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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第捌章 ~過去ト現在ト未来~

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第167話 国王ノ護衛ト再会

シャルレシカがギルドから持ち帰ったブルデーノ王国の国王と王女の護衛任務の案件。

だが、馬琴(まこと)だけは半ば納得できていなかった。


そして翌朝、五人は早速ギルドに向かう。


「レミーナさん……受付に居ないね?」


そこで他の受付嬢に確認する。


「今日は体調不良でお休みだそうですよ」


「そうなんですね」

「それじゃこの依頼の件を知ってそうな人って――」


そこへ、ギルド長のブランデァが顔を出す。


「やぁっ、『零の運命』っ来てくれましたねっ」


(指名をしてきたんだから、この人からの指示だよな)


そしてルティーナ達は、今回の任務を受理する意向を伝えるのであった。


「あのぉブランデァさん」


だが、ルティーナは馬琴(まこと)が気にしていたことを、ブランデァに確認した。


すると、ギルドでの高難易度の案件が発生した場合に依頼するパーティーの序列があるという。


「これまでは『碧き閃光』が第一位でしたがっ、昨日付けで国王陛下より序列変更の通達がございましたっ」

「なのでっ、今後発生する高難易度案件は『零の運命』を最優先に依頼するよう命じられておりますっ」


(そうか、朝時(あさとき)事件の報酬か……)


「(それじゃぁ、今後は高額の案件を優先に回してくれるってこと?)」


(なら指名されても――)


「(やっぱり、マコトが考えすぎだったのよ)」


(すまん……)


そしてブランデァは早速、指示を出す。


「これから、ブルデーノ大使館に向かってくれっ」

「お二人は、先日から滞在しておられる」


「わかりました」


「護衛の件をブランデァから伺ったと伝えてもらえればっ――」

「そういえば、サーミャを見かけないようだがっ?」


「あぁ、気にしないでください。護衛の時は合流するので」


「(そんな嘘を言っていいの?)」


(また、勇者の手下が監視しているかわからないからな)


「(そっか)」


「では、よろしく頼むっ」



そのままギルドを後にし、その足でブルデーノ大使館に向かうのであった。


「ここがブルデーノ王国の大使館ですか?」


高く掲げられた国旗と厳重な警備に、ルティーナ達は思わず足を止める。


「同盟国だったんですね?」


その時だった。


「君たちは……?」


ルティーナ達は、大使館の守衛に護衛依頼の件で謁見したいと説明した。


しかし、エリアル以外の面々は戦闘向きには見えず、さらに老婆までいることで、守衛は怪訝な表情を浮かべた。


困り果てていたルティーナ達を助けるように、声をかける剣士が現れた。


「よぉ~っルナリカぁ」

「ギルドからの派遣は、やっぱりお前らだったか?」


「へ、ヘイガル様っ」


守衛はヘイガルを待っていたかのように、ルティーナ達を押しのけて中へ案内しようとする。


「――おいお前、こいつらも案内してやれよ……まさかぁ知らねぇのか?」


「え?」



そして守衛はヘイガルとルティーナ達を部屋へ案内する。


「でもヘイガル様が来てくれて助かりました」


「俺も、お前たちと一緒に仕事できるのは嬉しいぜ」


「(白金の剣士……でも、ミヤが勝ったんだよね?)」


(あの時のヘイガルさんは拘束目的だったんだろ?)


「王宮からは俺が」

「ギルドからは、お前たちってわけだ」

「同盟国の王を迎える以上、それくらいは当然だからな」


(そうだよな、王宮にも連絡は行ってるよな)


本来はハーレイが来る予定だったが、サーミャの事情を知るヘイガルが代わりに名乗り出たのであった。


「(いい人だね)」


ルティーナもヘルセラを紹介し、護衛役として同行する許可を得るのであった。



そして、部屋の前へ到着する。


「失礼いたします」

「私共、ノキア王より増援の命を受け、この度馳せ参じました」

「ノモナーガ王国近衛師団長、白金の剣士ヘイガル=ブレンソンと、こちらはギルドから派遣されました序列一位の『零の運命』でございます」


「余はブルデーノ七代目国王、ハウルセン=ブルデーノだ」

「急な招集に応じてもらい感謝する」

「そして――」


「私、第一王女のセレーナ=ブルデーノと申します」

「――」


「(わ~お姫様だよ、本物だよ~綺麗~きゃ~きゃ~っ)」


(落ち着けルナ、こういう時は女の子だなぁ~)


