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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第陸章 ~「アジャンレ村」の危機~

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第133話 「黒幕」の残影

激しい戦いの末、ルティーナ達はアジャンレ村を守り抜いた。

ようやく張り詰めていた力を抜く。


「ルナ、スレイナは?」


ルティーナは悔しそうな顔をする。


「うん……最後は、自爆して死んだわ……」


「肝心なことは聞き出せなかったってか」

「そもそもなんでこの村を襲撃したんだ?」


ルティーナは、結局決め手となる情報を得られなかったことを悔やんでいた。


そこへバルストが思い出したように口を開く。


「ルティーナ、そういえばあいつ」

「シャルレシカのことを調べてやがったんだ」


ルティーナの表情が曇る。


「あいつ、なんでシャルを……」


(まさか……シャルの能力を狙って?)


嫌な予感が胸をよぎる。

だが、その答えは出ない。


「それと、俺がこの村にいることをノキア王に土産にすると言っていたんだ」


「ノキア王……やっぱり」


「やっぱりって、どういうことだ?」


サーミャが首を傾げる。


(そうだ……)


馬琴(まこと)は、ヘルセラを襲った二人の『過去視』を思い出す。


あの時見えたのは、王宮らしき場所。


そして、もう一つ――『過去視』。

ドグルスも、同じ王宮らしき場所と、薄暗い闇の中で、誰かに膝をつく姿。


(バルストさんを土産……?)

(やはり襲撃犯はノキア王側)


「(ドグルスは襲撃犯とも仲間ってこと?)」


(いや、互いを利用しているだけかもしれない……)

(だが、どちらも勇者召喚の件に関わっている……それだけは間違いない)


「ミヤ。もし、勇者が生きていたとしたらどう思う?」


「はぁ?」


「スレイナは勇者を仲間だと言ったの」


「でも勇者って、厄災と相打ちしたんじゃ……」


「……そうじゃないらしいの」


ルティーナは静かに言う。


「スレイナの話が本当なら、勇者はノモナーガ王国に消されたのよ」


「……!」


「なら、『王宮爆破事件』は――」


サーミャの表情が変わる。


「まさか……復讐?」


「たぶん」


(二度と勇者召喚なんて馬鹿げたことを起こさせないため……か)




