希望
信じて欲しい。ラフィルのその言葉がいやに重く、胸に響く。
今目の前にいる男は真っ直ぐ私の瞳を見つめていた。普段の不真面目で軟派な態度ではない。戦場で見せるような快楽に満ちた笑顔でもなければ、足りない頭を動かしている時の眼差しでもない。そこにあるのはただ確固たる信念と希望そのものだということは、どれほどの馬鹿でも理解できるだろう。
第一騎士団双璧の革命軍に肩入れする選択。10年音沙汰のなかった双子の王族たる王女と王子が作る未来…私にとってはどちらも簡単に信じられるようなものではなかった。
けれど彼らは疑うにはあまりにも眩しかった。全てを賭して戦う彼等の姿には私の有り様が重なって見えた。否、それだけでは無い。彼らが滅ぼしたくて堪らなかった暴政、それを葬り去った後に創られる民の為の民主主義国家……もし、もしそんなものが本当に現実となるのなら。そんな時代がもっと早く訪れていたのなら……
___私はもっと多くの選択が出来たのかもしれない。
幼い頃に自分の生き方を決め、その道を歩む覚悟を持たなくとも良かったのかもしれない。やりたい事を見つけることも出来たのかもしれない。
そんな不確かな可能性が浮かんで消えない。
信じていいの?信じたいの_?
胸の内で幼い私が問いかける。その表情は不安で満ちている。
ああそうだ、私の周りに頼れる大人は居なかった。大人に頼っても良いのだと、思う事すらなかった。それだけ荒んだこの国を変えられるのは、きっと………
「お前に指図されるまでもない。私は私の意志で……この結末を信じるだけだ。」
この場にいる人間にも過去の己にも言い聞かせる。これが第二騎士団指揮官たる私の答えだ。だから何も案ずることは無い。
閲覧ありがとうございました。
次回投稿を楽しみにお待ちください。
※この作品はpixivにて同時連載中となっております。




