超闘祭 四日目③
竜装の力で全身にオーラを纏ったスインとログラス。
さっきまでと雰囲気が別物だ。
一歩前に出たスインが次の瞬間地面を蹴ると、あっという間に俺の目の前まで迫り、俺の顔に拳を叩き込んだ。
「ぐあっ!!」
「ガクラ!」
俺に顔を向けるエスティーに、同じくオーラを纏ったログラスが近づくと、エスティーは剣を振り当たる瞬間、背後に回ったログラスの蹴りがエスティーに命中した。
「ぐうっ!!」
コイツ等、さっきまでと全然違ぇな!
白い光を纏った白竜の剣をスインが振るうと、俺も大剣を振り下ろし互いの剣が当たるが、少し押され一歩下がってしまうと弾かれ、腹に拳を叩き込まれ吹き飛ばされた。
エスティーも、瞬間移動と見間違えそうな程のスピードのログラスに押され、思いっきり蹴り飛ばされた。
『さっきまでと形勢逆転! パワーアップしたスインとログラスに、ガクラとエスティーが押されて行く!』
スインの放った斬撃を大剣で防ごうとするが、重い一撃に防ぎきれず弾かれ体勢を崩してしまい、追い打ちをかける様に、剣先から白い光の矢を連続で放ちそれらを浴びていく。
「この剣を手に入れてから俺は負けなしだ! そしてアンタに勝って、俺の強さを皆に見せる!」
横っ腹を蹴られて吹き飛ばされると、同じくログラスに蹴り飛ばされたエスティーが俺の近くに転がって来た。
立ち上がろうとする俺達に、スインとログラスは武器から極大の斬撃を飛ばし、それを受けた俺達の周りに大きな土煙が上がった。
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舞い上がった土煙にフィールドが見えず、観客や冒険者達は静かに晴れるのを待つ。
次第に土煙が晴れ、フィールドの様子が見えてきた。
『こ、これは!?』
土煙が晴れたフィールドで皆の目に映ったのは、オーラを消して立っているスインとログラス。
そして、倒れているガクラとエスティーだった。
『これは……勝負あったか!?』
全く動かないガクラとエスティーに、勝敗のベルを鳴らす運営がハンマーを振りかざした。すると……。
『待ちな』
解説のガインの一言に、運営の手が止まった。
『どうしましたか、ガインさん?』
『勝負ってのは、本当に相手が動けない時に決まるもんだぜ?』
「そのとーり!」
フィールドから聞こえたその声に、会場にいる皆が一斉に目を向けると、ガクラがピョンと立ち上がり、続けてエスティーも何事も無かった様に立ち上がって砂を払う。
全く痛がってる素振りを見せない二人に、スインとログラスは驚きを隠せなかった。
「嘘だろ……!? 何でそんなピンピンしてんだよ!?」
「え? あんま痛くなかったから」
「は?」
当然の様な顔で言うガクラに、スインは思わず間抜けな声が出てしまう。
「いやぁ~。お前等が凄ぇ自信満々だったから、二、三倍は強くなるのかなぁと思ってたんだよ。だけど精々一・五倍ぐらいだったなぁ」
ちょっと残念そうに言うガクラに、スインは眉間にしわを寄せる。
「……おいエスティー。後は俺にやらせろ」
「はぁ? 何でだよ?」
「俺達を舐めてたアイツ等をぶっ飛ばしてぇだけだ。それに……あの程度なら俺だけで十分だろ?」
「……確かにな」
自分の剣を拾い鞘に仕舞ったエスティーは、フィールドの端まで飛び退き、腕を組んでもたれ掛かる。
そんな様子を見たスインとログラスの顔に、怒りが生じた。
「ふざけやがって……!!」
スインが再びオーラを纏うと、続けてログラスもオーラを纏う。
「効かなかった訳がねぇ! んなハッタリ、信じるかぁ!!」
