はやり病
ご高閲頂きまして誠にありがとうございます。
今回は長文です。
いつもの二倍程度ですが、どうぞお楽しみください。
ヒナが目覚めた朝
この世界では医者とされるヒーラーが改めて診断をいてくれる事になった。
「信じられない…。大変失礼ですが、あそこまで悪化した状態から
ここまで回復できるなんて…
私も何人もの患者を診てきましたが、お嬢様が初めてです。
奇跡としか言いようがありません!」
そう、このはやり病は治る確率の極めて少ない病気だった。
この世界は魔法があり、そして医療もある。
そんな世界でも治せない病があると言うことだ。
しかしヒナは結果として回復した。
だからこそ彼は驚きを隠せず、感じたままを伝えたのだ。
「奥様、お嬢様の今回の回復ははやり病の治療に何かしらヒントがあるかもしれません。
失礼を承知の上でお嬢様の血液を含め私達にお調べさせていただけませんか?」
ヒーラーはそれこそ人命最優先を考える前世と同じ医療関係の職種だ。
免疫や抵抗力があるのならそれを使わない手はない。
そして貴族と言えど一人の人間であるヒナの母親は、自分の我が子の血液で多くの人が救われるならすぐにでも即答したい。
しかし、病み上がりで瀕死にまで追い詰められた我が子の母親でもある。これ以上今は負担をかけたくないのも本心だ。
「ママ…。私は良いよ?」
確かに病み上がりでまだ完全に回復したわけではない。
地味に体が重たくも感じるし、疲労もあるため意識がはっきりしない。
それでもこの病で老若男女、幼い子供ですら命を落としているのは事実。
ヒナはその現実だけは変わらない、そして助かるのなら喜んで手伝いたいと考えていた。
「ヒナ、あなたはまだ病み上がりよ?私はまだ無理をさせたくないの…。」
「大丈夫、私は自分と同じように苦しんでる人を助けたい。」
10歳にしては優しすぎる考えを持っていた。
でも無理はない、前世の記憶を取り戻したばかりで、しかも我が子を思う母の気持ちは痛いほど理解できるからだ。
母親は少し黙り込み、貴族としてわがままを通すことができる立場、しかし娘の体を労わる母親の気持ちと今も苦しむほかの家族の気持ち…
3つの感情と闘っていた。
しばらくして返答を待っていたヒーラーに告げる。
「娘の意思を尊重します。費用は当家からも支援いたしますので、
一刻も早くこのはやり病の特効薬を完成させてください。」
「ありがとうございます!!」
彼も今日いい返答がもらえるとは考えていなかった。
基本的に貴族とは自分本位の考えを最優先する。自分の利益にならないと判断したら我が子ですら切り捨てる。
だが、この貴族は違った。
自身が高潔な貴族である事を盾に民衆への冷酷な対応をするわけでもなく、
その上支援を名乗り出てくれた。
今までこのような優しさを持ち合わせた貴族に巡り合うことがなかった彼は
涙を流した。
「でも娘の体調もまだ完全ではないので、その点だけ十分気を付けてください。」
「もちろんです!!早速ですがお嬢様の採血をさせていただきます。」
ヒナの血液を採取してから約2週間後
はやり病の完全な特効薬が完成した。
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アトランテ家の歴史
ヒナが前世の記憶を取り戻してから1ヵ月が経過した。
自宅の屋敷の中には、巨大な図書室があり、
家族のみが閲覧できる特別な部屋があるので、そこでこの世界と、自分の前世についての整理をしていた。
図書室は普段一般人にも有料で開放している。
金額は20シルバー前世で言うと20円ぐらいの価格らしい。
ヒナは歴史書と家系図を確認した。
まずこの世界は地球とほぼ変わらないという自然環境である。
四季があり、作物も四季に合わせて収穫ができる。
そして今ヒナが居る場所は【アトランテ】という街で、
規模は国と言っても過言ではない広大さである。
ヒナの家族はモンスター討伐専門のギルドの元締めであり、
ヒナの父親、つまり現当主は現役のハンターであり、ギルドマスターである。
元平民という出生であるが、2000年以上前に災害を引き起こした【災害龍】という国一つを一瞬で氷漬けにしてしまうと言われているモンスターを撃退したことにより、
