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(第1部完結)信長公斬魔録~転生帰蝶ちゃんは急にダークファンタジー死にゲーみたいになった戦国日本をナーロッパにしたい~  作者: simopo
第2部 「ナーロッパってこうだったっけ」

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第63話「うるさいのがいると話が進まないので」

火曜日なんで第63話。


普段と違ってちと短めです。

 えへえへうひうひしてる私を放置して、とりあえず魔導研究所での条件については後程、文で行うと信長ノッブがきっぱりと通達し、土御門亭を後にする。

 土御門さまは例の猿轡の術がかかったまま「んーんー!」と言っていたが、イナリちゃんが言うには明日には術が解けるそうなんで放置して帰ることにしたのだ。

 うるさくなくて大変結構。

 

 んで、那古野城に帰って土田御前ノブマッマにほんのり心配が滲んだお説教をされた。

 曰く。

 護衛もつけずにイナリ様と二人で出かけるとは何事ですかあなたの力は知っていますがなにかあったらどうするのです警備のものが腹を斬ることになるのですよ自重なさいところで最近のあなたは織田の嫁としての自覚が薄れてきていませんか女子大学寮の他の生徒と同じ立場ではないのですからわきまえなさいそれからそれから……


 いかん、土田御前ノブマッマはキレると土御門さまみたいな饒舌になるタイプだ。

 足がしびれまくってぐぬぬとしているとため息をついて


 「帰りの刻限を必ず伝えること」


 をお約束させられて解放された。子供か。

 とことこやってきたお市ちゃんがしびれた足をつついて来たので悶絶したが、ほっぺムニムニで報復しようとしたら逃げられた。

 畜生幼女足が速い!しびれて動けないだけなんだかんね!

 泣いてないよ!幼女に泣かされた美濃の姫様なんていないんだ、いいね?


 そんなこんなで半泣きで夕飯を食べて部屋で信長ノッブとイナリちゃん、おさきと車座になって今に至る。

 いつものメンバーで今日の件についてお話合いだ。

 土御門さまがいるとうるさくて話が進まないのでこれでよいのだ。


 「で、帰蝶。土御門殿を引き込む判断の根拠はなんだ?」


 ちょっと不機嫌ぽい信長ノッブが言う。

 おやぁ?まだ嫉妬しているんですかねこのイケメンは!

 ああワタシってば罪な女♡

 ……嫉妬はちょっとうれしいけど、余計な事言って「疑惑はますます深まった!」みたいなことになっても大変なので、きちんと説明しなきゃね。


 「もちろん、変な気持があるわけじゃないよ。私ああいう人苦手だし。

 えーと、今私たちが目の当たりにした「陰陽術」って、涼風様の術と、土御門さまが使った魔力を見えるようにする術の2つじゃない?」


 「そうだな。涼風殿の術は使い様によっては戦にも使える事は帰蝶が証明してくれたが」


 「まだレベルアップしてない土御門さまが、涼風様と違ってすぐあの術を使えたのは土御門さまが優秀な陰陽師であることの証明だよね?」


 イナリちゃんに向けて言う。

 お夕飯のおうどんを嬉しそうに食べてたイナリちゃんは食後のデザートとしてカステラの切れ端をほおばっている。

 私も後で一切れもらおうかな。

 あーでも今食べたら太りそうだな。イナリちゃんいつもなんか食べてるけど太らないのかしら。神様ずるい。


 「むぐむぐ。ん?ありのぶは今時珍しい「気」……魔力かの?まあそれなりに充実しておるの。せーめーほどではないが」


 「そっか。大分変人ではあるけどね。その腕を当てにしたいのがまず一つ」


 人差し指をぴっと立てて言う私を見て、おさきが眉根を寄せる。


 「いくらお公家様とはいえ、姫様に無体を働くような方はどうかと思いますが」


 「そうだな。次は無いと言ったし、また帰蝶に触れるようなら次は斬る」


 「あはは、あれは土御門さまがだいぶ混乱してたんで……お偉い方だから、ホントに斬っちゃだめだよノッブ?」


 「余計な事しなきゃ斬らねえよ……

 それで?まだあるんだろ?」


 むう。ふてくされた信長ノッブが可愛い。

 こんなに愛されてうれしい限りだ。

 だけど重要な説明があるんで話を続けなければ!


