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見知らぬ世界で、少女のお目付け役になりました ~異世界召喚失敗!? 少女の中に宿った勇者の冒険譚~  作者: うにかいな
第伍章 ~砂漠ノ王国~

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第102話 技術ノ遭遇

ルティーナとロザリナはドアを開けた瞬間、光につつまれある部屋に転移させられていた。

そして、辺りを見回し二人は言葉を失った。


挿絵(By みてみん)


そこは、今まで見てきた地下施設とは明らかに異なる空間だった。


部屋を埋め尽くす謎の物体。

机の上に埋め込まれた黒い板。

見たこともない形状の椅子。


そして――。


正面には巨大な黒いガラスがあり、その表面には淡い光が映し出されていた。

まるで黒い鏡のようだった。


「ねぇ、ルナ……これは一体?」


ロザリナが呆然と呟く。


無理もない。

イスガ王国の技術は異常だと聞いていた。


だが、ここまでとは思っていなかった。


一方。

馬琴(まこと)は別の意味で固まっていた。


(なんだこの部屋……)

(もしかして、この城の指令室なのか?)


(コンピュータールームに近い……)

(何でこんなものが異世界に存在するんだ……)


背筋が寒くなる。

見覚えがありすぎた。

自分の世界でしか存在しないはずの光景。


それが目の前に広がっている。


「(マコト? これが何かわかるの?)」


(ああ、ごめん)

(俺の世界に、こんな感じの施設があるんだ)


「(じゃぁこれは、マコトの世界から?)」


(さすがにそれはないと思う)


マコトは苦笑する。

しかし、この設備について説明しても、きっとルティーナには伝わらない。


「ルナ?」

「聞こえてますか?」


ロザリナの声で我に返る。


「あ、ごめん」

「ちょっと考え事してた」

「ここはきっと、イスガ王国を監視する部屋よ」


ロザリナはじっとルティーナを見る。


「なんで、わかるの?」


ロザリナは思わず尋ねた。


最近のルティーナは、一人の世界に閉じこもることが増えた。

そしてその後は、驚くほどの洞察力と指揮力を見せる。

理解できないものさえ、すぐ理解してしまう――。


少し怖かった。

ロザリナは唇を噛む。

本当は聞きたいことが山ほどあった。

だが――。



『この依頼が終わったら、必ず話すから』

『今は……信じて』



あの時の言葉を今は信じるしかない。

分断された今の状況、全員と無事に合流するにはルティーナの意見は重要だった。


「……わかりました」

「ルナがそう言うなら」



ルティーナは少しだけ安心した。

そして、馬琴(まこと)は指示を出す。


(例えば、そこにあるボタン……いや、そこにある赤い突起状のボタンだ)

(とにかく、色々押してみてくれ)


「(え?)」


(こういう設備は操作卓で切り替える事が多い)

(――たぶん、この真正面に何か表示できるかもしれない)


「(たぶんって……)」


(俺も、さすがに動かし方までは知らん)


ルティーナは恐る恐る、近くのボタンを一つずつゆっくり押し始めた。


その瞬間――。


巨大な画面が、一度、消えたかと思うと、違うものが映し出された。


「っ!?」


ロザリナが思わず後退する。


画面の中に映像が現れたからだ。

まるで魔法でも見ているかのような光景だった。


「な、何ですかこれ!?」

「絵が動いてる……?」


画面には広大な地形が映し出されていた。


海。

大陸。

山脈。

国境。


そして文字。


(これは……この世界の地図っぽいな)


マコトが即答する。


「(これが、世界……)」

「あ、ノモナーガって書いてある……その上に――」


そこにはルティーナが知っている国の名前と位置関係がほぼ一致していた。

馬琴(まこと)自身も驚いていた。


しかし。

ルティーナが適当に別のボタンへ触れた瞬間。


また画面が切り替わった。


「うわっ」


映し出されたのは図面だった。


無数の線。

部屋。

通路。

扉。


(待て!)

(そのまま止めるんだ!)


「(え?)」


(この画面……)


馬琴(まこと)の声が急に真剣になる。


(もしかして……この城の見取り図じゃないか?)