その功績を称え平民のままではいられなくなったのだと、歴史に残っていた。
基本的に貴族は平民からの成り上がり、しかもハンターからの成り上がりに対しては特に
嫌っていた。
蛮族・下品・不躾…あらゆる嫌味を投げかけ、自殺にまで追い込むことも過去にはあったそうだが、
ヒナの先祖はそれのどれにも当てはまらず、むしろその貴族すら黙らせてしまったのだ。
その理由はとても簡単だった。
先祖は容姿端麗…つまり貴族も言葉を失うほどのイケメン。
赤髪に紫色の瞳で色白の肌。
しぐさ一つ一つ品を欠かさず、そして社交性も優れ、
何より物理的に強い。
当時の貴族の称号授与では多くの貴族が繋がりを得ようとしていたと語り継がれている。
その後、広大な敷地を所有していたが手に負えず、頭を抱えていた貴族の娘と結婚し、ギルドを立ち上げ、今では国に匹敵する街にとなったのだ。
そしてヒナは約10代目の子孫ということになる。
この功績がある為、ヒナの家族はほかの貴族からの求婚が多い。
「精神年齢100歳でもある私からすると15歳とかでの婚約はロリ…いや、
ショタコンとかいう異常者になるのではないかしら…」
ヒナの心配はまさしくそこだった。
いくら肉体年齢が10歳と言えど考えは大人お飛び越えた状態
子の心境をどう考えるべきか
とりあえずこの世界に転生したヒナの状況は以下の通りだ。
ヒナが転生した少女は【アトランテ・アルヒナ】
愛称を【ヒナ】と呼ばれている。
主に愛称は、家族がそう呼んでいる。
今彼女は10歳という幼い年齢ではあるが、見た目は紫色の瞳の金髪美少女である。
そしてヒナが生まれたこの街の名前は【アトランテ】
約4000人近くの市民がいる巨大都市の様なものだ。
そして平均的な寿命は前世の世界の倍
つまり200歳と言われている。
魔法を使うこともできる世界である為、体内の【心臓】部分にマナと呼ばれる魔力貯蔵をしているため、心臓が人一倍頑丈なためなかなか死なないらしい。
しかし世の中には【不死者】や【不老】などと呼ばれる祝福持ちと言われる人も居るらしい。
流石ファンタジーワールドと言うべきだろうが?
しかも祝福は一人一つとは限らないらしく、
複数持つことができる【特異体質】という人も多くいるらしい。
ヒナの家族は基本的にその【特異体質】の家系であり、最大で10個の祝福を得た者も多いいと言われる。
祝福については後程説明していくので短縮で説明しよう。
だがその祝福が何なのかを知るのは14歳のデビュタントと言う成人式の後にわかると言うこと。
それまでは、はっきり確認ができないとのことだ。
そして家系図
ヒナの家系図は歴史がある為、細かく記載されていた。
基本的には2000年前のものからあるが、今の家族をメインで調べることにした。
ヒナの現在の家族は以下の通りだ。
父親、兼現ギルドマスターは【アトランテ・ゲイル】
先祖代々のイケメンを受け継ぎ、薄紫色の瞳を持つ
さわやか風のイケメンである。
現在47歳。見た目は30歳前半ほどの見た目詐欺の父親である。
ヒナには甘々の父親で家族はその光景を見るたびに白い目で見ている。
ギルドでは夕焼けのような赤髪に色白の肌、戦闘時に返り血でさらに全身を赤く染め、
口調が荒くなるなどの特徴を踏まえ、
社交界では【紅蓮の狂犬】などと言われている。
本人はギルドマスターという肩書もある為、ハンター家業を生業にする者へ、
見た目で舐められてしまわないようにと自身のコンプレックス対策として、
少し下品を加えているとのことだ。
ギルドでの功績はこの世界随一であることは変わらない。
危険な仕事と隣り合わせなのは変わらないが、徹底した人命安全を考えているため通常の討伐クエストより生存率が高いのだ。
そこをかなり評価されている。
祝福は【無敗・指揮官・超越・破壊者】
無敗は一定の条件を満たすとアトランテ家の当主に付与されると記載があったが、その条件は当主のみが知ると言われている。
ちなみにこの世界ではイケメンは【容姿端麗】とひとくくりにされる。
ヒナは自身の父親はイケメンだと終始感じていた。
ヒナの母は【アトランテ・ルミナス】
透き通るような色白の肌に、輝く金髪、そして青色の瞳を持つの美女である。
デビュタントをした当時は歴代屈指の美少女と名高い有名人だ。
