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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第捌章 ~過去ト現在ト未来~

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第172話 一時ノ平穏ト暗雲

ルティーナ達は、急遽、モルディナ王に食事会へ招待されることになる。

すると、馬琴(まこと)はサーミャから聞いていた話を思い出す。


(そういえば、モルディナってさ、魔法師団長のウェンディさんっていう人がいるんだよね?)

(光属性と攻撃五属性の魔法が使えるって)


「(そうだ、ミヤが居ないからすっかり忘れてた)」

「ねぇリーナ、ミヤの話覚えてる?」


ルティーナはあわててロザリナに確認する。


「そうだよ! おばさんなら、転移が無条件で使えるって言ってたね」


(おばさんね……魔法使いだから……年配なんだろうね)



そして数分後、ハウレセン王とセレーナ姫は挨拶を終え、ルティーナ達の居る客間に顔を出す。


「突然の食事会の件、すまなかったな」

「モルディナ王にお主らの話をすると、盛り上がってしまったのだ」


「いえいえ、いいんですよ」


そんな中、セレーナ姫は嬉しそうにルティーナに声をかける。


「ルナリカ、ロザリナ、ヘルセラ様、我々女性陣のお召しものを準備していただけるそうなのです」

「長旅でお疲れでしょうから、少しでも身体を休めてから参りませんか?」


「そうですね」


「では、入浴を済ませてから向かいましょうか?」


「えっ、入浴……」


すると馬琴(まこと)が急に鼻息が荒くなる。


(キタコレッ!)


「(あちゃ~、また、おっさん化しちゃったよ)」


(今回は、俺の意識を奪ったシャルは居ない!)

(つ・ま・り、セレーナ姫様ぁ~もらったぜぇ~!)


「(しまった! 誰か止めてぇ!)」


「どうかなさいされまして? ルナリカ」


セレーナ姫は、ルティーナの様子に疑問を感じる。


「こういう機会もなかなかありませんし、私も同世代とご一緒する機会は滅多にありませんから」


「(そういえばエルも同じ事言ってたよね? 同い年の女性と一緒になるって以外と少ないんだね)」


(そうだねぇ~今日は居なくて残念だったねぇ~)


「(今のマコトが言うと、全然違う意味に聞こえて嫌~っ)」


(えへへへ)


――しかし馬琴(まこと)の期待とは裏腹な事態が起こる。


「あぁ~~そうそう、ヘルセラ様、セレーナ姫、三人でまいりましょう」


ロザリナがルティーナを見て微笑む。


(おいっ! リーナ、何言ってんだ!)


「あらロザリナ、ルナリカは誘われないのですか?」


「あ、あ、あ、そ、それがですね……(ゴニョゴニョ)……」


ロザリナはセレーナ姫に耳打ちをする。

するとセレーナ姫は、さっきまでの不自然なルティーナの挙動を理解したように答える。


「……あら、そうでしたの?」

「気がつかなくてごめんなさいね……では、また後ほど」


「(なんだかよくわからないけど……ありがと~リーナ)」


(え~、何を気遣っちゃったの~、姫ぇ~置いて行かないでぇ~)


「(え~じゃないわよっ、全くぅ)」

「(わかったわよ、今度ヘルセラ様と入ってあげるわよ)」


(…………お、俺が悪かった)


ルティーナは、ロザリナの一言で納得したセレーナ姫に何を吹き込んだか気になってしまった。

すると、馬琴(まこと)がさらっと口をすべらせてしまう。


(女の子がお風呂を遠慮すると言えば、あれだろ?)


(あれって何よ!)


馬琴(まこと)は、ルティーナの反応に今更ながら衝撃の事実に気づいてしまった。


(? 生――あっ、まさか!)

(ルナの体はまだ十二歳……そういえば半年以上も一緒だったのに……一度も…………)


「(なんの話よっ! 答えなさいっ)」


(ひぃ~アンナさんに聞いてくれぇ~)


「(なんで、お母さんなのよっ!)」


そうこうしているうちに、馬琴(まこと)がルティーナを必死になだめている間に、セレーナ姫達は風呂を終えていた。


(あぁぁ~俺の楽しみがぁ~)


「(ふんっだ)」


そして衣装を着替え、食事会が開催される会場に案内される。

そこにはモルディナ王の他、王妃と第一王子と三人の女性が同席していた。


「ようこそ、『零の運命』の方」

「事情は聞いております。このような不躾な要望を聞いてくれてありがたく思う」

「余は、モルディナ=グランデだ。いろいろと話を聞かせてくれ」


順に自己紹介され、最後の一人の女性が腰を上げる。


「――最後になりますが、わたくし、魔法師団長ウェンディ=グランデと申します」

「このような場にご同席させていただき――」


挿絵(By みてみん)


風貌は白髪かつシャルレシカに引けをとらない豊満な体型であり、年齢のせいか色っぽさというか母性を兼ね備えていた。



(この人が……ウェンディさん? おばさんじゃないじゃんか!)


