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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第捌章 ~過去ト現在ト未来~

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第171話 策動ト二手ノ行路

ルティーナ達は襲撃犯のリーダーらしき男の記憶をシャルレシカによって読み取る。

シャルレシカの水晶には首謀者と思われる人物が映し出され、その場の全員は言葉を失う。


「なぜだ……パトリッシュ」


「ギルド長が絡んでいるなんて……」


しかし、馬琴(まこと)の疑問は解消されていなかった。

自分達の漢字の能力の事を知っている人物。


(勇者がらみの組織幹部……)


だが、水晶には襲撃犯のリーダーを含む三人での密会しか映し出されない。


「(この中で誰かが、組織とつながっているから知ってたんじゃない?)」


(うーん……)

(パトリッシュさんはもう居ない……こいつは今からシャルに探らせるとして……)


「(ブランデァさんは、直接、調べるしかないわね)」


(あぁ)


ブランデァの事を良く知る、ヘイガルはその話を聞き悲しそうな顔をする。


「つうことは、ブランデァはわざと夕方まで引っ張ったというのか?」

「当日に強引に出発される可能性を潰させて、コイツラに先回りさせて準備させた……辻褄は合うか」

「……あんな人望の厚いブランデァが」


「そんな人には見えませんよね」


「ルナ、もしかして、ブランデァさんて組織の仲間だったの?」


「ううん、それなら痣らしきものがあるはずよ……」

「もし、勇者側の組織なら、今回の件に何の意味が……」


ブランデァのことは早急に調べる必要はあったが、まずは、期限の迫る護衛案件を完了する義務があった。


そんな中、ハウルセン王はルティーナの肩を叩く。


「のぉルナリカ、1つだけ余にも、こやつに質問させてもらえないだろうか?」


「構いませんよ」

「情報は多い方がいいですし」


ハウルセン王は、男にブルデーノ王国で関与している人物が他にいないかを確認する。

すると、水晶に思い当たる人物が数人映りこんでいた。


セレーナ姫は思わず目を閉じてしまう。


「お、お父様っ!」

「……トレイユ伯爵、それにバレンツ侯爵まで……これは一体」


「あぁ、我が国はどうなってしまっておるのだ」

「貴族達までつるんでおるのか! なんたことだ……」


(俺達の時代の政界と変わらないな……くだらない思想で組織の脚を引っ張る)

(ルナ――)