スインは地面を蹴り、ガクラに向けて左拳を突き出す。
拳がガクラの顔に当たる寸前、ガクラは首を曲げて拳を避けると同時に、自分の右拳をスインの顔に当て、殴り飛ばした。
殴り飛ばされたスインを見て、ログラスはガクラの背後に回ったが、その瞬間にガクラの裏拳が顔面に命中し吹き飛ばされる。
「どうした? やっぱこんなもんか?」
「うう……まだ、だぁぁぁ!!」
「くっ……!」
スインとログラスは立ち上がり、ガクラに向かって走りだすが、さっきまでとは打って変わり、二人の攻撃が全く当たらず、逆にガクラの攻撃が全て命中する。
ガクラの快進撃は、観客席で見ている光の兄弟達の予想通りの結果だった。
「ま、当然だな」
「凄いね。さっきまでと全然違う。これがガクラの本気……」
「甘いぞゲイブ。ガクラはまだ本気じゃねぇ」
「え?」
クレンの言葉に、ゲイブは驚きを隠せなかった。
「本当にガクラが本気なら、最初の一撃で勝負が付いてる」
「嘘……」
「アイツの事だ。盛り上げる為に時間一杯使おうとしてんだろ」
「やっぱ凄ぇーな、光族って」
ログラスの胸倉を掴んだガクラは、振り上げてスインの頭とログラスの頭をぶつけた。
頭を押さえる二人を、鞘から抜いた大剣の腹で吹き飛ばした。
「スイン!!」
「おう!!」
スインとログラスはそれぞれ自分の武器を近づけると、武器から放たれたオーラが混ざり合う。
「合体技か? なら俺も、とっておきで行くぜ」
ガクラは大剣を前に構え、剣に火の属性力を纏わせると、続けて水、風、雷、氷、土の属性力を纏わせていく。
「アイツ……まさか?」
エスティーはガクラが何をしようとしているのか勘づくと、先にスインとログラスが動き出した。
「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」
二人の光と闇の属性力が合わさった巨大な斬撃が、ガクラに向かって放たれた。
斬撃がガクラに迫る中、ガクラも準備が整い、大剣を横に振りかざした。
「エレメント……バースト!!」
ガクラが大剣から放たれた六つの属性力が合わさった斬撃は、スインとログラスが放った斬撃を軽々と打ち消し、斬撃は二人に命中し巨大な土煙が舞い上がった。
コロシアム僅かに揺れ、観客達は息を呑む。
土煙が晴れ視界が良くなりフィールドに目を向けると、スインとログラスは立っていた。
だが二人の体からはオーラが消え、目も白目を向いていた。
ガクラはそんな二人を眺めていたが、二人がゆっくりと前に倒れだしたのを見て、大剣を背中の鞘に仕舞う。
大剣が鞘の中に納まると同時にバタッと倒れる音が響き、スインとログラスは全く動かなくなった。
『し……試合終了ぉぉぉ!! 勝者、光族ぅぅぅ!!』
勝敗が決まり、観客席から盛大な歓声が上がると、エスティーがガクラの元へ来る。
「ちょっと納得いかねぇな。結局お前一人でアイツ等倒しちまったし」
「別に良いじゃねぇか。ポイントは入ったんだし」
ガクラが二ッと笑うと、エスティーもフッと鼻で笑った。
『これにて、超闘祭四日目を終了します! 明日の休日を挿んで、五日目の最終日を行います。皆さん、乞うご期待下さい!!』
残す最終日の為、他のチームは光族を打倒に熱意を増す。
コロシアム中に歓声が響く中、スインは右手をゆっくり動かして、悔しそうに拳を握る。
一位 光族 34ポイント
二位 戦乙女 32ポイント
三位 ドラゴンナイトズ 28ポイント
四位 ゴールドスマイル 27ポイント
五位 チーム4 25ポイント
六位 ファイヤーズ 12ポイント




