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(第1部完結)信長公斬魔録~転生帰蝶ちゃんは急にダークファンタジー死にゲーみたいになった戦国日本をナーロッパにしたい~  作者: simopo
第2部 「ナーロッパってこうだったっけ」

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第79話「政教分離?そこに無いなら無いですね」

海の日なので第79話。



 準備も含めて波乱万丈だった家督継承と三河童子討伐戦(公式にあの戦はこういう名前になった。後世の歴史でなんと呼ばれるかは知らないよ)の論功行賞式から3ヶ月たった。

 あの日からしばらくはお手紙作業に忙しくしていた私はやっと作業を終えて各地に手紙を送り終えて、やっとホームたる熱田屋敷に帰ったのは4月になってからだった。

 いや、正式なホームは那古屋城ではあるんだけども。

 私は尾張女子大学寮の学生でもあるからね。

 ただ、卒業認定をどうするかはっきりしてないんだよね。

 この時代の学校ってお師匠が免許皆伝みたいに認めるまでいつまででも所属するものなので、どちらかというと学校というより修行場みたいな感じだ。

 当然結婚とかで卒業(退学?)していく生徒も居たりする。

 メリハリが無いんで在学期間を決めよう。

 土田御前ノブマッマと相談したら、確かに区切りがないのは問題だということで3年を目処に卒業する方向で検討する事になった。

 なぜか尾張に居座ってる山科さまや下級のお公家さまも講師に迎え、ますますカリキュラムが充実している尾張女子大学寮には武家や商家の娘さんだけでなくお公家さまのお姫様や寺社の娘さんも集まり始めてる。


 他の大名家からはまだ受け入れてないけどね。

 レベルアップの仕組みが広まるのも時間の問題……と思ったらすでに熱田に集まった難民から迷宮に入りたいという声が増えてきているそうな。

 人の口にとは立てられないからね。

 兵になればいいんだけど、兵は公務員なんで際限なく雇うわけには行かない。

 休みの日に特にやることもない難民あがりの兵などが迷宮に入り、鍛錬ついでにドロップ品を納品してお金を稼ぐ仕組みが自然と発生している。

 もともと訓練時に出たドロップ品は織田家が回収(実質没収だよね)してたんだけど、食料需要の高まりと大和の仮御所周辺に京と同じく人が集まりだして高級品の需要も回復しつつあるらしいので、非番の兵がドロップ品を持ち込んだら買い取る制度を最近始めたんだとか。

 雑な説明の冒険者ギルド構想をこんな感じで実行しちゃうんだから信長ノッブの有能ぶりは五臓六腑に染み渡るレベルである。

 兵の強化と物資集めが同時進行で進むんだから良い話だ。

 んで、羽振りの良くなった兵が熱田にお金を落とすんで兵への志願が増えまくってる。

 同時に迷宮でお宝が出るって噂が広まって、兵にならずに迷宮に入りたいって言う声も徐々に増えてるけどどうしようかね、と相談を持ってきた信長ノッブが私の部屋にやってきた今である。


 「んで、帰蝶。お前の言ってた冒険者ぎるど?の骨組みぐらいはできたと思うんだが、どう思う?」


 「んー、今んとこ専業兵士専用だからねえ。一般人のレベルアップも必要ではあると思うのよ」


 「俺としちゃあ、うまいこと回せるんなら全然ありだとは思うんだよな。少なくとも金は回り始めてる。熱田だけじゃなく那古屋近辺は景気が良い」


 「とりあえず、半民半兵で始めるといいんじゃないかな」


 「はんみん……?どういうことだ」


 「副業兵士ってこと。普段は市井で暮らしてて、なんかあったら兵士になる義務があるってことね」


 「そりゃ、別に普通のことだろ?戦になりゃ誰だって兵になる」


 「人相手ならそうだけどね。魔物相手だとそれじゃ回んないでしょ?」


 「ああ、そうか。対魔物に関しては専業兵士と」


 「こないだ魔導研究所から報告が来たんだけど、レベルアップするとなんか頭が冴えたり字がうまくなったりしてるんだって」


 「なんだいきなり?」


 「これね、私の想像なんだけどさ。レベルアップするとやたらと強くなるだけじゃなくて、いつもやってることがうまくできるようになるんじゃないかな、って」


 「は?……マジか?」


 「まだ検証中なんだけどね。女子大生から侍女になった3人いるじゃない?あの子たち商家の娘なんだけど、以前にもまして算術が得意になったっぽいんだよね」


 ミソッカス三人娘のことだ。商家の娘だけあってそろばん勘定は得意だったけど最近はやたらと計算が早い。

 手紙を送るニンジャの旅費計算が迅速すぎてちょっと怖かった。

 商家の娘ってすごい、と思ってたら土御門様からレベルアップで身体的強化以外に職能強化(とでも言おうか)も起こってる可能性が示唆されたことで気づいたんだよね。

 

