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5-3話 怖いよぉ……おち〇ちん怖いよぉ……

 ――時間は現在に戻り、怪しげな夜会のあった翌日。

 その日の夜もまた昨日と同じように、怪しいベッドルームで朔夜(サクヤ)が拘束されていた。

 ベッドの上で磔にされた朔夜(サクヤ)を、ウェルヘルミナが怪しい笑みを浮かべながら見下ろしている。


「ウフフフフ、サクヤ様。昨日のリベンジをさせていただきますわ」


 朔夜(サクヤ)の頬に手を当て、優しく撫でながらウェルヘルミナは続ける。


「今日一日、サクヤ様のおっしゃった事を必死に勉強してまいりましたの」

「べ、勉強……?」

「ええ、勉強です。セックスとは何か? 処女とは何か? わたくし、知らないことだらけでビックリしてしまいましたわ。ですが……勉強の甲斐あって、今のわたくしはエロ知識の宝庫! エロエロすぎて困ってしまうくらいエロエロなのですわ! サクヤ様、今のわたくしを、昨日のわたくしと同じだと思わない方がいいですわよ」


 その自信満々なウェルヘルミナの態度に圧され、朔夜(サクヤ)の額には冷汗が浮かぶ。


(ま、まさかエロについて真面目に勉強してくるなんて……。しまったわ、煽り過ぎちゃったかしら?)


 少し青ざめた様子の朔夜(サクヤ)に、満足そうな笑みを浮かべるウェルヘルミナ。


「ウフフ、まずは手始めに、サクヤ様の処女を華麗に散らして差し上げましょう。そのために、こういうものを取り寄せましたのよ」


 ウェルヘルミナはそう言うと、運び込まれたワゴンから長さ40センチほどの細長い木箱を取り出して朔夜(サクヤ)に見せつける。


「この中には『ディ〇ド』と呼ばれるものが入っていますの。サクヤ様は『ディル〇』が何かご存知かしら? なんと――男性器を模した張形の事だそうですわよ。サクヤ様のために急遽取り寄せましたの」

「――なっ!」


 その言葉にさすがの朔夜(サクヤ)も焦りの声を上げる。


「ね、ねぇウェルヘルミナ。……まさか本気じゃないわよね?」

「ウフフフフ、その顔ですわ。わたくし、サクヤ様のその顔が見たかったんですの」

「そ……そうなの? だったら願いは叶ったわけね。ならもういいんじゃないかしら。これ以上はまたの機会という事で……」

「ダメですわサクヤ様、ここまで来てお預けなんて。ウフフフフ、痛かったらごめんなさい。わたくし頑張って、優しく破瓜させてあげますから」

「ちょっ! う、嘘でしょ……?」

「それじゃ行きますわ!」


 恍惚の表情で、ウェルヘルミナがパカッ――と木箱を開ける。

 中にはモザイクなしでは見せられない、リアルに男性器を模った木製のディ〇ドが入っていた。

 そしてそれを、ウェルヘルミナが取り出――


「……な、何ですの、これ?」


 ――せずに固まってしまう。


「……こ、これが男性器? き、気持ち悪いですわ! 怖いですわ! おぞましいですわ! 何ですの、この禍々しい物体は?」


 木箱を持ったまま、真っ青な顔で震えるウェルヘルミナ。


「……む、無理! こんなもの触れられません、無理ですわ……! 怖いよぉ……ふぇえ……おち〇ちん怖いよぉ……」


 ……挙句、ポロポロと泣き出す始末。

 見かねた朔夜(サクヤ)が声をかける。


「……ウェルヘルミナ?」

「――ひぃっ!」


 その拍子に、悲鳴を上げるほど驚いて、木箱を放り出してしまうウェルヘルミナ。

 カランカランと音をたて、床を転がるリアルディ〇ド。

 そのシュールな光景に、何とも言えない沈黙が流れ……。


「……ねぇ、ウェルヘルミナ。もういいんじゃないかしら?」

「――っ! ま、まだ終わってはいませんわ、サクヤ様!」


 ぐぬぬ……と歯噛みするウェルヘルミナだったが、まだ諦めてはいないようだ。


「わ、わたくし、もう一つ勉強してきましたのよ。ファンタジー世界における定番のエロシチュエーション。それは……おいでブルー!」


 叫ぶウェルヘルミナが、合図を送るように手を振り上げる。

 するとポヨンッと、丸い水色の物体が飛び出した。

 ウェルヘルミナの従魔である、スライムのブルーだ。


「定番のシチュエーション、それは――スライムプレイ! スライムににゅるにゅるされながら、じわじわと服を溶かされていく屈辱! ウフフフフ、それがサクヤ様に耐えられますか? さぁ、行きなさいブルー!」


「キュイイイイイっ!」


 ウェルヘルミナの掛け声に合わせ、ブルーが鳴き声をあげてピョンッと朔夜(サクヤ)の腹部に飛び乗る。

 そして構わず服の上から、彼女の肢体に纏わりつくブルー。


「……ちょっ、やめっ……! そこっ……ダメッ……ひぁんっ!」


 これにはさすがに耐えきれなかったか、朔夜(サクヤ)は体をくねらせ嬌声を上げる。

 ブルーはその粘液状の体を這わせ、朔夜(サクヤ)の敏感なところを責めながら、着ている服をじわじわと溶かしていく。

 その官能的な姿に、思わず息を吞むウェルヘルミナ。

 見ているだけで顔を真っ赤にし、ハァハァと息も乱れだす。


「……やっ! ダメッ……! そんなっ……ふぁあっ! ……くぅん!」


 さらに悩ましげな声で悶える朔夜(サクヤ)

 じわじわと服が溶け、どんどん彼女の肌色が露わになっていく。

 そして――ついには大事な穴が露わになったその瞬間――!


「――――っ!」


 ウェルヘルミナが声にならない悲鳴を上げた。


「もう無理! 無理ですわ! エロすぎ! エロすぎです! わたくしはもう……きゅうぅ……」


 頭に血の上りすぎたウェルヘルミナは、腰が砕けてヘナヘナと座り込んでしまう。


「あぅうううううううう……」

「キュイイイイッ!」


 頭から煙を出さんばかりに、エロにのぼせてしまったウェルヘルミナ。

 その様子を見たブルーが、朔夜(サクヤ)を責めるのを止めて慌てて主人の元へ向かう。


「だ、大丈夫……大丈夫ですわ、ブルー。で、でももう今日は無理……。サ、サクヤ様、今日のところはこれで勘弁して差し上げますわ……ふみゅう……」


 ウェルヘルミナはそう言い残すと、心配そうに足元で震えるブルーと共に、フラフラとした足取りでベッドルームを出て行った。


「……で、私はどうすればいいの……?」


 一人取り残され、ベッドに放置される朔夜(サクヤ)

 ちなみに――ブルーに溶かされたのは腹部の服だけで、露わになった大事な穴とはおへその事。

 かつて平成ではTKB(チクビ)さえ見えていなければよかったスライム責めも、令和のコンプラじゃ活躍できるのはここまでだ。

 ……この程度なら性的搾取じゃないよね?

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