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(第1部完結)信長公斬魔録~転生帰蝶ちゃんは急にダークファンタジー死にゲーみたいになった戦国日本をナーロッパにしたい~  作者: simopo
第一部 「だったらナーロッパにするしかないじゃない!」

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第53話「旗の置き場に困るんですけど」

ゴールデンウィークな上に月曜日なので第53話です。



 桶狭間の本陣に到着した。

 道中うち漏らしと思われる小鬼が出たので、せっかくなんで外の魔物に慣れていない女子大学寮生で討伐することに。

 あまりの臭いに文句を言いながらも別に強さが変わるわけでもない小鬼をあっさり討伐していく。

 ただ、迷宮内と違って死体が残る事に嫌悪感を隠せない子もいる。

 まあ当然だよね。死んだらパッと消えるゲームみたいな迷宮の方がおかしいのだ。

 とはいえそこは戦いを鍛えた女の子たち。それほど引きずることもなく行軍を続けたので、予定通り1日で到着したのだった。

 私?腰蓑の一部を盛り上げて下衆な笑顔を見せる小鬼どもにムカついて思った以上に熱がこもった一撃を繰り出し、見事小鬼を3匹も討ち取ったよ(大本営発表)。

 おさきは


 「きゃーきゃー言うだけであまりに空振りが多すぎます。帰ったら素振りからやり直しです」


 とか言ってるけど、些細な見解の相違というものである。



 桶狭間は緩やかな丘陵地にあって、本陣はその中腹部に背後に高めの丘を背負ったような形で布陣されていた。

 よく見ると登れる個所もあって、上にも簡易な櫓と見張りが置かれている。

 周辺は逆茂木でバリケードが築かれており、その隙間から槍を突き出して鬼の侵入を防ぐことができる、らしい。

 これは今川が小鬼を抑えるのに考えたものだそうで、大鬼がじっくりかかれば壊されるけど、そうなる前に織田兵が討伐する事が出来るので今回の戦でその有効性がはっきりした形だ。

 魔猪や魔狼も阻めて重宝したらしい。まあもとは騎馬突撃を防ぐためのものだもんね。

 こんな短期間でよくこんな陣地が構築できたもんだね、と兵に聞いたら、レベルアップで身体能力が上がった兵がものすごい勢いで木を切り倒し、それを今川兵が加工してさっさと作ったのだとか。

 聞いた感じ、ちょっとした重機並みの仕事をしていたように聞こえる。

 よく考えたら身体能力が上がれば工事現場でも大活躍できるね。

 この戦が終わったらそっち方面の調査もしなきゃね。

 ……私、今順調にフラグを積み上げまくってるような気がするんだけど、ホントに大丈夫かな?


 とにかく本陣についたので女学生たちを配置に付ける。

 細かな差配は慶次に任せ、私は信長ノッブに会いに行こうとしたら、不在だった。

 大きめの大鬼の群れがいて、それの討伐の応援に行っているようだ。

 数日前の事なので予定通りならば今夜にも戻るハズ、とは上泉信綱。

 彼は弟子になった元浪人たちをまとめた隊を率いていて、作戦開始時から三河側に派遣されて今川家、つまりは義元の警護を行っていたようだ。

 大鬼に突破されたら今川の兵じゃ守り切れないからね。

 ともかく信長ノッブがいないんじゃしかたない。

 陣中見舞いを兼ねて義元にも会いに行くが、周りにいる今川の武将たちの視線が痛い痛い。

 

 「小娘が一体何の用じゃ」「穢れが移っては勝てる戦も勝てなくなる」「織田は何を考えているのか……」


 とかヒソヒソ言ってんの聞こえてるぞボケカスコラ!

