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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第陸章 ~「アジャンレ村」の危機~

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第121話 「ロザリナ」ノ提案

ルティーナはシャルレシカに、家で起こった出来事を過去視してもらっていた。

その間、サーミャにある相談をすることにした。


「ルナ、あと一時間もしたらご飯ができますから、待っててくださいね~」


ロザリナは意気揚々と夕食を作る。


「じゃあ、ちょっと出かけてきていい?」


「?」


ルティーナは、預かっていたバルストの愛剣を届けることにした。


――エリアルの修行にも、きっと役に立つ。


「じゃ、ひとっ飛びすっか」

「バルストさんだと驚くだろうから、エルのとこだな」


そして――二人は転移を始めた。


が……。


ザッパァァァンッ!


「はぁ? お湯?」


「き、きゃあああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!」


「「へっ?」」


「マコト、見ちゃだめっ!」


(なら、お前が見るなっ!)


転移した先で待っていたのは、風呂の真っ最中だったエリアルだった。

湯気の向こうで、体を隠しながら顔を真っ赤にして固まっている。


「あ、あのさぁ~……」


ぴくぴくと頬を引きつらせながら、


「最初に言ったよねぇ……」


ずぶ濡れになりながら二人は息をのむ。


「むやみに『ディメンジョン・テレポート』を使うなって……」


「「ご、ごめんなさい」」


さすがのルティーナとサーミャも素直に謝るしかなかった。


「どうしたんじゃエリア――」


状況を知らないバルストが駆け付けてきたが、ルティーナは全力で阻止する。


「お父さん、入っちゃだめぇぇぇっ!」


「えっ!? ルティーナ?」



――しばらくして。

エリアルが着替えを済ませるまでの間に、ルティーナは小さくして運んでいた大剣を取り出してバルストへ渡した。


「はい、お父さん」


「おぉぉっ! これだ、これっ」


大剣を受け取った瞬間。

バルストの顔が少年のように輝く。


片腕を失ったとは思えないほど自然な動きで、大剣を軽々と持ち上げる。


そして静かに構えた。

その姿には歴戦の戦士だけが持つ重みがあった。



そこへ風呂上がりのエリアルが姿を見せる。


そして目を奪われた。

自然と足が止まる。


「し、師匠っ……」


尊敬と憧れが混じった声が漏れる。


「かっこいい……」



(なんだろうな、この構図)


