因幡の白兎 〜海水シャワーの罠と、居直った被害者うさぎ〜
「痛いよー」
泣いている白うさぎくんの前に現れた大勢の八十神くん。
「どうしたんだい」
「実は…」
涙ながらに理由を話す白うさぎくん。
「それは可哀想に、真水に…」
いいかけた一柱を止めたのは、顔の半分の色が違い、その境目には針で縫ったツギハギの顔の男神。
「いいか、白うさぎくん、海の水に浸かってお日様に当たるんだ。わかったか」
「うん、わかったよ。やってみる」
そのまま去って行く八十神くんたち。
「おい、いいのか」
「いいんだよ。元はと言えば、ワニザメを騙したあいつが悪いんだから。食べなかっただけ、ワニザメは慈悲深いよ。あいつ、ちょっとは反省すればいいんだ」
「それもそうだな。ところで、オオムナジ遅いなあ」
「全くだ。あいつに持たせてる荷物の中にはヤガミヒメちゃんへのプレゼントも入っているってのに。ちょっと待っててやるか」
その頃のオオムナジくん。
「兄さんたちに、ずいぶんと遅れてしまったなあ、急がなくちゃ。それにしてもこの荷物重いな。どっこらしょ」
オオムナジくんが荷物を担ぎ直そうとした時です。赤いうさぎが目に入りました。
「え?赤いうさぎ?めずらし…これ捕まえてヤガミヒメちゃんにプレゼントしたら喜ばれるんじゃねえ」
「違います。赤いうさではありません。悪いワニザメに騙されて皮をはがれてしまったのです」
「悪いワニザメ?」
前に八十神くんたちに正直に話して、えらい目にあった白うさぎくんはうそんこを混ぜて話しました。
「ふ~ん、可哀想に。じゃあ、きれいな真水で洗って蒲の穂の上で寝て乾かして」
そう言って去ろうとしたオオムナジくんは白うさぎくんに着物の裾をガシッと捕まれました。
「そんなこと、言って、前の八十神たちみたいにひどい目にあわせるんでしょ。完治するまで面倒みてくださいよ」
めんどくさいうさぎにかかわってしまったなと思うオオムナジくんでした。
つづく




