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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第捌章 ~過去ト現在ト未来~

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第164話 親子ト魔法ノ儀式

ノキア王を朝時(あさとき)の支配から解放し、ようやく平穏を取り戻したルティーナ達。

久しぶりに家族との団らんを楽しんでいたアジャンレ村の孤児院に、不意に来客を告げる音が響いた。


「こんな時間にどちら様ですか?」


アンナは急いで扉を開ける。

そこには、にやついた一人の老婆が居た。


「ちょっと邪魔するよ」


「あ、あの……おばあちゃん、待って待って」


アンナの様子に慌てて飛び出すルティーナとサーミャであったが、その顔を見てびっくりする。


「ヘルセラさん?」


「おぉ、救世主様と銀色っ! やはり来ておったか」


「ばぁさん、その言い方、勘弁してくれよ」


「だからぁ銀色って!」


「すまんすまん、サーミャとルナリカや」


そこに現れたのは、ジェイスト村に居たはずのシャルレシカの叔母ヘルセラであった。


「でも、私たちが居るってよくわかりましたね」


「わしかて、シャルレシカには劣るが、それぐらい予言できるわいっ」


バルストとアンナは、突然始まった三人のやり取りについていけず顔を見合わせた。


「ルティーナ、そのおばあさんはどちら様?」


「お父さん、紹介するわ」

「この方は、シャルレシカのおばあちゃんの妹さん、ヘルセラさんなの」


バルストは思い出す。


「この前、ジェイスト村にいる老婆に逢いに行くって言ってた方か?」


ルティーナは頷く。


「ジェイスト村へ行った時、お父さんと同じ理由で、暗殺部隊から命を狙われていたところを助けたの」

「それで、アジャンレ村に来ないかって声を掛けたのよ」


ルティーナは、これまでの経緯を二人に説明した。


「そういう事だったんですね」

「遠くから、大変だったでしょう? 住むところは後日準備を――」


ヘルセラはアンナの話が終わる前に、自分の要件を伝える。


「それは頼む。だが、今日は――」

「わしを連れてノスガルドに戻れ」


「えっ?」

「ど、どういうことですか?」


さすがのルティーナも突然のヘルセラの発言に言葉を失う。


「――これから先、お前らには、わしが必要になる」


「ばぁさんが? 必要になる? あいかわらず占い師ってよくわからねぇな」


「だけど、シャルだって急に見えてないことだって理解している時あるじゃない?」


「そ、そうだな」


「(そういえば、シャルが何かやろうとしてたよね? 関係があるのかな?)」


(どうだろ……)


「でも今日はもう遅いわ。一晩くらい泊まっていかないの?」


ルティーナは、アンナに申し訳無さそうに予定があるので長居できないと謝罪した。

そして改めて皆で遊びにくることを約束して、ヘルセラを連れ三人で拠点に転移するのであった。



――バシュっ!



バルストとアンナは、ルティーナが自分達から巣立っていく小鳥のように見えていた。


「消える時は普通なんだよな……」


「でも、これでルナはもう危険にさらされることはないんですよね」


「そうだな」

「ルティーナが幸せになってくれることを祈ろう」




そして、ルティーナ達はシャルレシカの部屋に転移を完了する。


「あばばば~っ! 私のへやがぁぁ~」


新しい拠点で初めて与えられた、自分だけの部屋。

シャルレシカは嬉々として模様替えを終えたばかりだった。


その瞬間――。

転移の衝撃で部屋は滅茶苦茶になり、幸せそうだった表情が一瞬で引きつる。


「す、すまねぇシャル……」


(シャルって、こういうとこは予知できないんだよな)


「(ぷっ)」


「相変わらず騒がしいのぉ、シャルレシカや」


「あ――お婆ぁ様っ~!」



ルティーナ達は、ロザリナ達を広間に呼び出し、ヘルセラの事を紹介する。


「「初めまして。シャルのおばあちゃん」」


「ルナリカから話は聞いておる」

「目の色が違うおまえさんはロザリナだね? ……勇者の血を引くものか」

「で、こっちの娘はエリアル――ほぉ、おまえさんもルナリカと同じ匂いを感じるねぇ?」


「(さすがシャルのお婆さん……何か感じ取っている)」


ヘルセラは二人に興味を持ちながらも、話を勝手に進める。


「しばらく世話になるぞ、部屋はシャルレシカと一緒でよい。色々と話がある」


「しゅ、修行はもうこりごりですぉ~」


「昔のように修行するわけではないから安心せい」

「それと明日、ノキアの所に連れていけっ! 奴に会わなければならんっ」


「(王様のことを呼び捨てする仲なの?)」


(ノキア王は、ヘルセラさんの話をしたとき、そんな雰囲気がなかっが……)