「(あははは)」


先ほどまでの気まずい空気など吹き飛んでいた。

濡れた服を乾かしながら、ルティーナは実家で起きた出来事を話した。


「そうか、そのままあるんだな」

「また家族で笑って暮らせる日が来るといいな……」


ルティーナは少し心が締め付けられた。


まだ話したそうにしているバルストを残し、再びロザリナの元へ戻ることにしたのであった。



「リーナぁ~お腹すきましたぁ~」


「シャル、食べ過ぎは禁止ですよ?」


「うぅぅ~」


そんな二人の間に、転移空間が開かれる。


「――あら? ちょうどご飯が出来たところよ」


「やっぱり転移って、相手の状況を考えないと危険だな……」


「?」


ロザリナは首を傾げた。



そして四人は夕食を囲みながら、シャルレシカの報告を聞く。


「それがぁ……」

「見た事ない人たち数人がぁ、部屋の中を物色してましたぁ」


ルティーナは不安そうな顔になる。


「やっぱり、そうなのね」


「でも一体、何を探していたんでしょう?」


「特になくなってそうなものはないのよ……」



謎は深まるばかりだった。

ひとまず、明日以降の予定を話し合うことにした。


馬琴(まこと)が提案する。

可能ならデリエジの問題も解決し、一日で依頼を片づけたいと。


――そうすれば残った一日で『ウェンの森』の調査ができると。



「しかしよぉ、一日で百キロも採掘なんでできんのかよ?」


「そこは安心して……そういう類の実績はあるから」


ルティーナはそう言って胸を張った。


タリスから貸し出してもらった『オブシディアン・ストーン』の欠片を机の上に置く。


「そっかぁ、薬草探しの時と同じですねぇ~」



だが別の問題もあった。


「しかしよぉ、予定の倍の二百キロも採るとして……どれくらいの重さになるんだ?」


「リーナが四人分くらい? じゃない?」


ロザリナの頬が膨らむ。


「わ、私を基準にしないでください!」

「それに、そんなに重くありませんっ!」


ロザリナは必死に抗議する。


「じゃ、シャル三人分? いや、二人――」


「ぶーーぅ!」

「リーナの時よりぃ、扱い酷くないですかぁ~っ」


「「「あははは」」」



全員を小さくしても重量は残り、そこへ採掘した石まで加われば運搬はかなり大変になる。

漢字で軽くすることは可能だったが、重ね書きは三回が限界だということが分かっていた。


いつも皆を運ぶときは、【(かすか)】で対象を小さくし、さらに重さが十分の一になる【(かるい)】を二回重ねている。

つまり、重さを百分の一にできる。


「あと、みんなも運ぶことを考えたら――全部で、約四キロか」


(かすか)】を使わなければ、もっと軽くすることはできる。

だが、それでは全員を抱えて飛べない。


「もぐもぐ……ルナぁ頑張ってくださいぃ~」


「「「(鉱石の次に重いのは……シャルだよ)」」」


「もぐ?」


「いや待て! あたいの転移で運べばいいんじゃねぇか?」


「そもそも、四人ともこっちにいるのよ……」

「私が飛翔して持って帰るって言った意味、わかってる?」


「なら、アンハルトの所に――」


「ミヤぁ~、エルの転移で大失敗したでしょ?」


「うっ……」


確かにその通りだった。

転移は便利だが、相手の状況を把握していなければ危険でもある。


するとロザリナが提案する。


「採掘が終わったら、ルナが私とミヤを連れてノスガルドへ飛翔して帰るってどうです?」


サーミャが手を叩く。


「そっか! そうすりゃ、リーナをノスガルド側の目印にできるってわけだ」


「はい」

「そしてシャルがルナの家で留守番していれば、ルナとミヤは戻って来れます」


「そうすれば、二日目は三人で森を調査できるな」


(その前に、鉱石を持ってリーナの元へ転移すれるのが理想だな)


「それなら全て解決ね」



全員が納得したところで、その日の作戦会議は終了した。


久しぶりの実家。

けれど、ゆっくりと懐かしむ余裕はまだない。


明日から始まる採掘任務に備え、四人はそれぞれ休息を取るのであった。




――そして翌朝。

陽が昇るより早く『イルフェ鉱山』へ向かっていた。


まだ朝靄の残る山道を進む中、サーミャがふとロザリナがいつもと違う事に気付く。


「そういやリーナ、お前、杖なんか使ったっけ?」


「あ、これですか?」

「アンナさんが使っていた杖らしいんですけど、ルナが使ってみたらどうかって勧めてくれたんです」


以前、ロザリナはシェシカから魔力制御の甘さを指摘されていた。

それは格闘戦で気持ちを高揚させたり、緊張感がないと光魔法が操れない。

だが魔道具の杖があれば、その点は緩和できると。


格闘術を主体とするロザリナにとって、杖は邪魔でしかなく、その必要性をあまり感じていなかった。


だが今回は採掘作業だ。

本格的に戦うつもりもない。


「だから、試してみようと思ってね」



そんな会話をしながら鉱山の洞窟に入っていく。


だが――。

近付けば近付くほど、シャルレシカの表情が曇っていった。


そしてサーミャも同じように顔をしかめる。


「げっ……」


その先に見たくないものを見た瞬間だった。


「あ~……あれだよあれっ」


水溜まりの中で、数匹のデリエジがうごめいていた。


「うげぇ……」



やがて四人は鉱山の奥へ進み、採掘予定地点へ到着した。


早速ルティーナは、『オブシディアン・ストーン』の破片を片手に持った。

そして反対の手のひらに【索】を描き、岩壁に手を這わせながら歩く。


「そんなので分かるのか?」


ルティーナは一分もしないうちに、採掘場所を探し当てる。


「見つけたわ」


「早っ!」


同時にシャルレシカへ視線を向ける。


「そこ……いますぅ~うじゃうじゃぁ」


その言葉にサーミャの顔が引きつる。


「で、採掘方法なんだけど――」


ルティーナの説明にサーミャが割り込む。


「あいつらは、焼き払う!」


即答だった。


「え?」


「塵に変えてやるっ!」



だが、杖を構えるサーミャを見て馬琴(まこと)はタリスの言葉を思い出す。



『オブシディアン・ストーン』は原石状態だと火に弱い。



(ヤバいっ! ルナ、止めろ)


「(あ、うん)」


サーミャは露骨に嫌そうな顔をしたが、冷静に受け止める。


「じゃあどうすんだよ……」


その時だった。

ロザリナが勢いよく手を挙げる。


「私、試してみたい魔法があるんです!」


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