 「というわけで、民がレベルアップしたら職人とかの技術も上がるのかもしれないよ」


 「……伊勢守の剣術が化物じみた域になってると思ってたが、あれもレベルアップの恩恵なのか?」


 「えーと、前世の創作に「ジョブ」っていう概念があってね。

 これはそれぞれが得意な職業、どちらかというと職能っていうのかな。

 そういうのが個人ごとに定められてる、みたいな話もあってね。レベルが上がるほどその職業に適した能力が上がるってことなの」


 「……理解しづらいが、侍の職能持ちなら剣術や槍の扱いが得意になっていく、みたいなことか?」


 「だいたいそんな感じ。まったく同じものではないと思うけど……生まれで決まった家業が本人に一番適してるってそんなわけ無いし。どちらかと言うと良くやっている事が得意になるんじゃないかな、と思ってますです。はい」


 「……だとすると、悪さばっかり考えてる悪党のレベルが上ったらえらいことにならねえか?」


 「だからギルドを作る時は織田家でガッチリ握る必要があるんだよね。主人はノッブだけど、実務上の責任者も織田家の人がやるほうが良いかも」


 「そりゃそうだな。……民心を掴む意味でも、勘十郎にやらせるか。イナリ教の組織としちまうんだ」


 「いい考えだね。イナリちゃんが実在してるから意図を曲解して暴走するってのも考えにくいし」


 正直言うといい考えなのは認めるけど謎の新興宗教で無理やりまとめるみたいで気は乗らない。

 信勝カッツはアレ以来、イナリちゃんを崇め奉る活動を繰り広げていてなんだかやたらと信者を増やしている。

 イナリちゃんを崇めて神の奇跡を信じ、それぞれができることをやって魔物に屈しないようにしよう、というすごくふわっとした教義(?)なんだけど、そのわかりやすさが受けているらしい。

 イナリちゃんの巫女プロパガンダとして広まった私もついでに拝まれててこそばゆいし罪悪感がすごい。

 イナリちゃんは信仰が増えてご満悦だし政治的にも都合が良いのでこのまま押し切る方針である。正直いやだけど。

 実際なんか新しいことするにも「イナリ様のお告げ」という大義名分が使えるのはとても助かるのだ。

 助かるけど前世の意識が邪魔して両手を上げて喜べない自分がいる。


 「じゃあ、まずはイナリ教徒から入れるか。勘十郎には帰蝶が話してくれ」


 「ええっ!?話長くなるからやだなぁ。多分土御門様も付いてくるし」


 イナリ教の特別顧問にいの一番に就任した土御門様。絶対来るよあの人なら。

 論功行賞の後、教祖信勝カッツしか居ない状態で特別顧問に就任てなんだよ信者1号の間違いだろと思った私は絶対間違っていない。


 「そう言うなよ。俺はあちこち見て回ってくる必要があるんだ」


 「あー、長島と……」


 「美濃だ。マムシ殿の様子伺いも必要だしな」


 長島は相変わらず一向宗が囲んでいるけどやがてはなにか手入れが必要だろう。

 論功行賞の時以来、本願寺からの連絡は特に無い。

 ニンジャの報告ではなんだか揉めてるらしいけど、そりゃ簡単にイナリ教と手を組むことなんてできないよね。

 あちらからすればイナリちゃんをかっさらってついでに織田家も傘下に入れるつもりで僧をよこしたら信長ノッブとイナリちゃん本人にビビらされて帰って来ただけだもの。

 そう思ったら、どうも承和和尚はガチ目のイナリ教信者になったらしく本願寺内でイナリちゃんの素晴らしさを説く日々なのだとか。

 生臭のくせにちょろすぎんか。お坊さんってこの時代の知識人のはずなんだけど。

 色んな意味で心配になってくる。


 ともかく、長島と美濃が直近の危険地帯なので警戒を怠るわけにはいかないので、信長ノッブはそっちにかかって内側は私が、というのが最近の役割分担だ。

 おかげでいつも一緒というわけには行かないのがちと寂しい。

 イケメンの側にいる機会なんかなんぼあっても良いものですからね。

 

 ……とはいえ現状尾張で面と向かって話したくない人たちと話をするハメになった私は憂鬱な気分でその日を迎えることになったのである。

 


宗教家になった織田信勝。謀反起こして謀殺されるよりはマシな人生になりそうです。


というわけで今回はここまで。

また次回をお楽しみに。

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