1074話
12月27日(月曜日)
毎年恒例の凱央と純也の誕生日とクリスマスと忘年会、そして雄太のリーディング一位を祝う会が雄太宅のリビングで賑やかに始まった。
「凱央、ソル。誕生日おめでとう」
「パパ。リーディング一位おめでとう」
「雄太。ジャパンカップ優勝おめでとう」
主役の二人にパンッパンッとクラッカーのカラフルな紙テープが降りかかる。
「んで、純也は何歳?」
「健人、てめぇ。相変わらず生意気だな」
「純也に言われたくない〜」
純也と健人のじゃれ合いは恒例行事になっている。
梅野は昨日のレースで腰に違和感をおぼえ、朝から春香にマッサージをしてもらったおかげで血行も良くなっていた。
「体がポカポカしてて肌艶まで良くなった気がするぞぉ〜」
「イケメン度がパワーアップしてるっす」
「お? 純也、可愛いじゃないかぁ〜」
梅野は褒めた純也の頭をグリグリと撫でた。
「マサキニイタン、ジュンヤニイタントナカヨシ〜」
「そうだぞぉ〜」
パヤッと笑う美理愛の頭をナデナデする梅野の顔は本当に優しい。
「んん〜。美理愛って梅野さんの娘でもおかしくないんですよね」
「け……け……健人ぉ〜」
「え? だって梅野さんって春姉ちゃんと同い年でしょ?」
「ウガッ!」
間違ってはいないが、春香が四人の子供がいるのを考えると不思議な感じがしてくるようだ。
「まぁ、健人の言う事もたしかなんだよな」
うんうんと頷いている純也に視線を向ける健人は真面目な顔をする。
「そう言う純也だって雄太兄ちゃんは四人の子持ちじゃないか」
「ウゴッ!」
雄太はクックックと笑いを噛み締めている。
(面白いなぁ〜。梅野さんも年齢でダメージあるのは分かってるけど、ソルまで)
雄太は早くに結婚したから、同年代と比べたら子供の年齢は高いほうだ。
更には子供の人数も多い。
「健人くんは、早くに子供欲しいとかあるの?」
「ん〜。なるべく早いほうが良いかな。運動会の親子競技に出たいしさ」
「そうだね〜。健人くんは良いパパになれそうだと思うよ。小さな頃から凱央達と遊んでくれてたし」
春香はニコニコと笑いながら、大人っぽくなった健人と話す。
もちろん、凱央達が幼い頃から遊んでくれていたのは、純也達も同じだ。
だからこそ、子供達の誕生パーティーをする時にはお誘いをする事にしている。
「ジュンヤニイタン、ハイ」
「美理愛……」
ニコニコ顔で美理愛はフォークに刺した唐揚げを純也に差し出した。美理愛用だから小さくカットしてあるから純也には物足りないだろう。
だが純也は可愛い美理愛にア〜ンしてもらってご機嫌は治ったようだ。
「美理愛。俺には? 俺には?」
梅野は尻に大きな犬の尻尾が生えたように雄太には見えた。
(梅野さんとソル、犬っぽかったんだな)
雄太は俊洋の口の回りをタオルで拭きながら、必死で笑いを堪えていた。
凱央と悠助は美理愛に翻弄されている純也と梅野を見て、相変わらずだなといった顔で笑っていた。
クリスマスツリーは今日のパーティーが終わってからと決めている雄太達は、ウッドデッキに出てクリスマスツリーの灯りを見ていた。
周りにはネオンがない栗東の夜に輝くツリーの灯りに、雄太達も子供達も純也達も見惚れていた。
「綺麗だな」
「だよなぁ〜」
「良い雰囲気だなぁ〜」
その時、チラチラと雪が舞い落ちて来た。
「雪だぁ〜」
「つもるかな?」
「ユキダルマツクレル?」
「ユキダルマァ〜」
子供達はチラチラと雪が舞う庭に下りていってはしゃいでいる。
「子供って良いよな」
「純也は今でも子供だろ?」
「健人ぉ〜っ!」
純也と健人も雪の中へと駆け出した。
「うはぁっ! 純也、真剣に追いかけんなってっ!」
「全速力出さなくても、健人ごとき簡単に捕まえてやるっ!」
逃げる健人、酔っ払いながらも追いかける純也、それを追いかける子供達という図があまりにも面白過ぎて、雄太と春香と梅野は腹筋が痛くなるぐらいに笑い転げていた。
その様子を自宅のリビングから見ていた慎一郎と理保も笑顔だったのは言うまでもない。




