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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第捌章 ~過去ト現在ト未来~

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第177話 混乱ト拘束ノ駆引

朝時(あさとき)とノキア王達が対峙する中、ルティーナ達はノモナーガ城へ転移していた。


そして――。

ヘルセラの城内索敵が始まる。


「ノキアは、百メートル先にある左側の部屋におる様じゃの」


「そこなら、応接間だな」


「ノキアの右には……これは執事じゃな!」

「ん? おかしいのぉ? なにか気配が違う……」


「(デーハイグさんのことだよね?)」


(気配を消していた? 何のことだ?)


そしてヘルセラの分析は続く。


ノキア王側には大きな魔力の持ち主がいる。

そして、その三人と距離を取って対峙する男と、まがまがしい悪意の存在を感じると説明した。


「このまがまがしい輩、マコトと同じ感覚がするぞい」


「ルナリカちゃん! それって――」


「えぇ、タイヘイですね」


「でもよ、魂はフェンガさんの遺体の中に居て、ブランデァを操ってるってことじゃねぇのか?」


(……フェンガの中から脱出しているのか?)


「(まさか、またノキア王の体をまた乗っ取ろうとしているの?)」


(そうなのか?)


「ハーレイさん、ちょっと予定変更」


「どうした? ルナリカちゃん」


馬琴(まこと)の予定では、ロザリナによる魔法遮断を使いブランデァの洗脳を解除すればノキア王の窮地は回避できると考えていた。


「脱出していたなら、あの時の水晶の破片も手に入れてるってことになります」


「それじゃ、その水晶に触れないようにしないといけないのか?」


「そうですね」


そして馬琴(まこと)は作戦を組み直す。

ヘルセラにはサーミャと一緒に残ってもらい、三人はノキア王救出に向かう。


「それじゃリーナ、よろしくね」


ロザリナは早速、半径三十メートル以内の魔法を十分間封殺する設定にし『シャイン・キャンセラー――魔法遮断――』を展開するため、詠唱を始める。


「リーナ、準備ができたら教えてね!」


そして応接間の扉の前に立つハーレイ。


「俺が、魔法で扉を壊したら一気に突入するぞ」

「そしたら、キャンセラーを発動してくれっ」


「わかりました」


「後は、私が混乱に便乗して、ブランデァさんを拘束します!」


ルティーナは自らに【(すける)】を描き、透明になる。

続けて両手のひらに【(かたい)】を浮かべ、突入に備える。


「いくぜっ!」

「『フレイム・ボム――火炎弾――』っ」


ハーレイの火炎弾が応接間の扉へ向かって放たれる。

その時、朝時(あさとき)は、ルティーナ達が応接室の入口前に居ることを知らず、デーハイグとダブリスに挟まれ逃げ道を塞がれ苦戦していた。



ドゴーンッ!


「「「「!」」」」


爆音とともに応接室の扉が吹き飛び、爆風と煙に紛れルティーナが飛び込む。


全員が困惑する中、ルティーナはブランデァの背後にまわりこむ。

そして腰に手を触れ【(かたい)】を転写し、漢字はブランデァを包み込むようにみるみる広がっていく。


『なっ! 誰かに触られてる?』

『腰に漢字が広がっ――まさか! 里見(さとみ)かっ――』


(くらえっ、起動っ)


