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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第漆章 ~無明長夜《むみょうちょうや》~

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第148話 魔法師団

サーミャとヘイガルが最後の一騎打ちを始める姿を、遠くからダブリスは見つめていた。


「あれだけ細工を施したのに……」

「ルナリカを連れてきたことを、時間差もなく突き止めるとは……何者なんだあいつら」


ダブリスはサーミャ達が躊躇もなく城に乱入してきたことには正直驚いていた。

だが冷静に誤った情報を城内に広げた。


魔法師団にはサーミャとシャルレシカが、別の入口から地下へ潜入している。

近衛師団にはエリアルとロザリナが、地下入口の門の前で暴れている。


「さすがにヘイガル様相手ではサーミャも分が悪かろう」


ダブリスは予定通りに進んでいることを確認でき、ノキア王の元に居るフェンガに洗脳した小鳥を使い情報を連絡することにした。


「フェンガ、ノキア王はおられるか?」


「――すみません。今、ノキア王から指示され宝物庫へ行っていました」

「ただいま戻るところです」


「そうか」

「では戻ったら、サーミャ達が潜入してきたと伝えてくれ」


フェンガは驚きを隠せなかった。


「な、もうバレたのですか?」


「とりあえず我々なりに時間稼ぎはしたが、今の状況は悪い!」

「至急、至急、報告して指示を仰いでくれ」


「わ、わかりました」


そして、二人の会話は終わる――。


だが、ダブリスの表情は浮かなかった。


「(『零の運命』、俺の不信感を払拭してくれ……)」





その頃、ロザリナとエリアルは、ヘレンのネズミの案内に従い地下二階への階段へ向かう。



その場で護衛とも遭遇してしまうが、騒ぎを起こさないように対処する。


「――よっと……峰打ちです! 寝ててください」


「エル、ここを降りれば地下二階よ」


「さすがに、ミヤ達が入り口で暴れてくれてるから手薄で助かりますね」


「通路の反対側にいかないと次の階段がないなんて、誰よこの城作ったの!」


少し焦り気味のロザリナをエリアルは宥める。


「まぁ、牢獄なんですから簡単に階段がつながってたら逃げやすくなるからじゃないですか?」


「もし増援が来たら、僕のことは気にせずに先に行ってくださいね」


「わかったわ。本当はこんな雑魚護衛相手じゃなくって、手応えあるやつと暴れたい気分なんだけどね」


「そんな事言わないでくださいよ、ロクなことないんですから」


二人が地下二階に足を踏み込んだ瞬間――。


ズバババーッ


二人に迫る雷撃にエリアルは気づいた。


「な!」


その瞬間、背負っていた大剣を抜き放ち、盾代わりに構え雷撃を受け流す。


「ありゃっ、打ち消されちまったじゃんっ」


「『ありゃ』じゃありませんハーレイ様っ、真面目にやってください!」


「いやいや俺が本気出したら、サーミャちゃんを殺しかねないじゃん」


「手を抜きすぎです」


挿絵(By みてみん)


