『「海では生めないわ!」竜宮城を飛び出したトヨタマヒメと、ニートの弟を養う兄の美学』
お兄ちゃんの優しさに触れ、あんなチート玉を使ってお兄ちゃんを陥れることなど、とてもできなくなった山幸彦くん。
お兄ちゃんと仲良く農業に勤しむようになりました。二人は頑張って収穫した物を見せ合っています。
「俺たちも、慣れない農業だったけど、なかなかいい感じになってきたじゃないか! そうだ、お前、いい人はいないのか?」
「実は……ボク、三年間、竜宮城にいたんだ。そこでワダツミ様の娘でトヨタマヒメって子と結婚してたんだ」
「なんだ! それならそうと早く言ってくれればいいのに。その子、きっとお前を待ってるぞ。早く迎えに行ってやれよ」
「うん……だけど……そういう兄ちゃんこそ、どうなんだよ」
「まあ、俺はホスセリの面倒も見てやらなきゃだしな。俺の嫁になったら苦労させるかもしれないしな」
「兄ちゃん……」
その頃、竜宮城では……。
「遅いわ! 山幸彦くんったら。地上を支配するようになったら迎えに来てくれるって言ったのに。まさか地上で、他に好きな人でもできたんじゃないでしょうね」
「まあまあ、トヨタマヒメちゃん。そんなにイライラしたらお腹の子に障るよ」
「そうね。お父様、私、決心したわ。地上に行くわ! それにこの子、海で産むことはできないわ」
「そうだね。でも、気をつけるんだよ」
トヨタマヒメちゃんは、山幸彦くんの子供を身籠っていました。お父ちゃんのニニギくんは一発で妊娠させていたのに、山幸彦くんは少し時間がかかったようです。
つづく




