですね……」

「ハーレイ様、申し訳ありませんが予定通り、ウエンディ様のもとへ転移を――」


しかしヘルセラは、ルティーナを止めハーレイに確認する。


「サーミャが今、体得しようとしてるのは? 闇魔法だけなのかい?」


「あ、あぁそうだが……」


ヘルセラは、サーミャの体に異変が起こっていると告げる。


「俺の家系に伝わる儀式なんですが……まさか失敗――」


「いや慌てるでない、闇魔法は順調に身に付いているようじゃ……」


ハーレイは自分の娘にした行為で危険な目に遭わせてしまったと後悔を始める。

この儀式は、本来、二十歳の時にしなければいけなかったもの――。


「例の行方不明の事件がなければ……くそっ」


「だから、慌てるなというておろうが!」

「お主、無属性魔法の儀式もしたのか?」


「?」


ヘルセラは自分と同じ無属性の魔法が芽生えてる兆候があることを説明した。

ハーレイはそれを聞き笑みと涙がこぼれる。


「そうか……サフィーヌの無属性魔法はちゃんと遺伝していたのか……」


その話を聞いていたルティーナとロザリナは呆然とする。


「え、サーミャは七属性持ちの魔術師になるってことですか?」


(いや、『ヒーリング・ストーン』の効果を使えば、光魔法も補填できる)


「(そうか! つまり全属性の魔法が使えるようになる!)」


「凄いじゃないですか?」



ハーレイはもともと『雷』以外の攻撃魔法と『闇』魔法の五属性の魔法師だった。

今のモルディナ――モルデリドと別れる前の旧グランデ王国の魔法師団で活躍していた。


同じ師団にいた『雷』と『無』魔法が使えるサフィーヌと結ばれた。

そして二人は結婚し、同盟国のノモナーガ王国へ出向になったのであった。


その二人から生まれたサーミャは、お互いの攻撃魔法だけが遺伝していたのであった。


その後ハーレイは、自分のセンスで『雷』魔法の習得に成功し今の座に至っていた。


「今回の儀式で、サーミャちゃんにはちゃんと遺伝していた無属性魔法が覚醒したってことですか?」


「おそらくな」


「そうか、だからヘルセラ様はミヤのことを――救世主様っておっしゃっていたのですね」


「うむ、六属性使いは、そこのおやじみたいな奴とか存在しとるが……」


「うぐっ」


「実質七属性持ちの人間はワシも聞いたことはない」

「姉の息子サハリドは、逆に『闇』『光』『無』全ての非攻撃魔法だけを使えたのじゃ」


「三属性だけですか?」


「希少な人材で『ディメンジョン・デストール――召喚魔法――』が使えたのさ」

「だが、例の爆破事件で死んでしまったがの」


「それならミヤは光魔法を擬似的に使えるから、召喚魔法が使えるんじゃない?」


「マコト、これで召喚してもらえる!」


しかしヘルセラは顔をしかめる。


「無理じゃ――この召喚魔法は次のほうき星と新月が重なると言われる約七十年先まで使えんさ」


「そうなんですか……」


ルティーナは少し残念そうな顔をする。


「そう落ち込むでない」

「マコトとやらを水晶に呼び出せば、別の魔法で召喚することはできる」


(それだ! それなら俺はこの世界に出る事ができる)


「しかし全属性を使えば、『時』が操れるとも言われておる」


「――時を操るって、時間を止めたり? 戻したり?」

「それって、最強じゃないですかぁ~?」


ヘルセラは苦笑いをする。


「いや、実際は何がどう出来るのか……詠唱すらわからんのさ」

「所詮、父上が言っていたたわごとさね」


「……」


(時間を操る? ――俺を元の世界に戻せることに関係するのか?)



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