 「もちろんあるよ。イナリちゃん、土御門さまの術って安倍晴明が作ってたっていったじゃない?その辺詳しく教えてくれる?」


 「うん?そうじゃな。わらわにしか「気」が見えないのはずるいとかなんとかせーめーが言いおっての。

 これはわらわの権能の一部だから教え方なんぞ知らんと言っても聞かぬのじゃ。

 さんざん話を聞かせてやったが、あやつが生きてるうちにはモノにならなんだ」


 「ほうほう。安倍晴明が生涯かけても完成しなかった術なのね!すごい!」


 「いやあ、術を作り始めて少ししたらせーめーは死んじゃったので、そんなに長くは作っておらんかったな。何やらいろいろ書きつけておったが、それを見て子孫が完成させたんじゃろうな」


 「なるほどなるほど!……これが土御門さまを引き込む理由その2だよ、ノッブ」


 「どういうことだ?」


 「土御門家は、術の作り方を知ってるかも、ってこと」


 「それは……すごいな!」


 「そうなの!安倍晴明の術の模倣だけじゃなくて、符の改編とか、符以外への術の刻み方とか、そういう事を知ってるかもしれない!」


 「そういえば、涼風どのの研究は停滞してたんだったよな」


 「涼風様には悪いけど、答えを知ってるならそっちを聞いてからいろいろ試した方が早いからね!

 ……正直ね、秘匿にこだわらずに早いところ土御門さまにお会いして引き込むんだったなって、後悔してるんだ」


 涼風様の実力を見てからずっと頭の片隅にあった事を白状する。

 怪訝そうに私を見るみんなを直視できず、私は語る。


 「涼風様とお会いしたときに、一緒に土御門さまを引き込むことができたら……

 三河魔境の戦いで、もっと有利に戦えたかもしれない。

 将鬼との戦いだって、あんなに苦労しないですんだかも。

 ……私が秘密研究なんてのにこだわったせいで、死ななくていい人が死んじゃったのかも……」


 土御門さまの知識はおそらく本物だ。へっぽこ陰陽師の涼風様とは全然違う。

 彼に早くから術の研究をしてもらっていれば、戦の役に立つ術を開発できたかもしれない。

 でもそれを怠り、涼風様の力がこの時代の陰陽師の標準だと思い込んでしまった。

 安倍晴明に似てるとイナリちゃん(神さま)が言うほどの実力者を無駄に遊ばせて、あたら兵を失ってしまった。

 完全に私の判断ミスだ。後悔してもしきれない。

 将鬼に「人類なめるなよ」と言ったけど……

 真に戦国時代の人類を舐めていたのは、私なのかもしれない。


 「帰蝶」


 信長ノッブが私を呼ぶ。

 うつむいた私は顔を上げられないでいる。


 「帰蝶、顔を上げろ」


 低い声。優しいが、有無を言わせぬ迫力がある。

 「織田信長」の声だ。

 顔を上げると、彼は厳しい顔で言った。


 「お前は織田のため、知恵を絞って最善と思われる策を取った。後知恵では何とでも言える。

 ……だが、その後悔絶対に忘れるな」


 ずん、と胸に響く言葉だった。

 大声ではないけど、これにも魔力が乗ってるんだろうか。

 重い。

 重いけど、なんだか暖かい。

 胸がいっぱいで涙目の私にささっとにじり寄った信長ノッブは私の頭を撫でながら


 「それとな、前も言ったろ?表立っては論功行賞できんが、お前が戦功一位だと思ってるって。

 誰が何といおうと、お前は俺の嫁だ。胸を張っていいんだぜ」


 にかっと笑った。

 ぶわわと涙腺崩壊した私が信長ノッブに抱き着いてわんわん泣いたのは言うまでもない。



実際、初手で土御門さま加入してたらもっと研究は進んでいました。

帰蝶ちゃんポンコツだから。


という訳で今回はここまで。体調不良でネタが出ない。

読んでくださってありがとうございます。

ご意見ご感想いただけると風邪の治りも早いような気がしますのでどうぞよろしくお願いします。

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