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LEAF MEMORY 〜始まりの鐘〜  作者: えんJOYラピス


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信じる道

 今でこそ暴君と陰で囁かれているが、自分は我が主に尊敬の念を抱いていた。

 少年だった自分は国王に憧れた。持てる力の全てを使い国を動かすその姿は、強い信念で国を、民を導く英雄だった。少なくとも、幼いクロノワール・ラフィルの目にはそう映った。

 成長するにつれ、いつの頃からか騎士を目指した。多くの国民から畏れられ、批判され、嫌われているであろう国王の力になりたいと切に願った。そのために只管に自身の誇りと目的を貫き通した。それまで損得勘定だけで生きてきたが、これほど熱くなったのは生まれて初めてだった。

 努力を重ね続けてようやく手に入れた騎士団長の座は、とても居心地が良かった。これでようやく王の側で忠誠を尽くすことが出来る。


 今の主は確かに暴君かも知れない。だがクロノワール・ラフィルの目にとっては、国を愛し、自身の世継ぎを愛した強き王だった。だからこそ、彼が自分の娘達と戦争を始めたときには驚いた。第一王女が民を率いて革命軍を率いていたことにも驚愕したが、何より娘である彼女を討つことに何のためらいもなくなっていた主の姿を見た時、クロノワールは混乱した。主は間違いなく娘達を愛し、民を愛していた。その為に豊かな国を作り上げようとしていたはずだ。それなのに……。一体、主に何が起こったのか。胸に湧き起こる疑問は消えなかったが、主には主の考えがあるのだろう、自分の知らないところで何かがあったのだろうと言い聞かせ続けてきた。それは一種の自己暗示だったのかも知れない。王はますます変わっていき、目的のためならば家族も家臣も民も容赦なく切り捨てる男になってしまった。


 王は、すでに自分の知る主、自分が憧憬とともに力を尽くそうと決意した主ではなくなっていた。それでもクロノワールは彼に仕え続けた。彼を止めようとは微塵も思わなかった。自分は彼の家臣であり、彼に忠誠を誓った者だ。彼を否定することは、謀反そのものであり、過去の自分を否定することでもあった。そんな真似は出来ないし、したくも無かった。


 それに今となっては国中を見渡しても、自分のように王に尊敬の念を抱く者はほぼいない。真に彼を理解し、仕えることが出来る人間は果たしてどれほどいるだろうか。烏滸がましいだろうが、クロノワールは数少ない理解者として、彼に仕えていたかった。道を違えても見失っても、本来の目的は、家族や国民が幸福に過ごせる国を作ろうとした心は、彼の中に今も消えずに残っていると信じたかった。


 たとえ批判されようと、命を落とそうとも構わない。騎士クロノワール・ラフィルにとって、王は命を賭してでも守り抜くに値する存在なのだから。それを守るために死んでも悔いは無い。唯主の為に忠誠を誓い、戦い続けること事が騎士の道だと信じていた。今もその考えは変わっていない。主に仕えるために騎士を目指したのだから、何があっても側にあるべきだ。それを邪魔する者、王の命を狙う者は誰であろうと斬る。例えそれが仲間だとしても。しかし………


「(国王陛下………私は、民が苦しむ現状が耐え難いのです。陛下が貶められることも………)」


 だからこそクロノワールは決意した。誰になんと言われようと、自分は王への忠誠を全うするのだと。

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