幸せな人生03
ご校閲ありがとうございます。
まだまだ序盤ですがどうぞお楽しみください。
眩しさに目をつぶり、
彼女が目を覚ました時には周りが真っ白な世界だった。
「ここは?」
先ほどまで自分の亡骸と残された家族を見ていたのもあり、
自分に何が起こったのかを理解できないでいた。
『ここは世間でいう死後の世界と言っても良い』
「!?」
病室で聞こえたあの声だと、さっと振り返る。
振り返った先には
何年も何十年も共に過ごした最愛の人が立っていた。
「あ…あなた…」
涙を止めることはできなかった。
10年それは彼女からすれば途方もない時間だったからこその反応だ。
来る日も来る日も自分が夢を見ているのではないかと考えていたり
よくここまで長生きしたと、生きることの開放に良かったねと思ったり。
それでも、当たり前のように隣にいてくれた人が
居なくなることに慣れるには時間が必要だった。
「私、あなたに…どれだけ会いたかったか」
彼女はその場で泣き崩れてしまった。
しかし、そんな彼女に最愛の人は無情な事実を伝える。
『君には大変申し訳ないが、私の姿は君のご主人に見えているのだね。』
「え?」
『私は自分が最愛だと思う人物に見えてしまう体質でね。
君を泣かせてしまうつもりはなかったんだ。すまない。』
自分の最愛の主人の姿をしている人物は、彼女の知っている主人ではない。
目に見える現実と実際は違う。理解するにも時間が必要だった。
でもその時間すら彼女には与えられないらしい。
『簡潔に伝えるが、君の魂は天国や地獄などという場所には行かない。
これから新しい人物として転生していただく。』
「え?待って、どういう…」
『時間がなくて申し訳ないが、
また新しい人生が待ち受けているということだ。』
そう言うと彼の周りが青白く光り始めた。
『第一の人生で培った知識は引き継げる。
そして第二の人生はまた新しく幸せに暮らすが良い。
君にとって悪い人生にはならないだろうから。』
「ちょ、ちょっと待っ…」
彼女の周りが同じように青白く光り、彼の姿が薄れていく。
『彼からの言葉は預かっている。』
彼は何かに取り付かれたようにこの上なく優しく、そして微笑みながら彼女に伝える。
『ヒナ、愛してる。永遠に愛している』
「あなたっ!!!」
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次号もまだ序盤ですが、今しばらくお楽しみいただければと思います。