そして、ルティーナはハウルセン王へある提案を行う。


「シャルの力があれば、その貴族からさらに関与している人物を洗い出せます」


「!」


「何をするというのだ?」


「シャルを重要人物として公に動かせば、反対派は必ず動きます」


「ハウルセン王達がモルディナでの交渉を終えて帰国するまでに、シャルレシカの力で反対派の主要人物を炙り出し、一人ずつ拘束していきます。」


「なるほど、そうなれば妨害工作が打てなくなるというわけか」


「そうです」

「シャルレシカが目立てば、勝手に悪意は集まります」


ハウルセン王は首を傾げる。


「悪意が集まるというのは、どういう意味なのだ?」


ハウルセン王が信頼を置く地位ある人物に協力してもらい、貴族たちへ芝居を打。

そうすれば、反対派の目は自然とシャルレシカへ向くと説明する。


「作戦はお主たちに任せるが、信頼のおける人物か……」


候補となる主要人物を現地でシャルレシカと接触させ、裏切り者かどうかを判断させることにした。

「それが確認できれば、ひと芝居打てるな」

「ブルデーノでの作戦は分かった……」

「だが、シャルレシカだけを向かわせるわけには……」


ルティーナは作戦を伝える。


「護衛の馬を二頭お借りできませんか?」


現状、賊を一網打尽にした以上、この先に大きな障害はないと判断した。

そこで、ヘイガルと案内役を一人と、エリアルとシャルレシカでブルデーノ王国に向かわせることを提案する。


「シャルレシカは悪意を見抜ける。だからこそ、真っ先に狙われる危険があります」


そこでヘイガルとエリアルを護衛にすることを提案する。


「二人とも騎乗ができるため、お借りした馬を二人乗りで移動できます」


「では、この先はどうするのだ?」


万が一、ハウルセン王達が怪我をした場合の治療役にロザリナ。

シャルレシカには及ばないが索敵ができるヘルセラ。

護衛には自分が居れば対応はできると説明する。


ヘルセラも後押しをする。


「そうじゃな、この先は悪い予感はせぬしな」

「(よかったのシャルレシカや、これでブルデーノに行けるぞ)」


「(はいぃ)」



「そうだな。ヘルセラ様がおっしゃるのであれば」

「で、あればだれを案内役に……」


「では、その役目、私めに……」


そこへ名乗りを上げたのは執事のベイメールであった。


ルティーナは早速、執事や側近に状況を説明し、シャルレシカに念のため敵のスパイは居ないかを確認させる。


「みなさん、関与はしてなさそうですぅ」


それを聞いたセレーナ姫は安堵の顔を浮かべる。


「ベイメール……信じてましたよ」


「セレーナ姫」


ベイメールはギルドでブランデァに依頼を説明し、後はこちらでノキア王に報告すると伝えられ大使館へ戻っていたのだ。


「やっぱり、ギルド長が依頼のタイミングを操作していたのね」


そうして、執事ベイメール連れ三人はブルデーノ王国へ戻っていく。


「おそらく、ブルデーノまで馬単騎であれば、東の森を無理やり抜ければ、2日もかからないはずだ……」

「こちらも出発するぞ!」



賊はブルデーノに帰国後の証拠になるため、全員に【(ねむる)】と【(かすか)】を描き、眠らせ小さくした状態で馬車の片隅に乗せ、モルディナに向けて出発した。


しかしルティーナ達は、男から引き出した情報に困惑を隠せないままだった。

王をはじめ護衛共々、言葉を失い会話もなく時間は過ぎていく。


そんな雰囲気の中、ルティーナは口を開く。


「予定より早く、無事にモルデリド王国を抜けられそうですね」


「そ……そうだな」


(ハウルセン王……精神的にかなりきてるな)



気づけば最後の峠も越えた頃、日が暮れてかけていた。


そして予想より早く、モルディナに入国後そのまま王城までたどり着くことが出来たのであった。


「とりあえず、ここまで来れば目的は達成ですね」


「ルナリカよ、この城からは邪気は感じぬから……反対派の手は伸びておらぬな」


「じゃぁ、もう気を張る必要はなさそうですね」


ハウルセン王は、ルティーナ達に対して頭を深く下げる。


「色々あったが、護衛の件、感謝する」

「余達は、モルディナ王と謁見をしてくる」


「わかりました」


そのままハウルセン王とセレーナ姫は、モルディナ国王に挨拶するため、ルティーナ達は客間に案内されるのであった。


ルティーナは、客間の窓から夕日が沈む姿を見つめながら呟く。


「あとは、シャル達が無事にブルデーノ王国に到着してくれるといいね……」


「そうですね。まだ作戦は知られていないはずですし、襲撃はないと思いたいですが」


「あやつは大丈夫じゃて、不穏な未来を占い師が二人とも見ておらんのだから」


「そうですね」


「あとは、婚姻の話が成功することを祈るばかりじゃな――」


三人がひとまず安堵の息をついた、その時だった。


安心している三人の元へ、モルディナ王の執事が部屋にやって来た。


「ルナリカ様、ロザリナ様、ヘルセラ様」

「二時間後になりますが、食事会を設けることとなりました」

「よろしければ、ぜひ、同席していただけませんでよか?」


ルティーナ達は、なぜ自分たちまで招かれたのかと戸惑う。

ハウルセン王から護衛の活躍を聞いた、モルディナ側からの要望だと説明される。


「(どうするぅ? マコト)」


(いいんじゃないか? 顔を広げるってのも)

(昔みたいに、太平(たいへい)の魔の手はないわけだし)


「(それもそうね……)」


「で、マコマコは何って言ってるの?」


「あははは、また、ぽかーんとしてた?」

「うん、いいんじゃないかってさ」


「私、会食の作法なんて分からないけど、いいのかなぁ?」


「大丈夫よ、私も武闘会の時にノキア王に招かれて、マコトに教えてもらいながらだったから教えてあげるわ」


「なんじゃ、勇者と言っても、ルナリカのお目付け役ではないか」


「「あははっは」」



「では、モルディナ王へそのようにお伝えします」


「よろしくお願いいたします」




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