「(う、うん、めっちゃ若いよね?)」


(でもさぁ、あの人シャルっぽいよね?)


(マ・コ・トさん? 何を見てシャルっぽいって思ったのかなぁ~?)

(これはトモミさんへの報告案件ね)


(ぎゃ~っ!)


その後、ルティーナ達も自己紹介を始めるが、いつものように容姿についてモルディナ王が突っ込まずにいられなかった事は語るまでもない。


そして、食事会もだいぶお酒が進み盛り上がっていた。

お酒で気分が高揚しているウェンディがルティーナ達に本格的に絡み始めた。


「って! もう、我慢できません!」

「かねがね『零の運命』の噂は聞いてましたよぉ――」


「おちつきなさい! ウェンディ! この場を何だと――」


ウェンディは、モルディナ王と第三王妃の間に生まれた娘であった。

しかし王位継承権は持たず、幼少の頃からずば抜けた魔法力と才能を発揮し、今では国を守る重鎮となっていたのであった。


この会にルティーナ達を呼んだことを聞いて、職務を放棄してまで参加してきたのだ。


「皆様、興奮のあまり取り乱してしまいました。大変申し訳――」


謝るウェンディをハウルセン王は宥める。


「よいよい、これくらいに気さくな方が、気が楽ですよ」

「このような機会は、そうそうありませんからな」


(少しは、笑顔になってくれてよかった)


「(そうだね)」


「でさぁ――今度は、絶対、サーミャちゃん連れてきてよぉ~」


(ハーレイ様と同じ呼び方するんだぁ)

(っていうか、完全に酔っ払いじゃないか!)


「(実は、ミヤと気が合うんじゃない?)」


「そうそうロザリナちゃんってさ、私でも一日で二回が限界の再生魔法を連発できるんでしょ?」


ロザリナもウェンディの勢いに圧されてしまう。


「あ、はい」


ルティーナもウェンディに質問をする。


「でも、う、ウェンディは、代わりに全ての攻撃魔法が使えるんですよね?」


するとウェンディは満面の笑みになる。


「ふふふ、そこでねぇ提案があるんだけどぉ」

「ねぇ~お父様、ルナリカちゃんと余興で手合わせしたいんですが、見たくないですか?」


(あははは、見た目はシャルだけど性格はミヤだな)


困り果てたモルディナ王は、申し訳無さそうにルティーナに依頼する。


「いいですよ」


(ルナ、やる気だねぇ?)


「(顔を売るチャンスだからね)」


そして、二人は月明りが照らされる庭に出向く。

王達はグラス片手にベランダから双方の応援を始めるのであった。


「さぁ~お父様っ、合図をお願いしますね」

「私が大怪我しても、ロザリナちゃんがいるし本気で来なさいっ」


ロザリナは天を見上げる。


「(え~? 私がやるのぉ?)」


ウェンディも気合が入る。


「ようやく本気で魔法が撃てますね!」


モルディナ王の合図で戦いが始まる――。


「さぁ見せてもらいますよぉ」

「私とは違う魔法体系……たまりませんっ」


ロザリナはそんなウェンディを見つめながら、あることを思う。


「(なんだろ? ハーレイ様そっくりだ……)」


しかし、その瞬間――ウェンディの目の前に突然、『ディメンジョン・テレポート――転移――』の黒い空間が出現する。


「ルナリカちゃん! 何? この攻撃はっ!」


ウェンディはルティーナがいきなり大技を仕掛けて来たと勘違いし、相殺するため、迎撃魔法を放とうとする。


「駄目ぇ! ウェンディ様っ! 違いますぅ!」


ルティーナは、必死に攻撃をやめさせようとするのであった。


(なっ? なんでミヤが、ウェンディ様の所へ転移を?)


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