終戦
「姉上…!」
真っ先にリーフが駆け寄りリースの体を抱きしめる。レンクとアマロは別の方へと駆けていった。恐らく王の首をリースの視界から遮るためだろう。
「リー…フ………」
呼吸が乱れて整わない。涙で視界が滲んでしまって、どうしたら良いか分からなくなっていた。
「姉上……終わったんだ………全て、終わったんだ………」
リーフの声はとても優しく、強い声だった。リースの体を包み込む腕は、先程までのリースのように震えていた。
「姉上………もう終わりました………俺達がこれからこの国を、民のための国に作り変えましょう。」
リーフの優しい声が心身に染み渡る。それだけで涙が出そうになってしまった。
「リース」
アマロが優しく声を掛ける。普段から清潔で綺麗な彼の神父服は、血や土で汚れてあちこちが破れていた。
「ここまでやり遂げたんだ。………少しくらい、気を緩めてもいいだろう。」
慈悲深く、優しい神父見習いだった彼は今やすっかり立派な騎士になっていた。
涙が止めどなく溢れ出す。
「大丈夫、今ここに居るのは僕たちだけだからね。僕等はリースの側に居るよ。」
隣で優しく微笑むレンクも、アマロに負けず劣らずの満身創痍だった。リーフも同じだ。
二人のその言葉だけでどれだけ心が軽くなっただろうか。
溢れた涙が止まらない。
ここに居る四人が皆涙していた。それは悲しみであり、達成感でもあり、様々な思いが混ざり合った、宝石のようだった。
長い廊下を四人で歩く。リースの手には血塗れの王冠が握られていた。
階段を下り、地上から一番良く見えるバルコニーに出た。アマロが『スター・アロウ』を使い、上空に花火を打ち上げる。
その音に反応し、皆がこちらを見やる。革命軍も、騎士も___誰もが注目していた。
リースはバルコニーで最も注目される位置まで歩みを進め、主を失った王冠を高々と掲げた。隣ではリーフが、握りしめた剣を天空に掲げている。天からの光が、新たな時代の始まりを祝福するように二人を照らす。
「悪政は終わった!皆で国を動かす時代が来たのです!」
その日、ハーティームーンは永い夜の終焉を祝う歓声に包まれていた。
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