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LEAF MEMORY 〜始まりの鐘〜  作者: えんJOYラピス


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成長

 人は皆、それぞれに守りたい物がある。勿論それは王である私にとっても同じ事だ。

 私には、愛しい妻と愛らしい娘が居る。娘のうち二人は、私が引き取った孤児で、血脈は無い。それでも私は、妻子を分け隔てなく愛していた。

 この子らのためにも、私は国を先導しなくてはならない。この子らが笑って過ごせる国を、私が作りあげるのだ。そのためならば、私はどんなも成し遂げて見せよう。


『___ソノ言葉二偽リハ無イカ___』


 どこからとなく、声が響く。まるで心に直接聞こえてくるかのようだ。

 ああ、無論だとも。愛しい家族のため、国のためになるならば、私は何であろうとやり遂げて見せよう。


『我ガ手ヲ取ルガ良イ___我ヲ悦バセルガ良イ___』


 貴様の名は知っているぞ、破壊神め。貴様は己の快楽のため、人間に力を与えて自在に操るという神であろう。私の人生を余興とするならば、しかと目に焼き付けておくが良い。

 私は邪神の力さえも、利用して見せよう。

 領土を広げ、一族の力を増やし、この子らが何不自由なく過ごせる国を作り上げる。それを邪魔立てする者は容赦はせぬ。

 見届けるが良い、破壊神よ。この国の、娘達の為の楽園の完成を!



 ………あれから随分と時が過ぎた。

 儂は多くを成した。領土を広げ、戦力を高め、国を脅かす存在を尽く排除してきた。それもこれも、全ては家族の為、国の為、民の為。

 今やこの国を脅かす物は何も無い。攻め入ろうとする国も、天災の恐怖も無い。儂の願い通りの、楽園が完成したのだ。これならば生まれたばかりの双子も、安心して生きて行けるだろう。


 だが、折角理想の国が完成したというのに、儂の愛する妻は双子を産むと、入れ替わるように死んでしまった。

 その哀しみに暮れる間も無く、一番上の娘が城から出ていった。以前から、娘と言い争うことは増えていた。親子と言えど、一人の人間。多少の対立は致し方あるまい。年頃、と言う事もある。今はわかり合えずとも、時が解決してくれよう。


 程なくして、革命軍を名乗る集団が騎士団の報告に上がるようになった。

 初めこそ、民に所有を禁じた薬品や武器を鼠のようにコソコソとかき集めているだけだったが、次第にその報告数は増え、しまいには城に乗り込み、儂の首を獲らんと暴動を起こす始末。

 儂は騎士団にこう命じた。『煽動者を捕らえよ』と。


 そうして捕らえた煽動者は一人の白魔導師だった。


 魔法に長けている事はひと目見て分かる。だが己で武器を取り戦う事に至っては不得手と見えた。奴は叫んだ。この国は楽園などではないと。民を苦しめ、絶望に満ちたこの国は、地獄であると。

 儂は奴を斬り捨てた。儂の傍らにいた騎士の剣を奪い、そのままの肩から腹を斬り付けたのだ。

 奴の純白のローブが紅く染まり、絶望の顔を浮かべた奴の死に顔は最早記憶にない。この頃から、儂は人間の顔が皆同じに見えていた。

 それから捕らえた革命軍は皆処刑した。儂に刃を向けるという事は、この国を脅かす敵であり、容赦はせぬと見せしめた。


 儂に異を唱える者は居なくなった。だが、革命軍だけは違った。大将を失った革命軍は、大将を新たに選出し、またも儂に楯突かんと息巻いているようだった。

 二番手の黒魔導師は病で戦場から消えたと聞いた。三番手は賢者と呼ばれていたそうだが、どうやら尻尾を巻いて逃げていったようだ。ふん、儂には分かっておる。近頃儂の娘の姿が見あたらんのは、貴様らが拐かしておるのだろう。娘達を侮るでない。貴様らのような力もない愚民共に、何ができるはずもない。城の外を見て回るのも良い勉強になるじゃろう。だが末の子らにまでも手を出したことは赦さぬぞ。四番手の剣士よ。

 儂の可愛い子らを、リースを、リーフを、今すぐに返すのだ!



 ___何故じゃ。

 何故、貴様はそのような顔をする___?



 三番手も、二番手も…そうじゃ、最初の白魔道士も儂を『父上』と呼びおった。我が子は世界にあの子らだけ。貴様らのような無礼者など知らぬ。

 なのに何故じゃ。何故貴様は泣きそうな顔を______


 ああ、そうか。そうであったか。

 お主は末の____そうかそうか。

 儂の子らは斯様に大きくなったか。


 しかし何故そんな顔をしておる。何がお主にそんな顔を______

 いや、聞くまでも無いことであったな。お主は儂を止めに来たのだったな。

 儂の為してきたことは、お主らの、民の望む政治では無かったか。


 儂はお主らのために楽園を作りあげたつもりであったが、それは自惚れであったようじゃな。

 道を踏み外し、愛しい娘等に武器を取らせ、あまつさえこの手にかけてしまった。心優しいお主らのことじゃ、儂に苦しめられてきた民を見るのは辛かったろう。多くの仲間を失うのは悲しかったろう。それだけのことを、儂はお主らに強いてしまった。


 ならばせめてもの償い、儂はこの剣を受け止めよう。

 嗚呼、儂の可愛い娘達よ、どうかこの愚かな父を赦しておくれ______

 それに控える赤と青の騎士よ、我が子らをどうか支えてやっておくれ______



 あの子らが、正しき道を行けるように______

閲覧ありがとうございました。

次回投稿を楽しみにお待ちください。

※この作品はpixivにて同時連載中となっております。

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