「それより、シャルが心配だわ……」

「また、ヘルセラさんの時のように次の刺客が――」

「みんな、急いで戻りましょう!」


「「あぁ、わかった」」


すると、アンナがサーミャの肩を叩く。


「『ヒーリング・ストーン』を充電してあげるから貸してちょうだい」



しばらくして、静かになったことに気付くと、家の中や物陰に身を潜めていた村人達が、おそるおそる姿を現し始めた。


「バルストさん、大丈夫なのかい?」


「あなた、立てる?」


「あぁ、ありがとう……」

「みんな、みんな、もう安心してくれ!」

「我が弟子エリアルと娘と魔法使いサーミャ殿のおかげでこの村は救われた!」


歓声が上がる一方で、倒れた仲間達の姿に目を向ける者もいた。

村人達は静かに頷き合い、亡くなった者達の収容を始める。


ルティーナはアンナの充電が終わるまでの間、バルストの隣にくっつきながら手伝いを始める。


「……お父さん」


「なんだ?」


「……生きててくれて、よかった」


そう言うと、ルティーナはそっとバルストの腰を抱きしめた。


「……心配かけたな」


大きな手が、優しく頭を撫でる。

それだけで、張り詰めていたものが少しだけほどけていくのだった。


そんな中、アンナはエリアルに孤児院へ行くように指示する。


「子供達に安全になった事を説明してきてもらえる?」

「あと、早く着替えてらっしゃいね。さすがにその恰好は――」


「そ、そうだったぁ」


我に返ったエリアルは顔を真っ赤にしたまま、サーミャの背中に隠れる。


「んじゃ、エル、いくぞ!」


「師匠、ご指導ありがとうございました」

「また来ます!」


「おう!」


そしてエリアルはサーミャに隠れるようにして孤児院へ向かった。



しばらく村の片づけが進む中、別れの時はやってくる。


「ルナ、充電出来たわよ」

「もっと一緒にいたかったけど……」


ルティーナは寂しい顔を見せずに凛々しい顔になる。


「そろそろ……私、行くね!」


バルストもそれに応えるように真剣にルティーナを見つめる。


「あぁ、お前はもう立派な戦士だ! 行ってこい!」

「……でも、寂しくなったら戻って来い!」


「うんっ!」


そして、バルスト達にその場を任せたまま、孤児院に向かってルティーナは走り去っていった。


「ねぇあなた……あの子、どんどん大人になっていくわね」


「あぁ、寂しいのは俺の方かもな」


「ぷっ、そうね、いつも泣きじゃくってるものね」


「……」




その後、ルティーナ達は急いでジェイストへ転移することにしたのであった。



無事にシャルレシカの前に転移できたものの、シャルレシカの様子が明らかにおかしかった。

まるで数日間、寝ずに働かされたかのような顔をしていた。


「シャル……どうしたの!」


ルティーナは血の気が引いた。


「何かあったの!?」


シャルレシカは今にも倒れそうな顔で、目にはうっすら涙まで浮かべていた。


「た、助けてくださぃ~ルナぁ」


「また敵に襲撃されたの!? ヘルセラさんは!?」


「うるさいねぇ――何を騒いでるんだい?」


その時、家の奥――トイレの方から、のんびりとした声が聞こえてきた。


「おや、無事に帰ってきたようだねぇ」

「すると、あんたがエリアルかい?」


ルティーナ達の不安をよそに、ジェイスト村は平和であった。


「でも、なんでそんなにやつれてるのよ!」


シャルレシカは半泣きしながらルティーナにしがみつく。


「婆様が……婆様が休ませてくれないんですよぉ……」


「はぁ?」



シャルレシカはルティーナ達の心配をよそに、ヘルセラからの占い師としての猛教育を受けていたのであった。


「あはは……そういうこと」


「なんせ、こやつ、先ほどの予知夢が出来たって、いい気になりよってからに」


「だってぇぇ」


「サーミャ様が消えてから、すぐ寝たいとか馬鹿なこといいだしよってな」


「サーミャ……様?」


サーミャは慌ててエリアルに乗っかかる。


「な、なんでもねぇよ! 婆さんっ! いい加減にしろっ!」


「あはは、間に合ったようだねぇ」


ルティーナは胸を撫で下ろした。


「そういえばミヤ、シャルがすげぇ女になったとか言ってなかったかい?」


「見た目は……変わってねぇけどな」




――話は、ヘルセラが襲撃を受けた翌日に遡る。


ヘルセラはシャルレシカに、本来の占い師としての力を扱うための再教育を始めた。


シャルレシカは独学で無属性魔法を磨いた結果、『過去視』だけでなく、本来ならあり得ないほど広範囲の索敵まで身につけてしまっていた。


「シャルって独学でそこまで出来たの? すごくない?」


「独学というより、『未来視』で見た魔法を無意識に再現していただけじゃろう」


――だが、その代償は大きかった。

魔力制御が追いつかないまま出力だけが膨れ上がり、極端に魔力を消耗する体質になっていたのだ。


「だから、すぐ寝込んでしまうんじゃ」


「制御できてないってこと?」


「そういうことじゃ」


ヘルセラは苦笑する。


「もし男として生まれておれば……姉上の運命も違っておったかもしれぬ」


「それが『災い』の予言か」

それから二日間。


シャルレシカは徹底的に魔法制御を叩き込まれた。


「ひぃぃ……」


――二日目の夕方。


「あれ? シャルは?」


「寝ておる。今は『未来視』の練習中じゃ」


「未来視って好きな時に見られるんじゃねぇの?」


「そんな便利な力ではない」


一度視えれば、次は数週間、長ければ数か月先。

しかも視える未来は選べない。


「へぇ……」


その直後だった。


「エルとバルストさんが死にそうですぅーーっ!」


「「!!」」




その話を聞いて、エリアルはルティーナ達が助けに来れた状況を理解できたのであった。


そうして、その夜はシャルレシカの教育を続けてもらい、一夜を過ごすことにした。



そして翌朝。


「さぁ、まずは王様の秘密を暴きに戻るわよっ! ミヤっお願いっ」


「あいよっ」

「『ディメンジョン・テレポート』!」


「「「「……」」」」


「何の冗談? ミヤ?」


「はぁ? リーナのところに飛べない? なんでだ?」


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