そこに現れたのは、サーミャの父親、魔法師団長ハーレイ率いる部隊であった。


「って、サー――あぁ?」


サーミャが居ると思い込んでいたハーレイは、エリアルとロザリナの姿を見て口が開いたままで固まる。



「あれがハーレイさん?」


「――なんか軽い人ね?」


「リーナ、なんか怖いよ……」


ハーレイは、エリアル達がこの場にいることを疑問に感じていた。


「……」

「あーそのなんだ、ロザリナちゃんとエリアルちゃんだよな?」


ハーレイは頭を掻きながら続ける。


「俺はサーミャちゃんの友達を殺したくないんだわ……」


「「……」」


するとロザリナは呟く。


「サーミャのお父さんなんですよね? 私達を見逃してくれるんですか?」


しかしハーレイは首を横に振る。


「それはないな……サーミャちゃんだけは話が別だ」

「どうせ、あいつのことだ」

「勘当した憂さばらしに来たんだろ?」


「(あはは……娘のことをよくわかってらっしゃる)」

「(だけど――)」


エリアルは少し苦笑いを浮かべながら顔が真剣になる。


「この地下牢でノキア王に仲間のルナ――ルナリカが捕まってるんです」


今、地下牢には誰も投獄していないことは知っていた。

――だが、そこにルティーナが捕まっているというエリアルの鬼気迫る表情を見て、嘘ではないと確信した。


「ほぉ、面白い冗談だね……」


「誘拐犯はかなりの闇魔術の使い手、そして首謀者はノキア王なんです!」


しかし、その言葉に違和感を覚える。


「あぁ~すまねぇ、この城で上級の闇魔術の使えるのは俺だけなんだよねぇ~」

「まさか、俺も疑われちゃってるのかな?」


「(ねぇエル、この人はいい加減そうだけど……)」


「(そうだね……一応、サーミャのお父さんだしね)」

「いえ、そう言うわけでは……」


「それになんで王が首謀者なんだ?」

「おまえら話を盛りすぎだろ?」


ハーレイは魔法師団達に捕獲の命令を下そうとした――瞬間。

エリアルが大声を上げる。


「待ってください! 僕達はあなた達と戦うのが目的じゃない!」


ハーレイは師団の前に手を広げ、動きを制した。


「とにかく地下四階まで付き合ってもらえませんか!」

「その後は煮るなり焼くなり、僕達はどうなっても構わない!」


ハーレイは腕を組み少し考え込む。


「おちょくって悪かったな……こんな性格だ許してくれ」


さっきまでの緩んだ顔が引きしまる。


「エリアルちゃんの言いたいことは分かった」


ハーレイは一息飲む。


「だがなぁ、こいつらの手前、『ハイそうですか』って言えねぇんだよ」

「辛い立場、わかってくれる?」


「は、ハーレイ様! ふざけてないで捕まえましょう」


「シーゲル! お前は硬すぎんだよ」


ハーレイは自分の直感に従いたいが、部下への建前もあり素直に了承出来ず、自分と戦って力ずくで連れて行けと言い出す。


「(やっぱり親子ですね……そっくりだ)」

「わかりました」


エリアルも時間が惜しいため先にロザリナを行かせたかった。

だが話の流れ上、力推しで説得するしかなかった。


「(リーナ、もし僕がハーレイ様を抑えられなかったら……)」


「(うん、その時はごめんね。ルナ優先で行くわ)」


ハーレイは二人が何かを企んでいることはわかっていた。


「シーゲル、お前ら絶対手を出すなよ」


「はい? それでは……」


「いいんだよ。黙ってみてろ!」


シーゲルは魔法師団全員に見守るように指示を出す。


「さぁ、やろうかっエリアルちゃんっ」


エリアルは大剣と小剣の二刀流の構えを取る。


「そんなスタイルだったけか?」

「大会の時は一本だったよねぇ?」


「憧れの剣豪を真似ただけですよ」


「あ~バルストさんね……駆け出しの頃、世話になったなぁ」

「まぁ、その人が相手なら文句ねぇか」


ハーレイも余裕の素振りで、サーミャ同様に無詠唱魔法を繰り出す。


轟く稲妻の矢――。


「は、早いっ」


エリアルは廊下に大剣を突き刺し、後ろに体をそらすと広範囲に展開された雷は大剣に吸い込まれて地面に放電していった。


「やるじゃん」


「さっきの牽制してきた攻撃は、本当に手を抜いていたんですね」


エリアルの知っているサーミャの『ライトニング・アロー』より洗練された威力を見せられ、額から汗がこぼれる。


「ほぉ~面白れぇかわし方だな、瞬時の判断がいいじゃん」

「なら――これはどうだ?」


ハーレイは容赦なく連続詠唱をする。


「『ストーム・スラッシャー――風刃――』」

「『フリーズ・ランス――氷槍――』」


エリアルも相殺すべく、二本の剣に同様の効果を与える。


「『ソード・オブ・ブリザード』『ソード・オブ・ウィンドストーム』」

(【(こおる)】【(あらし)】)


エリアルは大剣に氷を、小剣には風をまとわせ二刀流で構え、魔法を相殺するのであった。


ハーレイはエリアルの実力に久しぶりの高揚感を覚える。


「楽しいな、やっぱ強敵は」

「二属性の攻撃も、その剣相手じゃきついか?」


「嘘ばっかり」

「ハーレイ様も、素直じゃないんですね」


「(「も」って……)」


「さっきから、ミヤより数段上の魔法をぶつけてるじゃないですか」


魔法師団は二人の対決を息をのみ観戦する。


「ハーレイ様の魔法が……」


「うるせぇな……俺にはまだ上があんだろ?」


エリアルは顔をしかめる。


「(やはり、まだ手を抜いてるのか)」


「やっぱ魔法対決は相性だよな……」

「さぁそろそろ体も温まってきたし、本気を出さなきゃ~ならんか」


ハーレイは不敵な笑みを浮かべ、両手を前に突き出す。


「しかし城内じゃなきゃなぁ~」

「やりづれぇ、俺の一撃で城が崩壊したら洒落にならねぇじゃんっ」


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