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(第1部完結)信長公斬魔録~転生帰蝶ちゃんは急にダークファンタジー死にゲーみたいになった戦国日本をナーロッパにしたい~  作者: simopo
第2部 「ナーロッパってこうだったっけ」

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第59話「ずっとスタンバってました」

火曜日なので第59話。


また濃いキャラが出ます。

 とはいえ相手は涼風様以上の上級貴族。

 お家に行くにも「あーそーぼー」というわけにはいかないので、ご機嫌伺という名の根回しのお手紙を書いて使いを走らせた。

 那古野城でて歩いて5分ほどのお屋敷が尾張の土御門邸だそうなんで、お返事もすぐ来るかと思ったらお使いに出した下男がなんかすぐ戻ってきた。

 お返事のお手紙は後日なのかな、と思ったら「今からでもいいよ」とか言ってたらしい。

 お貴族様のこれは「今すぐ来い」に等しいらしいので慌てて支度してイナリちゃんを伴ってお城を出た。

 

 「ほほー、那古野は賑やかじゃのう」


 那古野城下はとても賑わってる。三河で戦勝したって話が広まって魔物被害に怯えていた人々の顔は心なしか明るい。

 さらに、三河魔境がなくなって少しずつ通行が回復しているのか、行商人も増えているように見える。

 商取引がとっても活発だ。

 というか、お城の門前までゴザしいて取引してるのは良いんだろうか。

 城の周辺の武家町とか商人町とか、明確に分かれたのは江戸時代から、とか聞いたこともあるので、良いんだろうね。

 お城の近くで買い物できたら便利だし。

 コンビニほしいなと常々思っているので何とかなんないかな。

 あれってすさまじい物流の賜物だから今は無理なのはわかってるけど。

 魔法とかナーロッパの技術でなんとか実現したい。

 戦国時代にコンビニとか世界観壊れる?

 魔物がでて明智光秀みっちゃんが早世した世界で何言ってんだ。

 私は好きにするぞ。


 城門を出て城を眺めると、結構広めの敷地に木造平屋建てのお屋敷や蔵が並ぶ、いかにも戦国っぽいお城である。

 天守閣の登場は結構後で、確か大和の松永久秀が最初に作ったんだっけ。

 いつのことかは知らんけど、彼は今それどころじゃないだろう。

 三好の重臣として京の魔境の抑えと大和に避難した朝廷の保護でてんやわんやなはずだ。

 なら、この帰蝶ちゃんが戦国初の天守閣付き巨城を作ってもよいはず!

 実際作るのは信長ノッブだけども。

 うふふ、多少魔物が攻めてきても全然大丈夫なお城を作ってやるんだ!

 小田原城みたいな総構えのお城が理想だよ!

 今は無理だけど、絶対いつかつくっちゃろう!

 そもそも今の尾張に信長ノッブに文句言える勢力は無いしね。

 史実でうるさかった清州織田家も守護大名だった斯波家も魔物の被害で滅んでしまったし。

 なんだか物悲しいけど、かえっていろいろやりやすい状況になったのは事実。

 結局気にしないことにするしかないのだ。

 

 「きちょー!さっさと行くのじゃ!せーめーの子孫が待っておるのじゃよ!」


 わくわくした様子のイナリちゃんが袖を引く。

 私ははいはい、とほほ笑んで歩き出した。

 仲の良い姉妹に見られてるのかな、露店をめぐる皆さんは優しい目で見てくれる。

 というかイナリちゃんの狐耳や立派なおしっぽを見ても怯えるような人がいない。

 魔物が蔓延した世に適応してんだね。

 民の図太さに改めて感心させられるね。

 そうでないと戦国の世じゃ生きられないんだろう。


 尾張の土御門邸は結構こじんまりとしている。

 高位のお公家様だけど、困窮してたしそもそもこの混乱時に尾張にきてこちらも余裕がないのであんまり立派な邸宅を用意できなかったらしい。

 いろいろ軌道に乗ったら立派なものを建てる予定なので、仮のお屋敷なんだってさ。

 お屋敷に入ると、さすがは高位のお公家様だからか、なんだか内部の調度は大変格の高いものに見え、空気もピンと張りつめたような気がする。

 イナリちゃんも珍しくまじめな顔をして


 「ほう。未熟じゃが結界があるの。せーめーのお家のようじゃ。なつかしいの」


 とか言ってる。

 結界!?結界といいましたか今!?

 

 「悪しき気が入らぬようにする結界じゃ。これではささいな病魔を通らぬようにしかできんがの。今のおんみょーじにしてはきちんと術を使っておるようじゃ」


 すっげえまじで!?

 これはぜひとも研究に加わっていただきたい!

 あーでも、他国に陰陽術研究してるのが知られるのはなぁ。

 でもなぁ……


 涼風様の陰陽術研究は芳しくない。

 そもそも研究するのが一人だけで、秘匿しながらだと資料蒐集の効率も悪い。

 最近ちょっと行き詰まりを感じずにはいられないんだよね。

 いっそのこと大々的に陰陽師や修験者や僧侶や超能力者、宇宙人未来人に異世界人を募ったほうがいいのかもしれない。

 織田家のアドバンテージを絶対のものにするための秘密研究だけど、進まないのなら意味がない。

 後手に回れば食われるのはこちらになるというのは桶狭間で身に染みた。

 この場合、物理的にぱっくりといかれるんだけども。

 なりふり構っていられないのは魔導研究もそうなのかもしれない。

 どうしたらいいのかなぁ。

 信長ノッブがいてくれたらすぐ相談できるけど、今隣にいるのは手土産のお団子を早く開けろとやかましいポンコツ幼女系神様だ。

 実に悩ましい状況である。

 あっイナリちゃん!それは土御門様へのお土産だからもうちょっと我慢して!!