するとブランデァは硬化され、床に倒れこむ。


その様子を見たノキア王の顔に希望が満ち溢れた。


「おおっ! まさか!」


そして、ルティーナは透明化を解除し姿を現す。


「やはり! ルナリカ!」

「それにハーレイまで!」


二人に続いて、ブランデァの拘束を確認しロザリナも中に入る。


「私もいますよ、ノキア王!」

「今、『シャイン・キャンセラー』で洗脳を遮断してます! 今のうちにタイヘイの水晶をっ」


「水晶は奴の手の中に――」


すると、ブランデァは硬化したままだったが朝時(あさとき)からの洗脳が消え意識が戻る。


「こ、ここは一体っ! の、ノキア王っ……デーハイグ様っ?」


「! ブランデァ? 正気を取り戻したのか?」


「……でっ、私は何故っ……体が固まっているので――いやっ、何だこの記憶はっ」


ブランデァは朝時(あさとき)に操られて、自分が行っていた行動の断片的な記憶に襲われる。


「わ、私はっ……なんてことをっ」


「落ち着くのだブランデァ! お前は操られていただけだ!」


ノキア王は必死にブランデァを擁護し説得していた。


「ノキア王、ブランデァさん……タイヘイ――水晶を持ってませんよ!!」



ブランデァを【硬】で包み込む大きさまで漢字が広がるには、約四秒必要であった。

朝時(あさとき)がルティーナの仕掛けに気付くほんの僅かな時間差――。


周りは爆風の煙に包まれ視界が悪かったのが朝時(あさとき)に味方していた。


そう、彼は硬化で拘束される直前、水晶を通じてブランデァの体内へ戻り、その水晶だけを外へ放り投げていたのだ。



「(強引に突入した時に、水晶を隠したの?)」


(いや、これは奇襲……そんな判断には至らないはず――)


馬琴(まこと)は想定外の出来事に、必死に状況を整理していた。


(『シャイン・キャンセラー』を展開しているから……ブランデァさんは操れない……まさか)

(ルナ、ブランデァさんの体を――)


ルティーナは、硬化させたブランデァに水晶が刺さっていないか確認する。


「(なさそうだよ……咄嗟の行為なら明らかに外見でわかるよね?)」


(水晶はどこだ!)



「すまないっルナリカっ、私はいつまでこの状態なのだっ?」


ブランデァの体には水晶が刺さった様子はなかった。

本人の言葉とも一致し、ひとまず安心した。

しかし――馬琴(まこと)の中には、拭えない違和感が残っていた。


(自分と同じように太平(たいへい)も意識だけ入り込んでいる……)

(だが、それなら意識でブランデァさんにバレる――はず)


だが、ブランデァの挙動をしばらく様子を見た。

しかし、ルティーナが馬琴(まこと)と初めて邂逅した時のように混乱した様子は、一切見受けられなかった。


(とりあえずルナ、みんなに説明してくれ)


しかし、時間はなかった。

ロザリナの魔法効果が切れた瞬間、朝時(あさとき)が再び『ダーク・マニピュレート――洗脳――』でブランデァが操られてしまう。


(そうか、洗脳が解除される瞬間に自分の入った水晶ごとどっかに……)


「(時間稼ぎってやつね!)」

「ハーレイさん、ダブリスさん、とにかく水晶の破片を探してください!」


「「わかった!」」


「ルナリカ様、私もお手伝いしましょう」


「デーハイグさん、ご無理なさらないで……危ないので下がっててください」


「…………この部屋は私が一番把握しておりますので」


「わ、わかりました。お願いします」


(なんだ? いつものデーハイグさんとは違うな)


馬琴(まこと)は万が一を考え、『サモナー・ストーン』を見つけても移魂される為、触れないように注意を促す。


(ルナ、俺達より三人の方がこの部屋に詳しい)

(水晶探しは三人に任せる。俺たちしかできないことを先に済ませるぞ)


「(そうか、ノキア王の首輪をはずすのね)」


(わかってるじゃないか)


ルティーナはノキア王の不安要素である『カース・ストーン』の首輪を外す段取りを始める。


以前、サーミャを救った時と同じように指先に二センチほどの【(とける)】を浮かべる。

そして、首輪の帯に触れ、溶かし取り外すのであった。


(この紐の断面はミヤを助けた時の……そうか、ギルドの封印庫にあったやつを――)


「おぉさすがはルナリカ! 助かったぞ」



しかし、その様子は朝時(あさとき)に筒抜けであった。


(危ねぇ、ブランデァに戻るのが間に――)



「ぎゃーーーーーーーっ」


ブランデァは突然、奇声を上げる。


「――ど、どうしたんだ! ブランデァ!」


ブランデァは自分の中にいる朝時(あさとき)の声に恐怖し混乱した。


「お、俺の中に何か居る~っ! ひぃ~っ――」


(何っ! 俺の考えが聞こえるのか!)


「(ま、マコトっ)」


(くそっ! そこに居たのかっ!)


馬琴(まこと)はルティーナにブランデァを再び触れさせ、【(ねむる)】で包み込み視覚情報を遮断する。

続けて、両耳に【(おと)】を描くことで聴覚情報も遮断する。


「これで、タイヘイの情報源はなくなりました」

「急いで、探しましょう」


ノキア王も含め、六人で必死に『サモナー・ストーン』の捜索を続ける。

しかし水晶の破片が小さすぎるため、簡単に見つけることができなかった。


「ルナ、キャンセラーは後二分も持たない……」


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