「(ふんだっ)」


セレーナはルティーナ達を見つめたまま、困惑した表情を浮かべる。


「あの、大変失礼かと存じますが……」


さすがのハウルセン王は大人の対応をしたが、セレーナ姫はギルドの上位パーティーとは聞かされていたものの、目の前にいる少女達へ自分の命を預けることに不安を感じ、つい愚痴がこぼれてしまう。


その言葉に、ハーレイが口を開く。


「彼女達の実力は本物です」

「それに……」


ヘイガルはルティーナ達へ視線を向ける。


「ギルドでも珍しい女性だけで構成されたパーティーです」

「姫様と年齢も近く、護衛という意味ではこれ以上適した者はいないかと」


「そうなのですね……」


セレーナはもう一度ルティーナ達を見渡し、小さく微笑んだ。


「ハーレイ様が認めていらっしゃる方々なのですね」

「申し訳ありません。自己紹介を止めてしまって」


そして、順に自己紹介が始まる。


「私、ルナリカ=リターナでございます」

「この『零の運命』の(かしら)でございます」


「職業は容姿からして剣士か?」


「……あ、その……銀の職業なしです」


「ちょ、ちょっと待て!」


命を預ける護衛が『職業なし』という事実を知った瞬間、さすがに大人の対応をしていたハウルセン王も顔を歪め、ギルドはふざけているのかと激怒し始めた。


(あはは……ついに王様からも、いつものお約束か)


「(え~どうするの? ヘイガルさまでもさすがに――)」


その様子を見かねたヘルセラが、エリアルの後ろから顔をだし怒鳴り散らす。


「え~いっ黙れ悪ガキがっ!」

「王になっても、人を外見でしか判断できんとは情けないっ!」


(……!)


「が、悪ガキだとぉ!」

「そこの老婆っ! 無礼だぞ――」


ヘルセラは退くどころか、したり顔で叫ぶ。


「――ったく、ワシの顔すら忘れたか? ハウルっ」


「ハウル……その呼び方をするのは――げっ」


「『げっ』って……お父様がそんな声を出されるなんて」


ヘルセラは三十年ほど前、ブルデーノ王国近隣の村で暮らしていた。


当時、まだ王子だったハウルセンは、とにかく自由奔放な性格であった。

護衛団の目を盗み城を抜け出しては森へ冒険に向かい、行方不明になることも珍しくなかった。

その度に捜索を任されていたのが、ヘルセラだったのである。


そのため、当時のハウルセンにとってヘルセラは、頭の上がらない存在だったのである。


「えっ、ま、まさか、ヘルセラばあ――」

「んんっ、ヘルセラ様が何故このような所に……お久しゅうございます」


(まさか……ヘルセラさんの言っていた悪ガキって)


「(昔から国王様を叱っていたのぉ?)」


「し、しかしですな~ヘルセラ……様っ」


「護衛されれば、この者達の実力は身をもって分かるわい」

「わしが信用できんのか?」


「……」


ハウルセン王は一瞬だけ言葉を失う。

やがて観念したように小さく息を吐いた。


「……わかりました」

「余も自己紹介を中断してしまい申し訳ない」


そして、ロザリナ、エリアル、シャルレシカも自己紹介を終えるのであった。


「しかし、魔法使いはおらぬのか?」


「本来であれば、ルナリカの仲間に五属性を使いこなす魔法使いがおりますが、今回は魔導師団長のハーレイと別任務についており、参加できません」


「それは残念だ、だが贅沢は言えまい」


そして、ハウルセン王は渋々受け入れることにし、護衛案件は成立する。


「では二日間護衛をよろしく頼むぞ」


「「「「「はいっ」」」」」



そして出発の準備までの間、しばし交流を深めることになった。


ルティーナは、交渉後の帰国時はどうするのかとハウルセン王に投げかけた。

すると彼は、モルディナとの交渉の結果次第だという。


「なぁハウルよ、モルディナとは何かあるのかい?」


今回の目的は、モルディナと国交の同盟を結ぶため。

そして王女のセレーナ姫を、先方の第一王子とお見合いをさせることが一番の目的であった。


(誓約結婚てやつか?)


しかしハウルセン王は少し影を落とす。


「だが、それを良しとしない派閥が国内におるのだよ……」



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