 イナリちゃんからお団子の包みを死守しながら待つこと5分ほど、なんだか仏頂面の青年が部屋に入ってきた。

 お公家様がよく着る狩衣を着た腰まで髪を伸ばしている。

 私たちの前の上座に座り、居住まいを正してむすっとした顔でこちらをじっと見つめている。

 多分この方が土御門有脩つちみかどありのぶ様なんだろうけども。

 ……なんで黙ってるんだろう。しかもむすっとしてる。

 なんか気に障ることでもしただろうか。

 イナリちゃん連れてきたのはまずかったかな?

 分家の涼風様の家にも彼女の存在は伝わってたし、本家の土御門様もイナリちゃんに会ったら涼風様よろしく平伏してくれるかと思ったんだけども……

 打算まみれ?いいんだよ使えるもんは親でも使えって古今和歌集にも書いてあるでしょ。

 

 「尾張に来て、半年ほど」


 突然口を開いた。平坦な声だ。

 前世で好きだった付き合いが悪いと評判の男性声優の声に似てる。

 なんか重要なところで裏切ったりしないよな。

 

 「陰陽術についていつ聞かれるのかと、待っておったが」


 んん?


 「ずっと準備して待っていたんだが」


 は?


 「ついに来てくれたのだな」


 はい?


 「それで、私は何をすればよいのだ?安心しろ陰陽術については安倍晴明公の書をすべて暗記しておるおお、イナリさまお初にお目にかかります安倍晴明公の裔、土御門有脩と申します清明公もなしえなかったイナリさまの術をぜひ目にしたいところでございます可能であれば私も使いたいところですが神の術をわが手にするなどなんともおこがましい術といえば帰蝶殿此度の戦で鬼を凍り付かせたとか是非その様子を聞かせてくれたまえよこの世の真理を明かすのは陰陽師の夢であるので何がどのようにしてそうなったのかをときあかすのは当然であるそういえば涼風は熱田で何をしておるのですなにやら怪しげなことをしているとか絶対陰陽術をためしておるのだろうらやましい私はここで朝廷と煩わしい折衝を行っているというのに許せないので今度呼びつけてあのひげむしってやるむしるといえば帰蝶殿虫の育成に興味はおありか呪術に虫を使ったものは多いので今から準備しておくときっと貴女の役に立つはずだなに興味がないならばこの屋敷に飼育小屋を建てていただければ私がその役を担いましょうぞ……」


 急にしゃべるじゃん。ほとんど頭に入ってこないけど。

 ぽかんとした顔をしていたイナリちゃんは気を取り戻したのか立派なおしっぽを逆立てて怒鳴った。


 「ええいやかましい!!やはりせーめーの子孫じゃな!急にわけわからん事べらべらしゃべるのはあやつにそっくりじゃ!少しだまりゃ!!」


 お、おう。安倍晴明もこんなだったの?

 ぴたりと止まった土御門様は「これはしたり」とつぶやいて深々と頭を下げた。


 「失礼しましたイナリ様。従四位、土御門陰陽頭有脩でございまする。帰蝶殿も、よしなにな」


 「は、はい。織田三郎信長が室、帰蝶にございます」


 「ふん!ここまでそっくりだとは思わんかったのじゃ!ありのぶ!土産に持ってきたお団子はそなたにはやらん!そなたの分はわらわが食べちゃうのじゃ!」


 な、なに言ってんのイナリちゃん!それは織田家のお土産でキミが好きにしてよいものじゃ!


 「おお!イナリさまはお菓子を好んだとは安倍晴明公の日記のとおり!我が家にも伝わっておりますぞ残念なことに今の我が家は困窮しておりイナリ様に献上できるお菓子も用意できぬありさまでございますのでそちらのお団子は当然イナリ様にお供えいたしますゆえお気になさらず!帰蝶殿貴女の作る菓子や料理は町で評判ですよ本当に多才だ貴女なら陰陽術で鬼を凍らせたというのも誠のことと納得がいくというもの一体いかようにすればそのように術を行使できるのか是非とも教えていただきたい!この土御門有脩そのためなら全力で……」


 「やっかましいわ静かにせよ!ああここまでせーめーと同じなら来るんじゃなかったのー」


 あのイナリちゃんが根負けしてる。

 どうもつかみきれないけど、土御門様はすっごい陰陽術に情熱がある人だってことは何とか理解できた気がする。

 んで、いろいろと情報は筒抜けっぽい?のかな?

 涼風様が研究してることも言ってたような。

 二度もイナリちゃんに叱られてしゅんとしている土御門様におそるおそる声をかける。


 「あの、土御門様。本日は式典の日取りのご相談にですね」


 「ああ、それならもう占ってありますぞ」


 「早い」


 「占ってあなたが来るのをまってました」


 「は、はあ」


 「なのにちっとも声がかからないのでやきもきしたものです」


 「な、なんかすいません」


 「で、私はいつ熱田に行けば?」


 「えっ、いやその、それは」


 「明日行っていいですか。既に出立の準備は整っています」


 「待って待ってまって!付いていけない!話が早すぎる!」


 「あきらめよきちょー、せーめーも大体こんな感じの奴じゃった」


 こんな感じってどんな感じよ!?

 ただ自分勝手にべらべらしゃべってるようにしか聞こえないんですけど!!

 わかったのは土御門様がずっとスタンバってたってことしかないんですけど!!


どうすんだこれ。


今回はここまでです。

恥ずかしがらずに下の☆マークをポチってもいいのよ。

感想とかくれたらもっと舞い上がります。

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