 おさきは殴りかかりそうな目をするし、慶次がいたら普通に斬りかかってそうだ。

 ポーカーフェイスな信綱も眉がぴくぴくしてるし。

 ま、想定はしてたんだけど、久々にこういう視線にさらされて気分は良くないけど、慶次は置いてきてよかったと思った。

 そんな私の心中に気付いてるんだろうけど無視することにしたのか、義元は


 「よく来てくれたね帰蝶殿。貴女の出番は無いようにするから、まあ戦見物だと思ってゆっくりしていってね」


とか余裕の表情で語る。お前は前世の動画で有名だった饅頭キャラか。

 今からここで


 「じゃあ今日は今川義元が討ち取られて後世の低評価の原因になったとされる桶狭間の戦いについて解説していくんだぜ」


 とか気の抜けた声で始めてやろうか!?

 ……などと余所事を考えながら無難に挨拶をして、自分の持ち場に戻る。

 簡易テントみたいな陣幕の中で息を吐く。

 いかんいかん。ああいうのは前世の若い頃以来だったから久しぶりに頭に血が上ってしまった。

 やっぱりマムシの娘なせいで前世よりはるかに気が短くなってるなあ。

 戦国時代キライ。


 それより桶狭間だよぉ。

 信長ノッブに話して早いところ本陣を移してもらいたい。

 義元は私の情報をいろいろ握ってるんだろうけど、さすがに転生者だってことは知られてないはず。

 なら、本陣を移す判断とその根拠は信長ノッブにしか打ち明けられない。

 気のせいだと思いたいけど、こんだけ広い三河でわざわざ桶狭間の近くにボスがいて、それを討つために桶狭間に本陣を置く?

 絶対なんかのフラグだって!

 そうでなくても、しばらく会っていない信長ノッブ


 「気のせいだから安心しろ帰蝶。それに、お前は俺が守る」


 とか言ってほしい!

 いやあ~!まいっちゃいますねえ愛ですよ愛!!

 うへえへへへへうひょほほほ……と笑い声をあげる私を心底気持ち悪そうに見るらんとみきとすずの3人組。

 彼女らは計算が得意で字もきれいなので物資の管理や伝令にわたす書状の清書係に抜擢した。

 怖がってるのを戦場に連れてきてしまったので、せめてある程度安全と思われる私の傍に付けることにしたのだ。

 こうすることで彼女らの実家の商家にも恩を売れそうなので打算まみれな私であるが、ほかの生徒たちは程度の差はあれおさきみたいな脳筋なので、文官向けの彼女たちは実際に貴重な存在なんだよね。

 それを伝えたら泣きそうな顔で感謝してくれたんで帰蝶ちゃんナイス判断だったと思う。

 だけどなんかドン引きされて一線を引かれているようにも見える。

 なんだろう、私の姫様オーラが近寄りがたい印象を与えてしまっているんだろうか。

 だとしたらすまん。帰蝶ちゃん生粋の姫様だからしょうがないよね?

 早いところ慣れてほしいものだ。君らにはこれからのナーロッパ構築で重要な役目を担ってもらうんだから。

 この戦が終わったら、ね。



 日が落ちて、そろそろ交代で寝ましょうか、と言うところで生徒のうちニンジャだったあの子、まあ私の部屋の屋根裏に潜んでた絵心があるあの子が話しかけてきた。

 

 「姫様、三郎さまがまもなくご帰還されるそうです。お出迎えに上がりますか?」


 ほかの子と同じように物資の警護に当たってて普通に過ごしてたはずなのにいつそんな情報を得ているのかは知らないけど、そこはまあニンジャだからね。

 鬼太郎おにたろうの技術を通訳したのは私なので、実質私の弟子と言っても過言ではない。

 訓練の時、ニンジャ部隊はみんな忍び頭巾で顔を隠してたので誰が誰やら知らなかったんだけども。

 尾張女子大学寮ではふゆ、と名乗っていたけどきっと偽名だろう。

 何はともあれ、信長ノッブが帰ってくる。

 じゃあさっそく会って、不穏極まりないこの桶狭間ここから本陣を移してもらうようお願いしよう!!