するとサーミャがヘルセラの肩を叩く。


「ばぁさん」

「明日なら、朝ご飯を食べたら王宮に行くから、あたいが連れて行ってやるよ」


「おぉそうか! シャルレシカ、お前も来い!」


「ほぇ?」


その後、夜遅くなってしまったため、そのまま解散し各々の部屋へ戻っていった。


シャルレシカの部屋ではヘルセラと二人で横になっていた。


「ねぇお婆さまぁ」


「なんじゃい?」


「私ぃ、やりたいことがあるんだけどぉ……皆に秘密でぇ」


「手伝ってくれるじゃろ? あやつらなら」


「ううん、もし失敗したら、嫌なんですぅ」


ヘルセラは親身にシャルレシカから話を聞き、納得をする。


「なるほどの……お前にはいろいろと潜在能力はあると思うが、宛てはあるのかい?」


「ギルドに行けばぁ……」


「それじゃ明日、ノキアの要件が終わったら、そのギルドに着いていってやるわい」


「うんっ」


「それより、ちゃんと魔力制御の訓練はしとるじゃろうな?」


「……」


「しとらんのかいっ! これからは毎晩修行だな」


「ふ、ふぇ~っ」


「あんた、ルナリカの役に立ちたいんじゃろ?」


「う、うん……頑張る――むにゅっ」


「って、こやつ話ながら寝よったわい……まったく」

「がんばれ、シャルレシカや」



そして翌朝――。

シャルレシカとサーミャはヘルセラを連れ、ノモナーガ城に向かうのであった。


「しかし、また、ばあさんと逢えるとは思わなかったぜ」


「まぁまぁそう言うでない、救世――んんっ」


ヘルセラは咳払いをする。


「サーミャ、お前さん何か悩みをかかえてはおらぬか?」


サーミャは苦笑する。


「……まったく、占いの家系ってのは怖ぇな」


サーミャは父ハーレイと、関係がぎくしゃしたまま、これからどんな顔をして修行をつけてもらえばいいか悩んでいたことを見抜かれていた。


「サーミャや、父親は働くことでしか子どもに貢献出来ない生き物であり、いつも大切に考えているものさね」


「……」


「それがうまく伝わってないから、避けてしまっていんじゃないのかい?」


「あの親父は不器用だからな……まぁ助言として覚えておくさ」

「ありがとな、ばあさん」



そんな会話をしている内に、ノモナーガ城の門前に到着する。

サーミャは守衛にはヘルセラとシャルレシカをノキア王に謁見できるように説明する。


「おーい、話は着いたぜ! こっちに来てくれ」


サーミャは二人を城内に呼ぶ。


「シャルはここの兵士には大人気だからよ」

「よろこんで連れて行ってくれるってさ」


「ぶぅ……また、そういうことを言うぅ~」


「なんじゃ、お前? 凄いんじゃな」


「違うもんっ」



そして、サーミャは2人を残し、城内の魔法師団の施設にハーレイを尋ねる。


「しっかし、懐かしいなぁ~、あのころと一緒だな」


サーミャはハーレイの部屋の扉をノックする。


コンコンッ


「ん? サーミャちゃんかぁ? 入ってきていいぞぉ」


「お、おうっ(なんか調子が狂うな)」


ハーレイはサーミャに、二週間ここで生活すると告げた。

しかし拠点から通えばいいと思っていたサーミャの顔は不満気だった。


「まぁいいけどさ(意味がわかんねぇ、修行だろ? 別に、帰って風呂ぐらい入らせろよ)」

「で、どうするんだ? 外で実際の詠唱を見せてくれるのかい?」


「あ~、違う違う」


「?」


「サーミャちゃんは寝ているだけの簡単なお仕事さ」


「はぁ? なんだよその求人広告みたいな」


「肩に俺の細胞を埋め込んだ痣があるだろ?」


「この忌まわしいやつな」


「い、忌まわしい……って、酷いなぁ~」


ハーレイは、その痣に宿る自分の細胞を全身へ広げることから始めると説明した。


「げっ、なんか想像しただけで嫌悪感が……」


「ほんと、扱い酷くない?」

「というか、二十歳の誕生日の時に居てくれたら、パッパッと半日ぐらいで終わった儀式だったんだよ」


サーミャは目を細める。


「そうかい……あの事件が無かったら……ま、二年も経っちまったからしゃあないんだろ?」


「そういうことだ」

「だが、始める前に一つだけ話がある」


「?」


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