第2話 エージェント春樹
殺しに来たァ?いったい何を言っているのだこの人は。今産まれたばかりの子供を殺そうという人が居るのだろうか。
「俺は春樹。未来から来たエージェントだ」
「あの今産まれたばかりだぞ。どうして殺そうということになるんだ」
俺がそう抗議すると春樹は首を振ってこう言った。
「いやこれが俺たちの未来の為だ」
「何を?!」
俺が飛び掛かろうとすると俺に画面を見せた。見たことない形だ。
「この映像を見ろ」
映像はどこかの荒野だったか、いやところどころに崩れかけた建物が見える。映像は手で取った物なのか少しずつ移動していく。そしてそこに見慣れた物がみえた。深紅に映える塔。東京タワーである。
「東京タワー?ここは東京だっていうのか!」
「そうか。東京タワーはこの時代にはもうあったんだな。お前が見慣れない建物はこの時代の後にできたものと言うことだ」
春樹は一人で納得するが、俺はそうではない。なぜこのようなことになっているんだ。
「これはこの令和から大分未来の東京、いや日本だ。ある男によってボロボロにされたな」
「その男ってのは誰なんだ!」
俺が叫ぶと。春樹は親指で背後を指した。
「この男名前は雄平。この男が未来の世界で大規模テロを起こすんだ」
「何だと?!」
「落ち着け俺はそれを防ぎに来た。コイツさえいなければもう未来の世界で人が大勢死ぬことは無いからな」
「そんな……そんなことで生まれたばかりの子供を殺すというのか」
「そんなことだと?」
春樹は機嫌が悪くなる。
「この映像で倒れている女性がいるだろう。それは俺の同僚にして恋人だった。お前の息子に殺されたがな!」
俺に勢い良く詰め寄る。
「俺の愛する人は俺の子を妊娠していた。それでもお前は殺さなくていいって言うのか」
「そ、そんなもの未来じゃないか。いくらでも変えられるだろう、俺だって子供には愛情を持って育てる。それで見逃してはくれないのか」
春樹は無情にも首を振る。
「この大規模テロが起こった時にはアンタはもう死んでるよ。死因を言ってやろうか?」
「い、いやそれは……」
正直遠慮したい。俺の死因なんて知りたくないから。
「それでも人を殺すのはダメだ!大体そんなことをしても不自然だろう」
「これがある」
春樹は薬を見せる。
「この薬は未来で開発されたもので現代でやれば病死にしか見えなくする薬。オタクの息子は不運にも直ぐに亡くなってしまったことになるだけだ」
そんなことが認められるとでも思っているのか。
俺が殴りかかろうとしたところで「待ちなさい!」とある声が俺を止めた。