「帰蝶か!すまねえ、こんなとこにまで連れてきちまって……」


 およそ2か月近くぶりにあった信長ノッブはちょっと汚れてるけど元気そうだった。

 私はその姿に何も言えず固まっている。

 言葉が出ない。嫁いできてからこんなに離れてた事は無かった。

 尾張平定作戦中はなんやかんや週1で帰ってきていたので、ちょっとした単身赴任気分だなぁ、なんて考えていたのだ。

 感極まった様子の私を見て信長ノッブはふっと笑って頭を撫でてくれる。

 そして私は涙腺が崩壊して信長ノッブに抱き着いたのだった。


 「うぅうぅう~ノッブぅ、寂しかったよお」


 「なんだなんだ、帰蝶は甘えん坊だな!」


 周囲の兵からドッと笑いがあがる。

 彼らは信長ノッブの幼馴染、最初に熱田迷宮に突入した100人の生き残りだ。

 久助、慶次、犬千代くんを入れて37名。

 今回はそれに以前から知己だった武士やならずものも加えて各地で暴れまわっているそうな。

 成り立ちからして愚連隊の様相が強く補充メンバーも似たようなもんなので見かけはどこの野盗だ、みたいな感じだけど、抱き合う私と信長ノッブを見る目は優しい。

 亡くなった63名は彼らにとっても友だった。

 彼らの死に意味を与えてくれた私にはみんな感謝してる、と信長ノッブが話してくれたのはいつだったかな。

 というわけで、彼らは織田家当主になった信長ノッブの子飼いとして活躍しつつ、私の事も理解していろいろ協力してくれているのだ。

 でも多分あちこちでべらべら喋って今川にまで私の事が知れたのはこいつらのせいだと私は確信している。

 そのうち情報の取り扱いについても厳しく指導しなきゃね。


 兵からからかわれながら信長ノッブの陣幕に戻った私たちは、向かい合って床几しょうぎに座り、話し始めた。


 「落ち着いたか帰蝶。話したいことはわかってる。

 桶狭間ここは縁起が悪い、という事だったな?」


 さっすが信長ノッブ

 私の言いたい事をすぐ察してくれるなんて、私たちしっかりつながってるのね!

 私はそんな彼氏ができたばかりの女子高生みたいな気分で話し始めた。


 「うん、そうなの!前世の史実で……」


 「お話し中失礼します。殿、将鬼を発見しました」


 私が史実の桶狭間の戦いについて話そうとしたら、久助がぬっと現れ信長ノッブに言う。

 

 「で、あるか」


 とぽつりと発する信長ノッブ

 そして私に向き合うと


 「すまん帰蝶。すぐ敵の総大将を斬ってくるから、ここは安全なはずだ。

 心配かけてすまねえが、しばらくここで我慢していてくれ、な?」


 と、疲れがにじむ笑顔を向けてくれた。

 そんな顔されたら、何も言えないじゃない。

 だから私は、


 「はい。ご武運をお祈りしております、三郎さま」


 とほほ笑んだのだった。


 そうして、信長ノッブは「法螺ふけぇ!馬ひけぇい!出陣じゃあ!!」と声を張り上げ、再び出陣していった。

 もう少し休んでから、と言ったけど将鬼、鬼のボスみたいなやつは頻繁に移動しているようで、時間を空けると見失う恐れが高いのだそうな。

 だから、今すぐ行く必要がある、と言って出ていってしまった。


 あーあ、本陣移してって言いそびれちゃったなぁ。

 でも、ニンジャが敵のボス探しだしたんだし、信長ノッブならすぐ討ち取って帰ってきてくれるよね。

 こうなったら度胸だ!何、ここで信長ノッブの帰りを待つ簡単なお仕事ですからね!

 鎧兜の兵や武将がいるけどそういうコスプレ縛り大キャンプ大会だと思えば楽しいもんだよね!

 とか考えながらテントの中で眠りについた私は翌朝、テントの幕を強く叩く雨音と雷、そして風の音に起こされることになる。

 


帰蝶ちゃんの明日はどっちだ。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

ご意見ご感想は、まあもういいか。

お好きにどうぞ。私も好きにやります。

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