ルティーナは目を見開いた。

ロザリナも画面を凝視していた。


そして。

ある事に気付いた。


「ルナ……あれ?」


ロザリナは画面の赤い点を指さしながら呟く。


「全部で五つ……三つは動いてるね」


(待てよ……)


馬琴(まこと)はルティーナに画面の赤い点を観察するように指示する。


(これは何かの位置を表示しているように見えるが――)


「(何が言いたいの?)」


(さっき倒した人形は大量にいたにもかかわらず表示されていない――)

(シャルでも索敵できなかったんだから辻褄が合う――これは、生体反応!)

(五つ……この施設内の人間の数!)


「(わけがわかんないよー)」


(簡単に言うと、動いてないあそこの二つの点――ルナとリーナの可能性が高い)


「(そっか!)」

「リーナ」

「あの点って……私たちの場所を示しているのかもしれないわ」


それを聞いたロザリナは、部屋の端に移動しながら画面を見つめる。


「確かに……私が動いたら、あの点も動いた……?」


もし、この施設内にいる人間の位置を示しているのだとすれば――。


(そうなると……)


ルティーナは眉をひそめた。


「(何が?)」


(サーミャ達が一緒にいるなら、赤い点は三つ固まっているはずじゃ――)


しかし実際は違う。

画面に表示されているのは、


二つと一つ。


(つまり――)


「ミヤ達はさらに分断されちゃったってこと?」


ロザリナの表情が険しくなった。


「それじゃ一人になったのは……」


再び、二人は画面を凝視する。


そう――赤点の動きを観察した。

一つの点だけが激しく移動している。


迷いなく。

一直線でもなく。

だが止まらない。


……まるで苛立ちをぶつけるように。


「こんな動きするの、ミヤくらいだわ」


ルティーナは理解した。


サーミャらしい。

一人になっても立ち止まる性格ではない。


「そうね」


そして、残る二つの赤点――。

こちらへ向かうようにゆっくり移動している。


「シャルなら索敵を使って、追いかけてくるはず」


「そうなると……エルと一緒ってことよね?」


「――まずいわね」


「どうして?」


ロザリナが不思議そうに尋ねる。


――『鍵』の所在。


ルティーナはそれが気になっていた。

もしエリアル達が封印の部屋に到着しても意味がない。


『鍵』が無いからだ。


(せめて三人は一緒にいてほしかった……)


「(最悪の分断ね)」


だが。

ここで焦っても仕方がない。


今の自分達に出来る事は一つ。

なにか情報を持ち帰り今後の展開に活かすこと。


「ねぇルナ」


「え?」


ロザリナはルティーナの肩に手を置き画面を覗き込む。


「これって城の見取り図なんでしょ? 書き写そうか?」


「できるの? 確かにこれが手元にあれば、シャル達に合流しやすくなるわ」


「シャルにあえたらミヤを探せばいいもんね」


ロザリナはさっそく、床に散らばっていた紙を拾い書き写し始める。


「こういう絵を書くの得意だから、まかせて」


集中する。

余計な事は考えない。


線。

部屋。

通路。

扉。


全てを正確に。


寸分違わず。

写し取っていく。


ルティーナはその様子を眺めながら、改めてロザリナの特技を知った。


その間。

ルティーナと馬琴(まこと)は赤点の動きを観察していた。


エリアル達と思われる二つの赤点は、大きな部屋の前に到着していた。

――しばらく動かない。


(戦闘じゃなさそうだな)


「(よかった)」


少しだけ安心する。


しかし。

サーミャの一点だけは相変わらず動き続けていた。


(ミヤ……)

(突っ走ってんなぁ)


「(心配だわ)」


(まぁ俺もだ)



――やがて。


「終わりました」


ロザリナが顔を上げた。


「ありがと」


ルティーナは紙を見る。


そこに描かれていたのは。

ほぼ完璧な見取り図だった。


画面に映っているものと寸分違わない。


(めちゃくちゃ精密だな……)


馬琴(まこと)は感心しながらも、場所を把握する。


(なるほど……赤い点が示している場所は……)

(右下から二つ目の部屋だ――わかるかい?)


「(うん、ここね)」


ルティーナは見取り図の一角を指差した。


(そう、この部屋を出てそのまま通路を進んで右へ曲がれば、シャル達の付近だ)


「リーナ、ここが私たちのいる場所よ」

「ここの通路を進んでこういけば、二人のところへ最短で行けるわ」


「うん」



二人はシャルレシカとエリアルとの合流を目指して、部屋を後にするのだった。


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