年齢は35歳。見た目は周囲の話では変わらないと言われるほど、老いを感じさせていない。
祝福は【不老・慈愛】
一定の年齢から歳をとることができない祝福をヒナの母は受けていた。
そして慈愛は性格からも出ているが、
結果的にはどんな育ちの悪い人であろうと、彼女の前では構成できるように必然と努力してしまうのだ。
貴族ではあるが、彼女はギルドで働いている。
血気盛んなハンターたちの癒しの対象でもある。
決して卑猥なことはできない相手ではあるが、見てるだけでも心が洗われると言われており、ハンター達は密かに【母さん】と心の中で呼んでいるらしい。
ヒナからしても自分の母はあまりにも美しすぎた。
でも不思議と母として甘えることができる。
100歳の精神年齢でもやはり母の愛は偉大だと常々感じさせてくれた。
ヒナの兄【アトランテ・キルファ】
アトランテ家の長男
年齢は18歳、この世界では成人としての年齢であり、
父ゲイルと似た容姿を持っている。
そして父と同じくヒナを溺愛しており、ヒナの事になると平気で刃物を持ち出し暗殺を企てようとする。
ギルドの職員の一人であり、時にはハンターとしても活動をする。
腕前はギルドでも随一と言われており、事務処理も得意。
祝福は【超越・忍】
超越は基本の身体能力が通常の人の10倍になるという何ともチートのような能力である。
アトランテ家の血筋は基本的にこの祝福を受けているケースが多い。
忍びは文字通り忍ぶことに特化しているため、気配を消すことが得意。
ハンターとしては戦闘を簡潔にすることがしやすいと言われており、忍を持つハンターは大切にされる傾向だ。
ヒナの二人目の兄【アトランテ・カイン】
アトランテ家の次男
年齢は16歳、母親に似た金髪に父親の薄紫色の瞳の、どちらかというと美青年タイプだ。
性格は普段物静かで少し女性を思わせる雰囲気を出すこともあり、性別を問わず彼の色気に惑わされることが多いいと有名だ。
彼のデビュタントでは10人以上の男女が彼の容姿を見て倒れたのはまた別の機会で紹介しよう。
祝福は【超越・誘惑・剛腕】
誘惑は基本的に相手に対して敵対する思想を強制的に友好的に変換されてしまう。
そして剛腕は単に腕っぷしが極端に強すぎる。
超越と剛腕が合わさると、片手で気の丸太を投げることもできてしまうので、
見た目詐欺の出来上がりだ。
彼のコンプレックスでもあるが、ハンターとしてはモンスターの最大の天敵と思われる。
そしヒナに関して兄キルファ同様大切に溺愛しており、ヒナの外出の際は必ず護衛の中に紛れて付き添う。
ヒナが5歳の時に一度「カイン兄さまストーカーみたい。」
と言われたことがあり、その際は1週間食事を取れないぐらい精神ダメージを受けている。
そのあとに兄キルファから「家族はストーカーではなく過保護だ」と言われ復活している。
この話も後程細かくお話ししよう。
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関係ないお話ですが、
いつの時代も母は偉大と言われますが、
私も親になり、その偉大さを痛感しております。
時間があるときに親孝行ができる間柄の方は親孝行してあげてください。
親になって初めて尊敬できる事は多くあります。
実際に新型コロナウイルスという病が流行していますが、今の時代はリモートやビデオ通話が多く使用できる環境があります。
元気な顔を見せてあげるだけでも安心できるかと思いますので、
最近仕事で会えていない方などは是非お話して顔を見せてあげてください。
何故このような事を伝えたのかと疑問視される方も居るかと思いますが、
私は3年前に祖父を亡くしております。
大好きな祖父でした。
もっと沢山話をしておけばよかったと今でも後悔しています。
失って気が付く大切さというのは、正にこのことだと考えています。
失うまで今の状況を当たり前と思ってしまうのは致し方ない事です。
人間とは心理的に
「明日の命に関して当たり前のような日常を送ると、死への恐怖を忘れるようにできている。」
以前働いていた上司にそういわれていました。
私の中では妙に納得できる言葉でした。
どうか皆様に少しでも後悔をしないで生きていければと心よりお祈り申し上げます。




